ルナマギア特別開発室-研究記録その3-
昼食後。太陽達はまた地下訓練場へ戻って来た。太陽は動きやすいジャージとシューズに着替えている。
「じゃあ、最終テストを始めよう。実戦テストだ」
「さっき、やったじゃないか」
「素質の高い人間を使って自分と戦ってもらいます」
「何だそれ」
「能力を思いっ切り確かめられる機会は少ないので活躍させられる機会は活用していきます」
「で、相手は?」
「もう来てますよ」
太陽が中心を指差すとその先には辰馬が立っていた。服は動きやすそうな格好に着替えている。
太陽は辰馬の傍へ向かうと黒いケースを渡す。辰馬は黒いケースを開け、中身の物を装着する。
「IDカードは?」
「君は適性が複数あったからね。混ぜてみた」
太陽は様々な動物の顔が組み合わさったIDカードを渡す。
「五つ位の動物が合わさってんのか」
「長所を練り上げられた、はず。使ってもらわないと感想は分かんないけど」
実験は簡単。IDカードを使った辰馬と非武装の太陽がやり合う。それだけ。
✿ ✿ ✿
「じゃ、始めようか」
太陽と辰馬は距離を空けて向き合う。
辰馬はバックルに渡された特製のIDカードを差し込む。
『“loading”』
「……なにコレ?」
「音声ついていた方が良いだろ」
「恥ずかしいし、隠密にも向かないんだが」
「調整は済んでないし、音声は任意で切り替えられる予定」
ならいいかと辰馬は実験を再開する。辰馬はバックルの左側を差し込む。掛け声と共に液体があふれ出し、辰馬を包む。
『“Ready,………Fight!!”』
バックルの掛け声と共に液体がはじけ飛んで、アーマーを纏った辰馬が出て来た。
辰馬は身体の調子を確認すると一気に距離を詰めて、太陽をぶん殴る。太陽はそれを片腕で防いで、それを振う事で弾く。
弾かれた事で辰馬はバク転で距離を取る。太陽は動く事はなかった。辰馬は左の下のボタンを二回押して拳銃を出現させる。拳銃になぜかついているダイアルを回して威力を上げ、引き金を引く。すると、火炎放射器の様な火柱が太陽へ飛んでいくが
「ふっ!!」
太陽は肺活量だけで火柱を吹き飛ばす。焔が煙幕となり目の前が見えなくなり、それを突き破って辰馬は再度拳を突き出す。今度は体重を乗せた一撃だった為、太陽は片腕ではなく両腕でしっかりガードした。辰馬は直ぐに追撃として銃で至近距離でぶちかます。派手な爆炎で太陽は吹き飛んでいく。太陽はバク転で辰馬から距離を取り、空中で軌道を変えて拳を突き出す。
「あぶっない」
辰馬は側面を弾く事で軌道を逸らす。逸らされた拳は床に打ち付けられてクレーターができる。太陽はそのまま床を掴んで自身を回転させて蹴りで辺りを吹き飛ばす。
辰馬は姿勢を低くして蹴りを避けると太陽にタックルする。そのまま太陽を掴んで壁に打ち付ける。
「よっ」
太陽は掴まれて押し付けられてる状況から両手を壁に叩きつける事で簡単に抜け出して見せた。太陽を拘束しておけないと
「じゃ、純粋に殴り合いをしようか」
「受けて立つ」
太陽が構えると辰馬もそれに乗って構えを取る。
先に動き出したのは辰馬の方だった。とんでもないスピードで接近すると、大振りの蹴りを太陽にかます。太陽は蹴りの衝撃を上手く逃がして、カウンターでジャブを放つ。辰馬は受けることなく外へ弾いて太陽の脇を掴んで投げ技を決めようとするが、太陽は身体全体を回転させて上手くそこから抜け出していく。
辰馬は太陽の馬鹿力を警戒して掴まれずらく、接近しやすい位置に一旦引く。互いに構えなおし相手の出方を窺う。今度は太陽の方が仕掛ける。重く踏み込んで正拳を突き出すと直線的に衝撃波が放たれる。辰馬は衝撃波が放たれる前に右のボタンを三回押して太陽と同じ様に腕を突き出す。こちらも同じ様に衝撃波が放たれて中間あたりで衝突する。多少の拮抗の後、辰馬の衝撃波が太陽のモノを突き破って太陽に直撃する。
が、握りしめられた拳は弾かれる事なく、衝撃波を耐えきった。
「此処までにしようか」
「……分かった」
辰馬は解除の手順を行うと、
『“Desorption”』
音声と共にアーマーは液状化して外れ、液体は空気に混ざって散っていく。
「どうだった?」
「最後の攻撃はよかったねお前の衝撃波を貫けたのは気持ちよかった」
「身体の方とか、異常はない?」
「身体が軋む感じはないかな。まだ、余裕で動ける」
「精神的には?」
「万能感による高揚が少しあるかな。今は大分収まって来たけど、凄く興奮する」
太陽は辰馬に追加で質問をして改善点を洗い出していく。これが完成すればローリスクで魔導師兵を量産することができる。改善点は多々あるが、まずまずの一歩と行った所であった。




