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彩られる作品【仮】  作者: 三愛 紫月
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132/135

しんと優依

「終わったよ。しん」


「悲しい作品になった。」


「共同だったからね」


「彼女も似たような傷の持ち主だった。」


「不妊って、辛いね。ほんとうに、辛い。悲しいね」


優依は泣きながら、しんに抱きついた。


「心も体も磨り減るんだよ。人を憎んだり、幸せも願えなくてね。ただ、それから解放されてしまいたい自分もどこかにいた。彼女も、俺も、同じだった。だから、作り上げた作品がこれだった。また、共同で作ってみたい。それぐらい、似ていた。」


「しん、辛かったんだね」


「俺なんかより、世の中には辛い人はもっといるよ。」


「でも、しんと梨華さんはスタートラインにも立てなかったって話してくれたよね。梨華さんもしんも…。」


「そうだね。だって、俺は精子がなかったし、梨華は排卵出来なかった。卵も刺激しても大きくならなかったったみたいでね。スタートラインには立てなかったと言って泣いたね。」


「それでも、諦めたくなかったんでしょ?」


優依は、俺をさらに強く抱き締める。


「そうだね。例え、医者に駄目だと言われても諦めたくなかったんだよ。でも、その選択は梨華と俺をどんどん苦しめたんだよ。その度に、卑屈になって、恨んだりもしたんだ。でも、それが人間なんだよ。望んだ人間の姿なんだよ。」


「しん、辛かったんだよね。僕が、ずっと傍にいるからね。だから、大丈夫。もう、苦しまなくていいから…。」


「優依だよ。俺が、彪伍をイメージしたの!」


「そうなの?」


「いつだって、俺のイメージには優依がいるよ。」


俺は、優依の髪を撫でる。


「しん、まだ苦しんでる?」


「禁断の愛だよね。難しいものだね」


「僕を書いてよ」


「俺の中で、優依はそんな事をしない人なんだよ。だから、優依で書けるかな…。イメージが沸かないんだよ」


「それでも、書いてよ。僕が、ちゃんと説明するから…。だから、書いてよ」


「わかった、頑張ってみるよ」


俺は、パソコンを開いた。


「blog?」


「うん」


「何見るの?」


「これだよ」


「あっ!りーたんって梨華さん?」


「そう」


俺は、コメントを確認する。


「欠けたピースは戻らないの話を見ました。素敵な作品でした。母親を許していこうと思えました。お付き合いしてる人も前を向けると言っていました。前を向いていく作品を作っていただきありがとうございます。これからも、りあのさんとしんさんの作品を見ます。だって、よかったね。でも、何で?blogに書いてくるの?」


「わざとなんだよ!俺にも、ファンがいるんだよーって言いたいらしいよ。梨華は…」


「へー。優しいね」


「そうだろ!一番目のファンは、梨華なんだ。ずっと、梨華なんだよ。」


「そうだね!二番目のファンは僕にしててよ。」


「そうだよ!優依だ。俺は、今、優依と梨華の為に書いてる。その作品が、誰かの胸に灯りを灯す作品になってる。それだけで、救われるんだ。これで、食べていくつもりはなかったよ。食べれなくてもよかった。俺は、梨華への謝罪と梨華の世界を幸せにしたいだけだったから。そんな俺を優依が見つけてくれた、ありがとう。感謝してる。優依のお陰で、俺の世界は広がったんだよ。俺を見つけてくれてありがとう」


「しん、愛してる」


「それで、俺を縛り付ける?」


「なわけないじゃん。それは、【温度】の話でしょ?僕は…」


「縛り付けない?」


「縛り付ける。」


「何だよ、それは」


「違うよ!僕以外、好きになれないように縛り付けるの」


「それなら、大歓迎だよ」


そう言って、俺は優依を抱きしめる。


「本当に?」


「愛されたうえで、縛り付けられるんだろ?嬉しいよ。こんな綺麗なマッシュルーム君に愛されて俺は!」


「もう、マッシュルーム君じゃないよ」


「マッシュルーム君だよ。」


俺は、優依の髪を撫でて、その頭にキスをした。


「しん、恥ずかしいから」


「優依、愛してる」


「あー。そうやって、僕を縛り付ける」


「愛があるなら、大丈夫だろ?」


「孝輔みたいには、しないでよ」


「しないよ」


優依は、俺の首に手を回した。




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