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学生魔導士の騒動録~その力は誰のために~  作者: Dr.醤油煎餅
第二章
85/115

競技会十日目(午前の部)

 今日で食べ納めになる宿泊所の朝食を味わって食べ、太陽は朝から彼らの祖父役、月川政宗と会っていた。


「さて、先日は大義であった」

「いえ、指示通りに動いただけですし、妹達の安全もありましたので」

「その割にはお前たちの高校は負傷者を多く出したようだが?」

「流石に全員の面倒は見切れません。それに実験品が持ち出されるとは思いませんでした」

「そうか。お前なら十分予想できたと思うが」

「国家が関わっている賊がやってくるとは思いませんよ。対処は出来ますが、予想はできません」

「そいうモノか」


 監督者には現場の苦労が分からないというのはどんな所にも起こり得る事だ。太陽が苦労を吐露したことに政宗は意外そうな顔をしている。


「しかし、お前のいる開発部のシステムは国家レベルの情報システムを使っても破れない仕様になっている筈だろ」

「舞台の違う所を持ち出されましても。今回は流石に情報収集不足というか、軍の方から洩れてましたね」

「なに?」

「聞き出しましたが、技術者として入った所の一人が漏らしましたね。もう処分しましたし、漏れたところから危ない奴も入れておきました」

「信頼しているからこそ入れたんだがな。評価を改めなくては」


 政宗は太陽に協力させてる軍の一部への評価を改めた。それはそれとしてそこからは祖父役として久しぶりの孫との会話を楽しんだ。


「今年の勝ちは決まったが、どうだった?」

「やはり、本職の方と比べてしまうと技術の差は感じました。が、発想は新しいのが多くて新鮮味を感じましたね」

「お前は外を知らないからな。そう感じるのも仕方ないが、例年の傾向を調べると似たものが多かったのだが」

「競技用と実戦用との違いですかね。俺に求められるのは効率の良い魔法でしたし。能力を落とさざるを得ない状況は今までありませんでしたから、対応力不足と言えばそうですね」

「そういや、お前の担当した子が一人失敗しておったな」

「次に活かしますよ」


 その後は当たり障りのない話をして、太陽はチームの元へ戻っていった。


✿  ✿  ✿


 太陽は競技場の大画面モニターの方に来ていた。妹達が此処で見るというので、今は彼女達を探している所である。行く前に飲み物と摘まめるもの用意してくれと言われたので、それも仕入れて探している最中である。


「パパ様ー!!」


 探している太陽を朝華が見つけて呼んでくれた。人がたくさんいる所で大声を出せるのは子供の特権かもしれない。


「お待たせ」

「待ってました!」


 太陽は家族と友人の分のドリンクとポップコーンなどをそれぞれに渡していく。もちろん代金は頂いた。


「今日で終わりだな」

「そだねー」

「まだ、最後の競技が残ってるけど?」

「もう逆転できる点差じゃないしな。気が抜けるわ」

「花形競技だけどこれで結果は変わらないって言われると確かに気が抜けるな」


 太陽達は既に自分達が出る競技は終わったので、ガッツリと気を抜いていた。つまり、だらけている。が、周りに迷惑をかけない様に最低限のマナーは心がけている。


「でも、先輩の応援はしっかりしないといけませんよ」

「「面倒くせぇ」」


 心美から有難い小言が飛んでくるが、太陽と辰馬の二人が心底面倒くさそうに溜息をついてボヤく。


「いや、もう少し元気出してきてくださいよ」

「無理」

「だるい」


 辰馬も太陽も一昨日から色々頑張っていたので結構疲れているそれに加えて、太陽は普通ならしないような事も率先して頑張った。辰馬も裏では暴漢達の後処理を手伝わされていたので相当疲れている。


「パパ様、今日の競技はどんな感じなのでしょうか?」

「………はい、朝華さん。今日の見どころは、そうですね、お空がきれいですからお昼が美味しいでしょう。………………ぐぅ」

「………むっ、解説の辰馬さんはどうですか!?」

「……あっ、はい、降水確率は低いのでお外でお昼が良いと思います、ぐぅ」

「天気予報になっているな」

「まぁ、お二人共疲れていますし」

「だらけ過ぎじゃない?」


 陽斗、琴乃、理子はそれぞれに太陽と辰馬の天気予報を突っ込んだり擁護したりしている。


「というか、まだ始まんないのにココで見る意味とかあるのか?」

「そんな事言っていいの? 今年のハイライトや大会委員会による歴代のおすすめシーンが流されるんだよ」

「成程、俺のシーンが大画面に」

「そうね。貴方がウォー・ファイトの時に階段を上り切ってるのにもう一段登ろうとしているお笑いシーンとか映してくれるかもね」

「えっ、映ってたのか!」

「ええ、会場中が笑ったわよ、あの時は。……っふ」

「んだよ、試合の後から皆が俺の事を見てるなって思ってたのに……」


 一時のモテ期の謎が解けて残念そうな陽斗。そんな彼を見て、純二や七海、彩、琴乃は可哀そうなモノを見る眼をしていた。


「今年のハイライトは新人戦のウォー・ファイトが多いね」

「まぁ、結果が派手だったし」

「というか、最後の競技前にハイライトを流していいのか」

「例年はこの競技が一番盛り上がるんだよね。ハイライトで振り返りと盛り上がりを持っていて最後の花形競技でそれを爆発させるのが例年のやり方だったし。今年は新人戦の方が盛り上がりすぎたね」


 今年の異常性を彩は解説した。確かに、使える魔法の少ない新人戦の方が盛り上がりには欠けるが、今年は異常事態であったからそのせいもあるだろう。


「そろそろ始まるみたいだよ」


 辰馬と太陽以外はハイライトが終わり試合開始前の様子を映し出した大型モニターに注目する。

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