競技会八日目(午後の部その5)
太陽は空中を蹴ると足裏から衝撃波が放たれてその反動で上へと上がっていく。
日輪は自陣に仕込んだ狙撃部隊を利用して太陽を狙わせる。
ドンッ――!!
狙撃で飛んできた弾は空中でつかみ取り、本から死神型の黒帯を放出して狙撃犯へ向かわせるが携行ミサイルが死神に直撃してカウンターを無力化した。太陽は空中を蹴って一直線に日輪の所へと向かう。
「拳っ骨!!」
日輪に避けられたが、地面は派手に爆散し、吹っ飛んで行った。事前に土くれになって解れてはいても太陽の力がいかに強いのかがよく分かる程の衝撃であった。
「なんだ、今の必殺技か?」
「爺さまが見てんだ、エンターテインメントを意識しないと格好がつかないだろ」
「マジか、………もっと、派手に行くべきかねっ!」
日輪が右足を踏み込んで正拳突きを放つとその方向の気温が急激に上昇していく。この戦いで初めて普通の魔法が使われた瞬間である。太陽は熱してきた意図を考えるが、直ぐに立ち眩みに似た感覚を覚えて距離を取るが症状は改善しない。無論、日輪が隙を見逃すはずもなく機銃とバリケード立てて、弾幕を張る。太陽は頭を抱えて黒帯形成の一歩手前の状態を頭部をすっぽり覆うように形成すると変換前の魔法は入れなくなり元々あった霊子も追い出される。そこから、地面を蹴っ飛ばして土煙を起こすと同時に黒帯を壁の様に展開して機銃の弾幕を防いで同時に前へと倒す。
「ふぎっ! ぎぃぃぃぃっ!!」
重量を増してくる黒帯に押しつぶされまいと踏ん張る日輪、その上に乗って黒帯の厚さを高めていく太陽。昔の拷問の様だが日輪は歯を食いしばって耐えている。そんな日輪に更なる重荷として黒帯の象が降ってきた。
「あぶねぇな」
太陽が手を横に振って象を弾き飛ばすと象を降らせた日出に掴みかかる。日出の周囲は台風のようになっていて普通の人間なら弾き飛ばされるように日出は操っている。しかし、そんなものはお構いなしに台風の壁を突破して日出の方へと飛んでいく。
「鬱陶、しい!」
日出を掴んでそのまま回転すると、その勢いに乗って日出を地面へと叩きつける。同時に黒帯の壁を破壊して日輪が出てきた。
「ひどい光景だよな」
「誰がやったんだろーなー」
「そうですねー」
他人事のように話す三人。その周囲は大きな怪物が転がりまわったかのようにボロボロになっていた。だからと言って何か後悔しているようでもない。まぁ、三人がそんな事で悩む方がおかしいが。
「そろそろ、決めようか」
太陽がパラパラと本を捲ると、見開きから大量の黒帯が放出されて。そこから漫画のラスボスの様な風貌の巨体が出現した。
『ギャギャギャギャ、我は魔王なり!! 恐れ、ひれ伏せ、我に抗う愚者どもよ!!』
魔王はそう言うと手に持っていた剣を日出に振り下ろすが、何なく受け止められていて。手を上に振り払う事で弾き返された。加えて、魔王を出している時間で、日出と日輪の準備が整っていた。
「エンタメだしね、派手に行こうか」
「アイアイさー」
二人が一歩踏み出すと、日輪の身体には獣を模したような衣装や鉤爪を装着していき、太陽に迫る頃には狼男の様な状態になっていた。日出の方はまた違って神話に出て来る神様のような神々しいいでたちをしている。
その後は太陽と日出は肉弾戦、日輪は鉤爪を用いた近接戦をそれぞれに仕掛けている。しかし、数秒してくると、太陽と日出の運動能力が下がり始める。緩やかな変化なうえに、元の身体能力が高すぎるため本人たち以外には分からないが感覚とのずれを感じて日輪からの被弾を受けやすくなっていた。
(やろぉ、始めやがったな)
太陽は日輪の能力に辺りを付けて、対策のために自身を超強化していく。もはや、体は砲撃だろうが爆撃だろうが、かすり傷も付けれない位には強くなっている。
日出は身体能力が落ちたのなら、それに左右されない攻撃を行う事にした。一時期晴れていたというのに豪雨と落雷が再開される。細かい操作は出来ないが範囲攻撃なので打ち続けるだけで楽でいい。
部分的な天災は演習場を蹂躙していく。




