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一人ぼっちのバンド
おれは若い頃に
音楽の良さに目覚めて
プロのミュージシャンになることを
本気で志した
一人でギターを弾いたり
歌を歌うことに
夢中になり
それこそ寝食を忘れて
ギターを弾いたり
歌を歌った
それでもおれは
一緒に演奏する仲間や
バンドには
恵まれなかった
おれはそれでも
ミュージシャンになる夢を
捨てきれず
自宅の部屋の中で
一人でギターを
アンプに繋いで
大音量で
演奏したり
尋常ではない声量で
ラジカセの音楽に合わせて
歌を歌った
おれは一人で
一生懸命になって
頑張った
それでもそこには
おれ一人だけしかいなくて
声援を送ってくれたり
拍手をしてくれる
観客もいなかった
おれは歌を歌い終えると
虚しさのあまり
一人で涙目になっていた
結局のところ
おれのミュージシャンに
なるという夢は
いつしか諦めざるを
得なくなった




