競技会八日目(午後の部その2)
太陽は最初に十一校集めて、草原地帯に六校を持ってきた。一校は旗を潰して敗退させて、もう一校は叩き潰した。草原地帯には七校いたのが五校にまで減っている。
「よっ」
「ほい」
そんな軽い掛け声をかけて、日出と日輪が残り他二校の全員を無力化する。
「さて、お前ら。全力で逃げろ」
「お前らもな」
『『分かった』』
日出、日輪以外は神妙な顔をして、逃げる準備をする。
太陽はとんでもない速度で二人のチームメイトを同時吹き飛ばそうとする。
「させっ――」
「無駄」
両手をクロスさせて一気に外側へ振り切って弟ごと彼らのチームメイトを吹き飛ばす。
「取りあえず、邪魔な奴等は安全地帯に誘導」
太陽は黒帯でリタイアしている選手全員を安全な場所へ送る。
「油断しすぎだろ」
後方で完全に油断していた太陽を日輪殴りつけたが、その拳は掴まれて一本背負いで投げ飛ばす。同時に日出が殴り掛かってきたが太陽は跳躍で避ける。
「うわっ」
「あぶねぇっ!」
太陽は跳躍と同時に身体を捻って、脚力で突っ込んでいって拳骨を打ち込む。
「あぶっねぇ」
「オラよ」
日出は拳骨を止め、日輪は二人纏めて黒帯で作ったアサルトライフルで掃射して攻撃する。二人は脚力任せで後方へ吹っ飛んでいく。
「いてぇ」
「鬱陶、しい!!」
太陽は腕を横に振り払うと爆風の様な風が日輪に直撃する。
日輪は体勢を崩すことなく、踏みとどまる。しかし、爆風の衝撃で動けないので日出が突っ込んでくる。太陽は纏めて、吹き飛ばすために黒帯で作られた大きな手を打ち付ける。
「まぁ、無駄だよな」
大きな手が破壊されると、そこには無傷の二人が立っていた。
「こんなんで、倒されたと思われるのは心外だな」
「どうやら、俺達のチームメイトは逃げ切ったみたいだな」
「これで手加減も要らないな」
「いや、演習場をボコボコにするのはマズいだろ。片付けが大変だ」
「それもそうか」
一瞬の静寂の後、凄まじい衝撃音が響いて直径50メートルに衝撃波が響く。
❖ ❖ ❖
太陽がいなくなった後は辰馬が戦場を掻きまわしていた。彼の戦闘は基本的に手に持った大体30㎝位の殺傷力の低い武器を振って、背後から相手を無力化していっている。辰馬の身のこなしは一級品で相手の反撃も軽く躱して懐に入り込んでコンパクトな攻撃でトドメをさしていく。
「おー、おー、中々に堅実にやっている」
ローブのフードを被った黒い人影は建物を崩してできた瓦礫の上で白い本を開きながら、黒帯で形成した人型を出し続けて辰馬が倒した選手の救助活動を行っている。
辰馬が一方的に優勢の動きを見せているが、落ち着きを取り戻した選手がチームメイトを助けた段階で全員が何とか体勢を立て直し、辰馬も一旦仕切り直す。倒せたのは五人、同じ高校が二人に他三人が三校ずつ。この場には六校がいる、いずれも四人組で動いている。辰馬たちを抜けば残り15人。
「力は貸してくれないんですか?」
「ははっ、悪魔に力を借りる度胸はお前にあるまい」
「貸す気はない、か」
辰馬は姿勢を低くして戦闘態勢を取る。
「他のチームに合わせるぞ」
そう言って他校と視線を交わして合図を送って一気に周囲から突撃する。辰馬に三人残して、残りは後方の黒い人影に二人、太陽達の本拠地のビルに残りが突撃していく。
「キッツ、い」
同時攻撃で逃げ道を失くして攻撃していくが、一人の攻撃を弾いて腹部に掌底を喰らわして体勢を崩した所に回し蹴りで側頭部を撃ち抜く。一人、脳震盪で倒したが怯まず残りの二人が上下で挟撃してくる。辰馬はそれを回避する為に魔法で自身を吹っ飛ばして何とか避ける。
支給品に殺傷力の低い武器を全員に渡されていたが、辰馬は最初の五人から武器を奪って他よりは武器を持った状態なので豪勢に使っていく。
武器を投げつけて相手を牽制し、距離を取って身を隠す。相手側も別に味方チームって訳じゃないので共通の敵を見失えば互いに争い合うのは分かり切っていた事である。
「あっちは」
辰馬が相方の方を見ると既に黒帯で出来た人形が襲い掛かって来た選手を掴み上げて無力化していた。
「まだ、終わんねぇのか?」
辰馬に襲い掛かっていた残りは黒い人影に向かう。接近中も魔法で物を飛ばして遠距離で責めるのも忘れない。しかし、人形が遠距離攻撃を防ぎ、接近も防ぐ。どこぞの騎士やスーパーヒーローたちを模したような人形は黒い人影を守る様に陣取る。
襲ってくる選手を囲い込み、一切の反撃を許さず袋叩きにする。
「なん、なんだ、お前」
答えが返ってくるはずもないのに、倒された選手は疑問を突き付ける。以外にも返ってこない筈の答えはすんなりと返ってきた。黒い人影はフードを外して全身から恍惚とした感情をだしているように感じた。
「人の悪意だよ」
フードを取った人影は大きな黒い布を顔に貼り付けて唯一出ている右目は爛々と輝き、白い髪が全体の暗い印象から逸脱していて不思議と神々しい印象を与えている。




