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学生魔導士の騒動録~その力は誰のために~  作者: Dr.醤油煎餅
第二章
39/115

移動中の話題

 今日は競技会の会場への移動となる。元滋賀県の琵琶湖近くの元軍事演習場が第一回からの競技会会場になっている。因みに、【大災害】以降は世界各地の地形が変わっている。日本では山が多いのは変わりはないが平地な部分は広がっている。その為、交通インフラの整備が進んで短時間で長距離の移動が出来るようになってきた。そんなわけで学校に集合し大体三時間強の時間、バスで競技会場まで移動することになる。

 太陽は今、選手や他スタッフの荷物を中型トラックに積み込んでいる最中だ。競技会期間中は近くの選手達専用の宿泊施設に泊まることが出来るので例年全ての出場選手、学生スタッフ、有志学生ボランティアが泊まる。競技人口は少ないが、国の保護が手厚いのでこういう無茶もできる位には優遇されている。


「お願いしまーす」

「はいよー」


 太陽はトラックの中に学年ごとに分け、名札を付けて仕分けする。

 太陽がこうしてトラックの積み込みを手伝っているのは誰が相手だろうと、丁寧に仕事をするから、だという。そうして太陽は選ばれた通りに真面目に仕事に取り組んでいる。

 そんな太陽、今は上下をスポーツウェアを着込んで涼し気な恰好をしているが白いマスクは相変わらず着用していた。そんな異様な格好には伊月高選手団はすっかり慣れたのかもう気にしてはいない。


「もういませんか?」

「自分で最後だな」

「承知いたしました。積み終わったら出発なので早めに席に座っててください」

「お前はどうするんだ?」

「自分は作業車に乗って他のエンジニアと相談なので」

「そうか」


 同級生の男子は少し肩を落としつつも駆け足で馬車に乗り込む。太陽も自分った位の作業車に乗り込みMAE調製用に機器類と共に競技会場へ向かう。


✿  ✿  ✿


 移動中、朝日、夏日、紅火、火凛でウノをしていた。他、先輩や同級生は付き合いやすい人達と一緒に道中を楽しんでいる。


「んー、ハイ緑の6」

「6の青」

「7の青」

「青の1」


 対面向いて四人でやっているがバス内は広く、邪魔になっているという事はない。すると選手の一人、柿崎小南が話し掛けてきた。


「ねーねー、月隠さん、飴いるー?」

「「「「貰うー」」」」


 飴が入った袋を差し出し、月隠四姉妹がその中から個包装された飴を取って、包装外して口に含む。


「ミルク味ですか」

「贅沢だねー」

「そだよ。そういえば、聞きたいことがあるんだよね」

「何です?」


 小南は朝日に視線を向けつつ、聞きたいという事について質問する。


「太陽君のマスクの中身って、皆は見た事あるの?」

「そりゃあ、まぁ。赤の1」

「どんな感じなの?」


 若干、全員の意識がこっちに向いてくる。


「本人は傷を見られるのが嫌だからって事でつけてますよ」

「傷跡か、うーん、気にしなさそうだけどね」

「意外と繊細なんですよ、兄さんは」

「そうそう、兄ぃは繊細。はい、ドロ4、緑」

「そうなのかね。それじゃあ、太陽君の初恋とか聞いてる?」

「聞きませんね、あの人は近所のおば様には好かれてましたけど」

「おう」


 小南は少し、面白くなさそうな顔をする。逆にちょっと気になったのか朝日は聞き返してみる。


「小南さんは兄さんのことどう思ってるんです?」

「えっ、そうだなぁ、別に、気になってる訳じゃないけど………」

「ど?」

「ど?」

「………まぁ、マスク以外は格好いいよね。身長高いし、筋肉あるし、性格良いし。顔で判断しないという人を試すような感じだね」

「否定できませんね。あれでも小学生からは評判良いんですよ」

「そうなの?」

「ロボットみたいって」

「ああ………」


 朝日の言葉に何となく納得する、太陽の能力を見ているとサイボーグと言われても納得しそうになる。


「琴乃さんや彩さんはどう思う?」

「ど、どうって?」

「あれで、小学生と関わってるのか………、通報されそう」

「あったそうですよ。直前で、止めさせましたが」

「えっ、朝日もいたの、そこに?」

「娘がいるからね~」

『『『へっ?』』』


 火凛の爆弾発言でバスの空気が凍り付く。そこからは太陽の娘の話題に触れない様に、小南が話を逸らしてそれ以上太陽の娘に関して聞けなくなってしまった。

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