10.茸
「こいつは食える。こいつは食えん」
イワンに従い、龍を探す。
探すついでに、食える草木を教えてもらう。
特に茸は助かる。目眩は嫌いだ。
「この茸は食える。美味いぞ」
「ああ、それは食った。美味かった。茶色は食えるのだな」
「食えん茶色もある」
「困る」
食える茶色と、食えない茶色。
違いが判然とせん。傘が微かに違うようだ。
皆目わからん。
「こいつは食えん」
「赤茸か。そいつは食えん。知っている」
「ああ。一口でも食えば死ぬ。気をつけろ」
「死なんかったぞ」
「お前はおかしい」
「そうだろうか」
食い合わせの妙だろう。
鮎もどきが利いたと見た。解毒魚として覚える。
どんな形の魚だったか忘れた。困る。
「こいつは食える」
「赤いじゃないか」
「赤くとも食えるのもある」
「分からん」
「覚えろ」
色の判別は駄目だ。
形の判別も駄目らしい。
色と形の二種を用いて判別しなければならぬ。
茸は難しい。
「これなら簡単だろう。この白い茸だ。似ている奴は少ない、覚えろ」
「心得た」
網に茸を並べ、塩を振って、二人で食った。
美味い。じわじわ出てくる汁が、また美味い。
干し肉も貰った。塩の味だ。美味い。
「極楽、極楽」
「よし。探すか、ドラゴン」
「ああ、行こう」
龍の居処を見つけたら、仲間を集め、屠るという。
無論、私も協力する。龍と対峙できる幸運、逃すはずもない。
しかしイワンは頻りに心配している。
「お前、小さいのに本当に戦えるのか」
「戦える」
「小さいんだから無理するな」
「うるさい」
龍は居らず、二羽の兎を仕留めた。
晩には兎と茸と、パンを馳走になった。
極楽、極楽。




