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彩られる作品【仮】  作者: 三愛 紫月
身体だけが繋がらない
70/135

⑪

慎太郎は、恵美子より先に家を出た。

車に乗って、慶太を迎えに行く。

慶太は、嬉しさから下で待っていた。


「おはよう、慎太郎さん」


「おはよう、行こうか」


「はい」


慶太は、車に乗り込んだ。


わざわざ、隣の街まで行く。


「美味しいラーメンあるの?」


「うん、この八坂ってとこ食べたくてね!」


わざと、遠くにするのは噂をされないようにする為もあった。


「慎太郎さんとラーメン食べれるなんて嬉しい」


「よかった。」


笹森さんは、喜んでくれてる。


喜んでくれるのが、嬉しい。


俺は、笹森さんとラーメンを食べる。


「美味しい。」


「よかった」


ラーメンを食べ終わって、俺と笹森さんは店を出た。


車に乗り込んだ。


すぐに、気持ちを伝えた。


「車ですが、笹森さんに答えをいいます」


「はい」


「俺の心は、きっとずっと恵美子のものです。それでも、いいんでしょうか?」


「構わないです。」


「それなら、よろしくお願いします。」


「はい」


笹森さんは、人目もきにせず車の中で俺にキスをしてきた。


何度も、何度も、キスをしてきた。


.

.

.

.

.


かわって、恵美子と友里亜。


友里亜が、迎えにきた車に乗って映画館に行く。


【心だけが繋がらない】を見て、号泣した。恵美子


少し離れた場所の映画館にやってきたから、躊躇いもなく手を繋ごうとする友里亜。


恵美子は、それを受け入れた。


車に乗り込んだ。


「お昼、何食べる?」


「浜田さん」


「はい」


「私は、きっとこれから先も主人を愛します。それでも、本当にいいのですか?」


「構わないです。」


友里亜は、恵美子の手を握る。


「それなら、付き合ってみませんか?」


「はい」


友里亜は、恵美子にキスをした。


何度も、何度も、キスをした。


.

.

.

.

.


あの日から、3ヶ月が経った。


ピピピ…ピピ…ピピ


「慎太郎、目覚まし」


「はい」


相変わらずの朝を迎えていた。


顔を洗って並んで、歯を磨く。


トイレにいって、キッチンにいく。


一つだけ、かわったのは…


お互いに触(ふ)れない事だった。


「今日、慶太んちに泊まるから」


「了解!私も、友里亜が来るから」


「はいはい」


朝御飯とお弁当を用意する、恵美子。


向かい合って、食べる。


食べ終わると慎太郎は、珈琲をいれにいく。


二階の二部屋は、互いが恋人を泊めるための部屋に使うことにした。


珈琲を飲んで、慎太郎は立ち上がった。


「じゃあ、行くわ」


「気をつけてね」


恵美子は、お弁当を渡す。


.

.

.

.


夜ー


恵美子は、友里亜と抱き合ってキスをし始める。


慎太郎は、慶太と抱き合ってキスをし始める。


画面は、交互に二人を映し出す。


恵美子と慎太郎が、一緒に話す語りが流れる。


きっと、世の中の大多数の人は、私と彼の選択を気持ち悪いと嫌悪の眼差しを向けるだろう…。


それでもいい。


私達は、大多数の人間の選べる道を選べなかった。


私達夫婦には、この選択肢しかなかった。


常識や当たり前なんて、なくなってしまえばいい。


私達が、選ぶ道はこれが正解だった。


もう二度と、あなたとは身体だけが繋がらない。


繋がり合うことは、絶望する事だから…。


もう、これ以上の絶望はいらない。


これ以上の苦しみも悲しみもいらない。


切望する程に、惨めになった。


願う程に、悲しくなった。


叶うはずのない未来を何度手に入れたいと願った?


私達だって、大多数の中に入りたかった。


いらなかったわけじゃない。


手に入れられなかっただけ…。


他の道は、考えられなかった。


だから、私達夫婦にはこれが正解なんだ。


手に取るように、お互いの想いがわかるのに…。


身体だけが繋がらない。



恵美子と友里亜は、ベッドで横になる。


笑ってる恵美子を抱き締められるだけで、友里亜は満たされていく。身体の関係を失っても、恵美子に触(ふ)れられるだけでいい事がわかる。


慎太郎と慶太は、ベッドに横になっていた。


慶太は、慎太郎に抱きついているだけで幸せなのを感じる。

身体の関係を失っても、これだけで充分なのを感じている。


繋がらない身体と心を抱えながら、恵美子と慎太郎の日常はまた始まっていくのだった。




           END 

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