競技会一日目(午後の部)
太陽は午前の部が終わると、火凛達タッチチェイス組に引かれて男子本戦のタッチチェイスを観戦しに来た。と言っても、太陽も先達の能力をまじかで見れるとの事で少しワクワクしている。
「………日出がいるな」
「そだねー」
「何かあるかな?」
日出は準備体操後に試合会場である演習場の指定位置に入る。試合会場は建物地帯、住宅地の様な感じの区画であるが、外観だけで建物の中には家具も内装もないので張りぼてだ。魔法もあるので材料があれば壊れても立て直しが容易だ。
「どれ位、壊すと思う?」
「二軒、三軒は家が吹っ飛ぶだろうね」
「猛獣大進撃」
好きに話し合いながら、試合開始のブザーが鳴ると大画面に試合が始まって動き出す選手の姿が映る。
✿ ✿ ✿
試合は小型ドローンが何台も投入されて凛々しい選手たちが今は大画面には分割で各選手を映し出されているが、動きがあればアップに映る。因みに大画面は三台あり、一台に4人映っている。一応、演習場も肉眼で確認できるがそんなものよりも大画面の方が見やすいだろう。
「動いたな」
一つの画面が大きくなり動きがあった箇所を映し出す。そこには大柄の選手――日出と平均的な身長の選手が向かい合っていた。
日出が手に持っていた黒い塊――、黒帯を相手選手に投げつける。そのまま蛇の様に巻き付いて相手選手を拘束すると、直ぐに相手に触れて1ptを獲得する。拘束し続けることはルール違反になるので直ぐに拘束は離れて日出もそのまま家を飛び越えて何処かに跳んでいく。
初得点を獲得した事で見学会場から歓声が上がる。それだけにとどまらない事は彼の兄妹たち以外には予想しえない事だった。彼がカメラの視界から消えると、物陰に潜んでいた別の選手のカメラに彼の姿が映ったかと思うと、気付かれる事なく触れられる。触れられた選手は後ろを振り向いたが、既にそこに日出の姿は無かった。
試合終了まで、日出は常に影に潜み、気付かれる事なく得点を搔っ攫っていった。




