競技会八日目(午後の部その3)
競技場で中継を見ていた伊月高は太陽によく似ている謎の人物に首を傾げていた。が、太陽の妹達は特に驚く事無く中継を見ている。
「使う必要があったのでしょうか?」
「まぁ、本人の意向が一番だし。私は使ってもいいと思うけどな」
「その後が心配なんです。代償によっては上の人達に詰められる私の身にもなって下さいよ」
朝日は心配そうな表情で試合を見守る。
場所は変わって伊月高のテントでも選手が一人増えている現状に首を傾げていた。
「元からおかしい格好をしていたとは思いましたが、状態までおかしくなるとは」
「分身………、いやでも、実体まで獲得して独自の思考を持つなんてありえないだろ」
「でも、事実出てきている訳だし」
「そうだが」
不思議な事をして来る奴が、不可思議な状態になっている現状を一番気にしているのは伊月高の首脳部であり、反則の判定は何処にあるのかを考えると吹雪の頭とお腹は痛みを訴えるのだった。
「う~、せめて解説役を付けて欲しかったわ」
何も分からない現状を嘆いて、吹雪はぼやくのだった。
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太陽、日出、日輪は三人だけになると、戦闘が激化していく。太陽の戦闘方法は変わらず、素手での殴り合い。一応、足場を変えるための黒帯を使っているがほぼ拳しか使っていない。
日出は周りに黒帯で作り出した動物を操っている。ライオン、サイ、ゾウ等、サバンナ動物を構成して、太陽と日輪の二人を襲撃し自身も雷、地震、地割れ、大雨を降らせて援護する。
日輪は日出とは違って軍隊を模した黒帯を的確に指揮して、自らが前線に立って戦闘を行う。
「おい、日出!! 動物愛護団体に訴えられんぞ!」
「言わせておけ、たいした主張もできないだろう」
「そうそう、威勢は良いけど度胸はないんだから」
「2対1は卑怯だろ!」
「何言ってんだ、一対一対一だろ」
太陽は空中で拳を振う事で空気が押し出されその圧で彼らを保護する動物や兵隊もろともに吹き飛ばす。衝撃波自体は二人に対して聞いていないがそれ以外には結構聞いたのか兵力は結構削れている。
太陽は追撃の為に地面を踏みしめて地割れを起こし、境目に手を突っ込んでちゃぶ台返しの要領で地面をひっくり返して二人を押しつぶす。
太陽は黒い本を開いて二つの人型を召喚し、更に追撃を加える。彼らは自身を霧のように変化させて接近し、片手をドリルのように高速回転させて突き刺す。が、二体の人型は土くれから飛び出した日出と日輪の手に首元を掴まれ握りつぶされる。
「あー、鬱陶しい」
「死ぬところだった」
「嘘つけ」
三人の戦闘はさらに激しさを増していく。




