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彩られる作品【仮】  作者: 三愛 紫月
【蛹は、蝶の夢を見る】TVで流れてる映像作品
21/135

⑭

場面が、切り替わって章吾と悠斗


階段から出て歩き出す。


「大丈夫だけど、急ごう」


「うん」


早足で、悠斗の家にやってきた。


「はぁ、はぁ。よかった」


章吾のホッとした顔を見て笑っていた。


「お茶いれるよ」


「冷たいのがいい」


「麦茶、いれるよ」


悠斗は、麦茶を入れて渡す。


「悠斗が、来なかったらされてた。」


「姉ちゃんの声がして、気づいたら走ってたんだ。」


悠斗は、章吾の手を引いてソファーに座らせた。


「ありがとう、怖かった」


抱き締められる。


悠斗も強く抱き締める。


章吾といれば、何もいらないと思った。


「やっぱり、淳にとって僕なんかどうでもよかったんだ。僕の気持ちなんかどうでもよかったんだ。自分が気持ちよくなる為の僕は道具なんだよ。悠斗」


俺は、章吾を黙って抱き締めた。


「悠斗」 


「そんなやつ捨ててしまえよ。俺が、一生章吾の傍にいるから」


章吾は、泣きながら悠斗にしがみついた。


このまま、悠斗と生きていこう。


好きになれるかなれないなど、そんなのは、今必要な答えではないと思った。


悠斗と生きていきたい!


そう思っているだけで、十分だった。


章吾は、悠斗から離れて、黒縁の眼鏡を外した。


「章吾?」


必要ないものは、捨てよう。


髪の毛を、グチャグチャにする。


淳が作り上げた、僕などいらないのだ。


「章吾は、本当に蝶だね」


悠斗は、僕の両頬を両手で触って言った。


「僕は、そんな綺麗なものではないよ。」


「綺麗だよ、凄く綺麗だよ。」


「悠斗、嬉しいよ」


悠斗は、笑いかけてくる。


「章吾、ゆっくり俺を好きになって」


「悠斗、次の色は、悠斗がつけてくれない?」


僕は、自分でオリジナルの色をつけて飛び立てないんだ。


「章吾が、望むなら何だってする」


「でも、僕は子供は望めない。」


「子供が欲しいなど思っていないよ。僕は、章吾と二人で、生きていきたい。」


「悠斗、捨てられるのは怖いから」


「わかってるよ。だから、章吾はゆっくりゆっくり進んでくれていいから…。いつか、俺を好きになってくれるだけでいいから」


約束なんて、ちゃんと出来なくても許してもらえると思った。


僅か、1日で人に惹かれる日がくるなどと思っていなかった。


たった、数秒で惹かれ合うこともある。


淳に作られた僕を、好きになってくれる人がいるなんて思わなかった。


「悠斗と前を向いていきたい。」


「嬉しいよ、章吾」


悠斗は、章吾を引き寄せて抱き締める。


もう、章吾は悠斗だけの蝶なのだ。


そして、悠斗は章吾だけの花なのだ。


二つを引き離す事など、出来ないのだ。


悠斗は、章吾に優しくキスをする。


「もっとして、悠斗」


求められるままに、悠斗は章吾の服を脱がした。


首に、何かが擦れた痕がついている。


それを舌で、舐める。


「んんっ。悠斗」


可愛らしい章吾の姿に止められなくなる。


姉にも見せてやりたいと思った。


俺は、今幸せを掴んだのだと姉に見せてあげたかった。


ゆっくり丁寧に時間をかけて、章吾と肌を重ねた。


「はぁ、はぁ。悠斗、ありがとう」


「やりすぎたな」


息をきらす章吾を見ながら、頭を撫でている。


「ううん、悠斗が優しくて幸せだった」


「よかった」  


悠斗は、ニッコリと章吾に微笑んだ。


「蛹は、蝶になれたんだよ。」 


章吾は、悠斗の髪を撫でながら言った。


「なれたよ、章吾」


何かに導かれるように惹かれた糸は、見つけた瞬間から濃い色彩を放った。


それは、誰にも切れない程に強固に絡み付いた。


章吾は、悠斗しか蜜をもらう事はないし、悠斗もまた章吾以外の誰かに蜜をあげるつもりもなかった。


ゆっくり、ゆっくり、丁寧に章吾の羽根を塗ってあげたかった。


「愛してるよ、章吾」


「傍にいてね、悠斗」


二人は、ゆっくりとキスを交わした。





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