後夜祭その1
毎年、干支戦の閉会式の後には合同パーティーが催される。
魔法科の生徒達は高校を卒業した時点で就職したり、進路が決まる者も多いので、大会後に見込みのある生徒への声掛けを出来る場がこうして作られている。そのための費用もスポンサーが出したりしている。従って、スカウトに関しては太陽の様な裏方の人間にはあまり関係の無い事ではある。
「んっ、んぐっ」
「これ、美味いな」
「こっちも美味しいぞ」
「楽しんでるね」
応援に来た生徒はこのパーティーには参加できないが出場した選手は出席が認められている。なので、理子と七海はいないが、陽斗と純二は来ていた。因みに応援に来ていた生徒は別の場所で夕食を取っている。パーティーにはパーティー用の食事が用意されているので少し特別だ。
「そういや、太陽の娘は良いのか?」
「爺様に預けたからな、大丈夫だ」
「へぇ、太陽達の爺ちゃんか」
「何だよその顔」
「いや、変わってるんだろうなぁって」
「………まぁ、否定できないけど」
陽斗の失礼には太陽も思い当たることがあった様で言い返せないようであった。
そんな太陽達の妹達はどうしているのかというと、オッサンたちが挨拶をしに来ていた。
「初めまして。私は国防軍の主に日本海側で勤務しているんだけど試合みていたよ。すごかったね。あ、これ名刺ね」
「ああ、こっちも挨拶させてくれ。私は赤松観光で働いていてね。クルーズ船と勝手興味ない?」
「こっちもどうだい? 日村警備のモノなんだが、ぜひ卒業後はウチへ来てくれることを考えてくれないか?」
オッサンからの勧誘が熱心に朝日達にかかるが、彼女らはそれを苦笑いと愛想笑いと真顔でやり過ごす。太陽と言えども、これに手を出すことはできない。それに予想できることに関してはちゃんと手も打てるというモノだ。
「よぉ、お前ら久しぶりだな」
「お爺様」
「「お爺ちゃん」」
朝日達をスカウトしていたスカウトマンたちの前に現れたのは月川政宗。立場的には彼らの養父である。まぁ、年の差は祖父と孫くらいは空いている。その足元には朝華が引っ付いている。
政宗は巨大財閥の重鎮であり、その影響力は朝日達に声をかけてきた三下たちには抗いがたいモノである。
「ん? 話を中断させてしまったかな?」
「あ、いえ、何というか」
「話がしたいのであれば、また後にしてくれ。彼女らは一年生。ダンスもあるようだし、青春を楽しませるのも大人の務めだと思うが?」
「………そう、ですね。では、月隠さん達、また」
スカウトマン達は政宗にビビってそそくさとその場を去っていく。
政宗はその場に残って朝日達と話し始める。
「太陽には聞いたが、どうだった。今年の干支戦は?」
「「面白かった」」
「燃えませんが、そこそこに楽しめました」
「くっくく、そうかそうか、それなら良い。さっきも言ったがここを楽しんで青春を満喫しろよ。行くぞ、朝華!」
「はい!」
元気な爺さんは朝華と共にその場を去っていく。朝華はパーティーの料理等を楽しませるためにスポンサーの付き添いとしてきたようだ。




