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風来、女ひとり  作者: 頭いたお
二。
17/24

17.火酒

「次の街まではまだある。俺の家に寄っていくといいよ、旅人さん」


「有り難い」


「肉もいくつか持つよ」


「有り難い、有り難い」



 きっといい縁に違いない。

 胴を担ぎ、脚肉を預け、ついていく。

 全て持っていきたかったが、手が足りん。

 頭は埋めてやった。舌肉と角だけ拝借する。



「……その角はどうするんだい?」


「次の街で売ろうと思う。立派な角だ、いくらかはするだろう」


「……ふうん、そうか」


「肉も売れればいいな」



 歩いて十分程。

 街道を少し離れた林の中に、一軒家。



「少し待っててください。事情を話してくるんで」



 ここから随分待たされた。

 歓迎されてないやもしれん。

 が、なんとか通された。



「歓迎しますよ、倭人さん」


「いやあ、初めて見たよ倭人。ははは、ゆっくりしてってよ!」



 奥方。丁重に挨拶をする。

 二十そこらの息子。丁重に挨拶をする。

 随分嬉しそうに迎えてくれた。有り難い。



「ツバクラだ。名を教……」


「おい、早速酒を出してやってくれ。一番いいのを出すんだ」


「ええ、ただいま」



 名は分からんかった。

 また聞こうと思ったら、酒が出てきた。



 酒。

 酒は良い、人類の友だ。

 が、ここらの酒はちと強い。無色透明なのに、喉が焼けるようだ。

 慣れんが、友なのでいただく。



「イケる口かい? どんどん飲んでくれ。ちょっと早いが飯にしよう」


「そうだ、馬肉を使ってくれ。脚を一本やる」


「ははは、こいつぁいいや! 食おう食おう!」



 馬肉は焼かれた。

 刺しが良かったが、焼いたのも美味い。

 焼きすぎで少し硬いが、まあよかろう。

 肉の脂と辛口の酒は合う。いい気持ちになってきた。



「ほら、どんどん飲んでくれ! 遠慮するな旅人さん!」



 注がれる。

 注がれれば、飲む。

 飲み干せば、また注がれる。

 そいつをまた、飲む。



「強いなあ、倭人は」


「いや、しかし、大分酔った」


「時間はたっぷりある。夜まで飲もうじゃないか」


「私ばかり飲むのもよくない。そちらも」


「いいんだ、いいんだ。こっちはこっちで飲むから。ほら。ほら」



 思えばまだ日中。

 昼から酒とは随分贅沢だ。

 カリガネと飲み比べした時以来だ。あれは楽しかった。しこたま吐いた。



 奴もこの地で、酒を飲んでいるんだろうか。

 何を飲んでいるのだろう、誰と飲んでいるのだろう。

 会えたら、死合う前に旅の話を聞かねばならん。こちらも色々話したい。

 友の姿が脳裏に浮かぶも、いつしか酔いでどこかへ消えていった。

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