競技会二日目(午前の部その2)
朝華たちが練習場を騒がしていても競技場の方も騒ぎが起こっている。こっちは順当な結果の上でファンが騒いでいる感じだ。現在は競技場でロングショットの競技が行われている。
「伊月高は凄いですね」
「例年通りではあるか、詰まらんな」
太陽達の義父、月川政宗は顔を顰めて遅れてやってきた部下の感想に応える。
伊月高は女子陣営の狙撃種目で高い結果を出している。加えて、去年に続いて十二家の人間が出てきているため、専門家気取りの人間からは他が逆転する可能生は低いと言われている。
事実、エースの巳森吹雪は現段階で唯一予選をパーフェクトで抜けてきた。
試合結果がわかる試合など詰まらないというのが政宗の心情だろう。しかし、政宗の頭にはこの硬直を打破する選手が写った。
『原手亞高校、一年、月隠春日』
そして、競技場内に放送が流れる。政宗が注目している選手だ。
会場内にはどよめきが起こる。本戦で一年生が出場するのは珍しいからだろう。綺麗な顔の上には機械的な補助を受けられるHMD取り付けられている。
『オン、ユア、マーク』
春日は狙撃場所から構える。とても手慣れた様子で小銃形態のMAEに付けられたスコープから覗き込む。
『セット』
余りにも堂に入った様子に、会場が静まり返り、奇妙な圧迫感に包まれた。
『―――――♪♪♪』
ブザーの音が鳴り響くと、標的が射出される。両側から中心に向かって発射された的は二メートルは進んだ段階ですべて破壊され撃ち落とされた。
使われた魔法は、一ヵ所に向けて圧力を加える魔法。魔法は本来、細かい狙撃というモノには向いていない。霊子をエネルギーに変換して魔法が発動される関係上、罠を張るように撃たなければいけないため、狙撃ともなると先読みが重要になってくる。そして他に影響を与えることなく真ん中を撃ち抜けるのであれば、かなりの熟練度が必要になってくる。
「すごい、ですね」
「当然と言えば、当然だな」
彼女は政宗が面倒を見ている少女だ彼女の実力は政宗も理解していたはずだが、見てないうちに随分と実力を伸ばしていた。数分してようやく競技が終了する。結果がスクリーンに映し出される。
『100/100 PERFECT!!!』
予選で二人目のパーフェクト達成者が出た。
「決勝戦まで勝ち残るでしょうか?」
「絶対はないが、可能性は高いだろうな」
上から見下ろす政宗は愉快そうに会場から去る春日を見送る。




