競技会八日目(夜の部)
今日も毎夜恒例の作業車前のお茶会が始まる。メンバーはいつもと違うが。
「今日はお疲れ!」
「お疲れー!」
今日は黒くなった太陽――パッチワークマンが席に座っている。
けど、色くらいしか変わらないので全員何も気にせず、それを受け入れている。
「って、太陽君はどうなってるの、それ?」
「何がだ?」
「いや、黒くなってるじゃん」
そこまで受け入れられていなかった。当然といえば当然の反応である。
ワークは紅茶を口に含む。
「………」
「………」
「………」
「………」
「………」
「いや、喋んないのかい!」
「喋れって言っても喋ることがねぇし」
「そう、なの?」
理子の質問にワークは喋るつもりがないのだろう。普通に黙って無視した。
「………なんか質問したら答えてもらえるの?」
「おう、良いぞ。小僧の性癖から、好みの女のタイプ、小娘共のスリーサイズに至るまで、可能な限りの知識が話せるぞ」
「ほう、どんなことでも?」
「おう、俺なら初見の女の胸のサイズを計れる。そっちの小娘は80後半はあるだろ」
「何でわかるんですか!?」
ワークは初見で七海のバストサイズを当てて見せた。
「うむ、因みに朝日は90後半に入って来たな」
「何で知ってるんです!」
「そりゃあ、俺とこの体の眼力なら余裕よ」
「だからって、言わないで下さいよ」
「こいつの先代くらいには大きくなれそうだし」
ワークは自分を指差して大きかった人を指摘する。
「話がそれたから戻すけどさ、一つ聞いて良い?」
「まぁ、ええよ」
つまらなさそうな顔をしてワークは理子からの質問に答える事にする。
「太陽君たちの古式魔法流派の目的って何?」
「目的?」
「知人から聞いたんだけど。魔法って昔から目的があって開発されるらしいから、そういう意味ではどういう目的で作ったのかな? って、思って」
「あー、そういう」
ワークは質問の意味に納得した態度を取ると、質問に答える。
「目的はよくある事で神になるためだ」
「よくある事なのか?」
「ありふれた理由だろ。人間は何故か完璧を追い求める。で、その完成形が神って事だ」
「でも何で、そんなのを目指すんだ」
「人間じゃできない事なんて腐るほどある。出来ない事をやり遂げたいって考えて、その方法を模索する、手段を開発する、それを実践する。俺達の場合は神になりたいからそれ等を作るってだけ」
「なる、ほど?」
「なれる可能性ってあるのか?」
「さあ、何でもできるが神の条件って訳じゃねぇしな。少なくともこの世界よりも上の次元に行かないとそれは神とは言えないし、けどそんな事を観測できないし」
どんな言葉が一番ふさわしいかを熟考し、結論を出す。
「………………結論としては、理論上成れるけど、理論上観測不能、かな?」
「神様は観測できないのか」
「まぁ、ソコは仕方がねぇ。だが、神様は見れねぇが、一分野で常識を覆した力を持つ者もいる。そういう奴等は超越者と呼ぶ、現状、この世界にいるのは四人だけだ」
「へぇ~~、で?」
「神様の代わりみたいなもんだ。相当珍しいし見られたら運が良いかもな」
「超越者は人間なのか?」
「元は人間だな」
ワークは飲み物を一口含み、その後も簡単な話を受け付けてその日のお茶会は少し騒ぎながらも和やかに終わった。
✿ ✿ ✿
お茶会が終わり辰馬とワークは部屋に戻った。日付が変わると髪は黒から白にマスクも裏返し、元の太陽に戻った。
「ん~~、良く寝た」
太陽は身体を伸ばして、固まった筋肉をほぐす。
「あ~、肩凝った。やっぱり、寝てばっかりでも疲れるね」
「身体はずっと起きてると思うけどな」
「気分の問題だよ」
「それより、早めに寝た方が良いんじゃないか?」
「それもそうか、じゃあ、寝るわ」
太陽はベッドにダイブしてその日は就寝した。明日は妹とその友人の為に自分の力を最大限に振い、午後には自分の発明品の実験を行うのだった。




