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学生魔導士の騒動録~その力は誰のために~  作者: Dr.醤油煎餅
第二章
86/115

競技会十日目(午後の部)

 始まった試合は前評判通りに伊月高が優勢だった。

 派手さには欠けるが大悟の能力が活かされている試合だといえる。


「すげぇ」

「豪快な動き方だね」


 陽斗と純二は大悟のプレーを見て、十二家の凄まじさを知った。

 他の面々も豪快でありながら精密な魔法操作でしっかりと敵選手を気絶させていく、大悟の姿を真剣な目で観戦する。


✿  ✿  ✿


 大悟は破損の少ない工場地帯に来ていた。もちろん一人でだ。

 ここは防衛に向いている地形なので普通は仲間と連携して対応する。それをせずに来たというのは余程の自信家か、実力者だ。

 もちろん大悟は後者である。物陰を注意深く観察し、別の選手がいないかを確認して、潜伏場所を順々に潰していく。


(いた)


 早速、一校目を見つけたので、正面から襲撃を仕掛ける。


「来るぞ!」

「一人かよ。舐めやがって!」


 相手選手は工場内のモノでバリケードを作り、その裏から大悟に向かって魔法を一斉に放つ。主に放っているのは空気塊の弾、やそこら辺のコンクリ壁を砕いて拳大にしたモノである。

 しかし、どちらであっても大悟にたいして効果はない。彼の身体に着弾するが彼はそのまま突っ込んでくるのだ。

 もちろん大悟も魔法を使っている。それも概念干渉の魔法だ。彼が操れるのは“拒絶”。隔たりを作れる魔法であり、丑巻家が代々研究している防御魔法の成果の一つである。

 彼は体表に隔たりを作る事で自分に攻撃が当たる前にそれを弾いている。その防御力は対物ライフルをしのげるほどだ。

 そして、その防御力はそのまま攻撃力に転じる。高速で接近し、そのまま相手の懐に入って、反応される前に顎にぶちかまし、一人気絶させた後にそのまま回し蹴りを放つ。距離的に絶対届かない場所であったが足先に魔法で作った防壁を伸ばして相手の側頭部を蹴りの速度で相手に直撃させた。


「制圧完了」


 大悟は淡々と相手をした高校の旗を折り、別の高校を探しに向かう。

 その後も、大悟の一方的な蹂躙で試合は進み。遂に、残り一校の所まで来た。しかし、試合時間も残り少ない。

 場所は山林地帯。見通しが悪く、奇襲を受ける可能性が高い。能力的に大悟は苦手なステージだ。魔法を使い続ければそれに伴って霊子も消費される。長時間使い続ければ、それだけ消耗する。それに概念干渉は普通に魔法を発動するよりも大量に霊子を使う。試合中ずっと動き続けていたせいか、大悟もそれなりに消耗している。


「発見した」

「くそっ」


 相手は一人。もう一人いたようだが既に倒されたようだった。

 大悟は相手から放たれる魔法を全て受け止めて、タックルで吹き飛ばし旗を折った事で試合は終了。

 これで全ての試合が終了し、点数も確定した。


●昨日と今日の戦績●

・演習場

ウォー・ファイト(本戦)

一位:伊月台、二位:原手亞、三位:謝屋、四位:霜月、五位:水七、六位:和国、七位:帝王落、八位:空柱、九位:柳偶、十位:福原



●中間成績●

・国立伊月台総合教育高等学校(東京都)

獲得pt:10

総合pt:276

・国立原手亞総合教育高等学校(愛媛県)

獲得pt:9

総合pt:218

・国立城不総合教育高等学校(千葉県)

獲得pt:0

総合pt:126

・国立霜月総合教育高等学校(岩手県)

獲得pt:7

総合pt:244

・国立木庭高等学校(北海道)

獲得pt:0

総合pt:15

・国立福原高等学校(山形県)

獲得pt:1

総合pt:42

・国立柳偶高等学校(福島県)

獲得pt:2

総合pt:26

・国立水七高等学校(兵庫県)

獲得pt:6

総合pt:62

・国立空柱高等学校(島根県)

獲得pt:3

総合pt:30

・国立謝屋高等学校(北海道)

獲得pt:8

総合pt:67

・国立帝王落高等学校(鹿児島県)

獲得pt:4

総合pt:58

・国立和国高等学校(沖縄県)

獲得pt:5

総合pt:52


●最終順位●

一位 :国立伊月台総合教育高等学校

二位 :国立霜月総合教育高等学校

三位 :国立原手亞総合教育高等学校

四位 :国立城不総合教育高等学校

五位 :国立謝屋高等学校

六位 :国立水七高等学校

七位 :国立帝王落高等学校

八位 :国立和国高等学校

九位 :国立福原高等学校

十位 :国立空柱高等学校

十一位:国立柳偶高等学校

十二位:国立木庭高等学校


✿  ✿  ✿


 今年の全国高等学校魔法競技会、通称――、【干支戦】。優勝は国立伊月台総合教育高等学校になった。


「終わったね」

「んー、なんだかあっさりした終わり方だったな」

「まぁ、下馬評が覆る事なんてそうないしね。よかったよかった」

「これから閉会式だっけ?」

「俺は寝るわ」

「俺も寝る」


 太陽と辰馬は眠そうにして会場を後にした。


「私も行きます」

「朝日、夜になったら起こしてくれ。なんかパーティーには強制参加らしいから」

「あっ、はい」


 朝華は太陽についていき、太陽は朝日に目覚ましを頼んでそのまま競技場を出ていった。


「私も閉会式はパスしようかしら」

「そう? 終わりもちゃんとやってこそじゃない?」

「見どころは優勝旗贈呈か?」

「ここでやるんだっけ?」

「あそこの表彰台だろ」


 陽斗はトラックの直線の中間あたりに設置された表彰台を指差す。


「まぁ、表彰式なんて無駄に豪勢にするもんじゃないよな」

「無難に終わればそれが一番」

「流石にこれ以上は異常も起こる事ないでしょ」


 その後は閉会式が粛々と催された。

 優勝校代表の吹雪が表彰台に立ち、大会運営委員会の委員長から彼女へ優勝旗を渡される。

 吹雪がそれを頭上に掲げると競技場中から歓声が上がった。

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