競技会二日目(午後の部)
昼食は朝華と一緒に取ることになったしかし、朝華は弁当は用意されないので太陽が即興で作った野菜炒めとお弁当のご飯を分けてもらってそれを昼食にしている。
「パパ様、お肉下さい」
「ええよ」
「ありがとうございます」
「はいよ」
なんだかんだで娘には甘いのは全国のパパに共通なのだろう。
弁当のおかずにあったお肉を分けてあげている。その姿を周りはいつも通りという風に見ていたり、羨ましそうにも観ていたりしている。
「ラブラブだねぇ」
「親子だね」
「いや、その通りだろうけど」
少し複雑そうに朝華の事を見るのは琴乃であり羨ましそうにしている。
「この後どうするのですか?」
「本戦に妹が出るみたいだから先輩の応援も兼ねて観戦しようかな」
「私も行くです」
「一緒に行こうか」
太陽はご飯を食べ終わると休憩を兼ねて選手を連れて行って競技場へ向かった。
✿ ✿ ✿
競技場では午後唯一の競技であり、本日最後の競技であるタッチチェイスが始まろうとしていた。
「おー、委員長と照日がやり合うのか」
「委員長?」
「俺の上司みたいなものだよ」
見覚えのない父親の知り合いに疑問を持ったのか尋ねてきた。しかし、誰がどれなのかは分かっていない。
「どれ~」
「伊月高の選手だよ」
「いた~」
伊月高代表は冬華で、城不高代表は照日が注目選手としてあげられていた。前者は優勝候補、後者はダークホースとして注目を集めている。まぁ、チームで勝利しないといけないのだが、一試合を確実に取れるというのは大きいだろう。
という訳で、期待通りか大番狂わせが起こるかそこに大半の注目が集まっている。
「照日姉頑張れ~」
熱気と歓声の中に朝華の小さい声が混じっていく。
✿ ✿ ✿
ブザーの音と共にタッチチェイスがスタートした。エリアは森林地帯。見通しが他エリアと比べても悪い為、選手と観客ともに人気のないエリアだ。
最初の数十秒は硬直すると思われた、その予想は裏切られ最初の数秒で事態が動いた。
伊月高、足柄冬華が得点にされたのだ。事前予想では有利だったのに得点を取られ、会場には動揺が走っている。
「まず、一点」
「なっ!」
点数にしたのは照日だった。おちょくる様に冬華の目の前を通り過ぎて森の中を駆け抜けていく。冬華はそれを数秒で見失った。
しかし、硬直することなく照日を追いつつ、他の選手がいないかも目を配る。
そろそろ十秒が経った頃、脇腹を誰かにはたかれた、誰やろう照日である。
「何時の間に…」
冬華の呟きを気にする事なく、照日は木々を伝って別の場所へと向かう。冬華はその後照日に徹底的にマークされ、思うように点数を稼げずに試合が終了した。
「っ………! くそっ!」
冬華は何もできなかった悔しさで拳を樹に打ち付けた。




