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彩られる作品【仮】  作者: 三愛 紫月
身体だけが繋がらない
68/135

⑨

「恵美子、ごめん。俺、どうやら酔って。さっきの人としてしまったらしいんだ。ごめん」


「ううん。私も、さっきの人とキスしちゃったの。ごめんね」


見つめ合う慎太郎と恵美子。


「告白された。身体だけでいいと言われてる。どうして、いいかわからない。俺は…。」


「慎太郎は、どうしたいの?」


「答えてあげたいとは、思ってる。あの日の恵美子と重なって。少しでもいいから、答えてあげたいって思った。」


「相変わらず優しいね。慎太郎は…。」


「恵美子もだろ?」


「彼女の必死な姿を見たら、答えてあげたいって思ってしまった。最後のチャンスにしがみついた私に似ていたから…。」


「そっか!わかった。」


慎太郎は、恵美子に笑いかける。


「恵美子、俺…。恵美子といたい。でも、期待するのは辛い。初めて、逃げられる場所が欲しいと思った。ごめん。」


「私も、初めて逃げられる場所が欲しいと思った。ごめんね。」


「ごめん。」


「離婚は、もう少し考えてみる?」


「そうだな。でも、その人と向き合いなよ。俺も、向き合うから…。」


「うん」


手を握りあった慎太郎と恵美子


「もう少し恵美子といたい。だから、ゆっくり考えて欲しい。離婚は、もう少しゆっくり…」


「うん、わかってる」


慎太郎と恵美子は、涙が止まらない。


二人は、手を握り締めて泣き続ける。


.

.

.

.

.


かわって、友里亜


家に帰ってから、恵美子にキスをした唇を撫でている。


休みの日だった。


たまたま、あの公園の前を通った。


初めてだった、こんな一瞬で人を好きになる事なんてなかった。


この人を守ってあげたいと思った。


さっき、車に乗った恵美子さんにキスをした。


もっとしたいぐらい、いい匂いがしたし、唇が柔らかかった。


もっと、触(ふ)れたい。


身体だけでもいい。


彼女が欲しい。


【明日、映画みませんか?】


彼女からのメッセージに顔がにやける。


【どんな映画ですか?】


【鴨池はやての映画です。】


鴨池はやて…。私は、検索する。


【心だけが繋がらないですか?】


【それです。行きませんか?】


【喜んで(*^ー^)】


顔文字ぐらいいるかと思って送った。


恵美子さんと付き合えたら、未来は幸せなのがわかる。


彼女と一緒に過ごせるなら何もいらない。


それぐらいに、一瞬で恋におちた。


.

.

.

.

.


かわって、慶太。


家に帰ってから、慎太郎との昨夜の出来事を思い出していた。


誘惑したのは、自分からだといえあんなに優しく抱かれるとは思わなかった。


最初にお店にやってきた瞬間から、トキメキを感じていた。


慎太郎さんと付き合えたら、どんなに幸せだろうと思った。


どのタイミングで恋におちたかなんて、自分でもわからなかった。


ただ、彼と一緒にいたい。


別れ際に交換した連絡先からメッセージが届いた。


【明日、会えますか?】


【はい、勿論です。】


【ラーメン食べに行きませんか?】


【はい、行きます】


慎太郎からのメッセージに、嬉しさが込み上げてくる。


嬉しくて、堪らない。


ニヤニヤが止まらない。


ベッドに寝転がって、慎太郎さんのメッセージを見返して笑ってしまう。


【迎えに行きますね】


【はい】


嬉しくて、スマホを抱き締めてしまった。


慎太郎さんが、触(ふ)れた熱が嬉しかった。


.

.

.

.

.


かわって、慎太郎と恵美子ー 夜


別々のベッドに寝転がる。


いつから、子供について話さなくなっただろうかと考える。


二人とも、スマホを見つめている。


「恵美子、おやすみ」


「おやすみ、慎太郎」


スマホを二人とも、ベッドサイドテーブルに置いた。


このテーブルを挟んで、二人は別々のベッドにいる。


愛してるとか大切だとか、そんな言葉じゃ説明がつけれない。


愛情の延長線上の果てに続いていくような関係。


好きや嫌いとかでもない。



とにかく、慎太郎と恵美子にとってお互いはなくてはならない存在だった。


ご飯を食べていても同じタイミングで醤油を取るし、テレビを見ていても同じタイミングで笑うし、同じドラマが好きだし、その日に食べたいものも同じで、味覚も同じで…。


この関係は、何と言えばいいのかはわからなかった。


とにかく、全てが同じ存在なのだ。


なのに、何故か子宝には恵まれなかった。


それでも、一緒にいたい気持ちは持ち合わせているけれど…


手を握る以外の触れ合いをせずに、生きていくのは難しい。


でも、期待をする限りは二人ともはそうなれないと思っていた。




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