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風来、女ひとり  作者: 頭いたお
一。
11/24

11.鯉

「ドラゴンの死体が見つかった。既に絶えていたようだ。もう骨ばかりらしい」



 肩を落とす。

 龍を、見たかった。龍は、死んでいた。

 龍とて死ぬのだな。当たり前だが、そう思った。



「鯉は、いるだろうか」


「鯉とはなんだ」


「川や沼に潜む魚だ。これぐらいの」


「そんなら、いる」



 イワンに従い、鯉を探す。

 投網で、すぐに捕まえてくれた。



「これだろう、鯉」


「ううむ」



 鯉にしては、少しでかい。

 顔も違う。第一、形が細い。

 鯉ではない気がするが、良かろう。

 異国の地だ、鯉とする。



「なぜこいつを?」


「こいつがいずれ龍になる。少し、見たくなった」


「いや、ならんぞ」


「なる」


「ならん」



 意見の相違。

 が、異国の地だ。成るものも成らんことがあろう。

 郷に入れば郷に従うが道理。成らんものとする。



「スープにしましょう」



 マラーニャの作る吸い物は、絶品であった。

 少し辛い。唐辛子だ。素直な味が際立つ。

 大蒜が利いている、香草も良い。鯉の身は淡白だが、これがまた汁に合う。

 鯉はこんなに美味くなかった気がするが、異国の地だ。鯉とする。



「マラーニャは料理の天才だ」


「うふふ」



 マラーニャを褒める。頬を少し赤らめた。

 イワンの顔も赤くなった。誇らしいのだろう。

 せむぉおおりゅは相変わらず髪を引っ張る。困る。



 龍は死んだ。拘る理由もなくなった。

 塩も貰った。茸も教えて貰った。料理も馳走になった。

 これ以上居ては、恩が大きすぎて返せなくなる。

 明日、旅立とう。

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