競技会二日目(朝の部)
朝飯はバイキングスタイルなので適当に選んで皿に載せてお腹に入れると、辰馬と太陽は準備運動しつつ練習場の準備とスポドリづくりを行い、選手たちを待つ。一応、昨日の試合の様子を確認する。参考になる魔法の使い方をしている先輩もいたが、魔法の構成を今から変えるのは時間の無駄なので何かあった時の参考程度にメモを取っておく。
「おはようございます」
「ああ、おはよう」
選手たちが来たので、今日の練習を各々に伝えてやってもらう。しかし、そこは辰馬に任せて太陽は応援団の方と個人的な客人を迎えに行く。
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応援団は各校が有志を募ったりして結成した集団だ。これと言って興味は無くても選ばれればプチ旅行ができるので志願する生徒も多い。因みに応援団は第一陣と第二陣に分かれていて、第一陣は昨日既に入っているので、こっちは一年と応援用の道具を持ってくる班だ。
「太陽く~ん。お出迎えありがとう~」
「皆の荷物はこっちに積んでおくから先に代表はチェックインしよう、ついてきて」
太陽は代表の生徒である、蓬理子をフロントに連れていく。
「じゃあ、手続きは自分でね。俺は荷物を入れていくから」
「はーい」
理子に手続きを任せて、外に待たせている生徒を宿泊施設に入れていく。荷物もそれぞれの事前に決めていた振り分け通りに行い手続きが終わった理子から部屋の鍵を受け取り、荷物をしまうと試合会場へ向かう。
太陽はドライバーに礼を言いつつ、去っていく姿を見送ると応援の器具を試合会場へ運んでそれぞれに配ると、今度は個人的な客人を迎えに行く。
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ホテルのロータリーに戻ると高級車が入ってきていた。すると、太陽の姿を確認したのか彼の前に停車する。ドライバーがドアを開けて
「わざわざ遠方からおいで下さり、ありがとうございます」
「直ぐで悪いが観戦場所へ案内してくれ」
「承知致しました」
偉そうな和装の老人をホテルマンの様に太陽は中へ案内する。
彼の名前は月川政宗。月隠兄妹たちを引き取ってくれた大富豪の爺さんで、戸籍上太陽達の義理の父になっている。それとは関係なしに干支戦の観戦が好きで毎年、時間を作って観戦しに来ている。
「こちらです」
「うむ。………駄賃だ、受け取れ」
「ありがとうございます」
「期待しているぞ、頑張れよ」
「頑張ります」
太陽は頭を下げて退室すると、別の客人を迎えにまたロータリーへ戻る。
「パパ様~」
「朝華~」
定期的に来るバスからスーツケースを引っ張ってきた美少女、というより幼女が出てきたので太陽は迎えてやる。太陽の娘、月隠朝華である。
「一人か~?」
「ううん、日暮姉と一緒に来たの」
「そかそか、日暮もありがとな」
「別にいいよ~。あと、これ」
「お、ありがとう」
太陽は銀色のケースを受け取ると、それをもって朝華の手を引いて試合会場へ運ぶ。宿泊施設の手続きは既に済まされていた。




