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風来、女ひとり  作者: 頭いたお
一。
1/24

1.鮎

 鮎が三尾。

 どうにも分からぬ赤い茸、ふたつ。


 焚き火。

 煤けた網に、不明なる茸を乗せる。

 腹わたごと、鮎を焼く。



「……うん?」



 茸は妙な味がする。

 しかし旨味がある、大丈夫だろう。



 鮎を頭から齧る。存分に美味い。

 塩も欲しかった。が、贅沢であろう。

 改めて眺めると、どうも鮎ではない。不明なる魚が、三尾。

 分からぬ川魚だが、鮎とする。



「うん、うん」



 わたの苦味で、身を食べる。

 酒も欲しくなった。が、贅沢であろう。

 鮎もどきを食べ終え、また歩きだす。




「うん?」



 目眩。

 茸ふたつが、悪さをした。

 ふたつの目に対し、茸ふたつ。目眩も起ころうものだ。

 腹の痛みはない。吐き気もない。大丈夫だろう。



「大丈夫、大丈夫」



 歩いて小一時間。吐き気を催す。

 口から出すなど勿体ない。我慢する。

 大丈夫と言い聞かせ、横になる。大丈夫、大丈夫。



 天を仰ぐ。木々の緑が綺麗だ。心にも余裕がある、問題なかろう。

 そのまま寝た。眠れる場合は寝るに限る。

 本当はしばらく、唸っていた。私は正直者である。






 起きれば朝。

 目がふたつ、眩みはない。

 大丈夫であった。



「危うかった、今回は」



 正直な気持ちを吐く。

 私は正直者である。茸は手強かった。

 今度は煮てみよう。魚と一緒に。



「どこへ行こうか」



 風来、女ひとり。

 どこへ行けばいいんだか、皆目わからん。

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