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学生魔導士の騒動録~その力は誰のために~  作者: Dr.醤油煎餅
第二章
61/115

競技会五日目(午前の部)

 太陽が朝食を食べていると大会委員の人がやって来た。


「……という訳で、不正防止の観点から申し訳ないのですが、再度こちらで審査させて頂きたい」

「構いませんが、現状手元にはないのでお渡しは出来ませんよ」

「午後は予定ないだろうしその時届ければ?」

「……じゃあ、十四時に大会本部の方へ届けに向かいますね」

「承知致しました。では、これで失礼いたします」


 一緒に朝食を取っていた辰馬の提案に乗って太陽はMAEを十時に届けに行くことになった。


✿  ✿  ✿


 マネージャー役の仕事の下準備だけ終わらせると、朝から始まるロングショットの試合の調整を始める。今日は夏日と彩の両名が出場する。両者とも大舞台だからか緊張している様子だった。


「緊張してるな」

「まぁ、うん」

「程々に」

「夏日は昨日出てたけど、やっぱり大勢に見られるのは違うモノなの?」

「うん、目の前の相手に集中できる環境は重要」

「彩さんも同じ様な感じ?」

「まぁ、ビビる程ではないけど、やっぱり緊張はする」


 そんな会話をしていてものほほんとした雰囲気は三人の中に漂っている。緊張感のある雰囲気はなさそうである。


「そろそろ試合時間だ、行ってきな」

「じゃ、行ってきます!」

「行ってきます」


 二人は元気に試合会場へ向かうのだった。


✿  ✿  ✿


 二人で向かっても試合をするのには順番がある。先に行うのは彩なので、夏日は離れて待機する。


『オン、ユア、マーク』


 機械音声が会場に響く。


『セット』


『―――――♪♪♪』


 ブザーの音と同時に的が射出される。


 彩は大雑把に範囲を指定して狙いを付けるとその範囲に大威力の衝撃波で全ての的を吹き飛ばす。


「凄まじい威力だな」

「だが、あの威力で連射は難しい筈だな」

「しかし、効率の悪い作戦を何故?」


 強力な威力の魔法はその分だけ、エネルギーを、霊子を喰う。エネルギー切れになれば、魔法を撃つことができなくなる。こういう作戦を取っているという事は、それだけ選手の霊子量に自身があるという事でもある。

 しかし、そんな心配をする必要はないという程、ポンポン最初の様な砲撃が続き、全ての的を全壊で決着をつけた。


『100/100 PERFECT!!!』


 会場が壊れる程では無かったが、衝撃の余波は観客席に十分伝わってきた。


✿  ✿  ✿


 伊月高の二人目、夏日も似たような構えを取って開始のブザーを待つ。


『オン、ユア、マーク』


 機械音声が会場に響く。


『セット』


『―――――♪♪♪』


 的が射出されると同時、中心に向かっていくと同時に速度が落ちる。真ん中等へんに来ると空中で静止する。


「はっ?」


 余りに不可解な現象に会場は驚愕したが、五分経つ前に100発が放たれたところで六面全てから圧力を加えて押しつぶした。


『100/100 PERFECT!!!』


 会場が判定を待っているがルール上は問題はない。ルールでは空中には得点領域が設定されていて、的がその領域を過ぎると破壊しても得点にもならないが今回は的が得点領域に入ったままで六面から押しつぶしたことで一撃で百点を取った事になる。

 多少、会場からのヘイトは買ったが、後ほど太陽が聞いてみたところ、許容範囲内との事らしい。太陽は太陽で後で荒れそうだなと頭を悩ませていた。

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