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学生魔導士の騒動録~その力は誰のために~  作者: Dr.醤油煎餅
第二章
27/115

息抜きの一幕

 夏の兆しが見え始め、各学校では衣替えの季節になってきた。伊月高でも薄着を着用し始めて男子生徒の眼に幸せが写り始める今日この頃。

 伊月高では林間学校の後には学生たちの悩み――、試験が行われた。今回は中学までの内容の復習と約二ヶ月の学習を試すための中間試験。しかも、大変な事に重要な期末の試験は七月の最終週を使って行われる。

 今は六月も中旬に入った辺りなので、余裕があるかは微妙な所だが大半の学生は緊張の糸を解いている。見た目以外は真面目な学生、月隠(ツキカクシ)太陽(タイヨウ)も緊張を解いている。しかし、緊張を解くがその分メリハリは付ける男なので明後日くらいには期末の対策を始める事だろう。


「あー、終わった、終わった」

「お疲れ様」


 思いっ切り気を抜きまくっている陽斗を太陽は労う。因みに今日でテストの日程は全て終わった。期間は三日だったが、それでも濃い時間であることに変わりはないだろう。


「この後はどうする?」

「辰馬、どうする?」

「このまま帰るか、少し寄り道するか」

「久しぶりに息抜きに行こう。今日は早めに下校できるしな」

「おぉ、珍しい」


 割と用事が無ければ直ぐ帰る辰馬にしては適当な息抜きをしようというのは珍しい事ではあった。(多少、同調圧力があったのは否めないが)


「流石に今日くらいは息抜きがしたい。色々、溜まっているものもあったからな」

「辰馬も不満に思うことがあんだな」

「お前は俺を何だと思ってんだ」


 呆れ声で溜息を吐く辰馬。けれど、荷物をそろえて立ち上がり、教室を出た。太陽、陽斗、純二もそれに続く。辰馬は心美にメールで少し学校内のカフェテリアで話していると伝える。

 その後は少し話す事に、話題はさっきまでのテストの出来栄えだ。


「俺は確認した限りは異常はなかったかな、まぁ、ケアレスミスを含めても90行くかどうかかな」

「俺もそんなもんだな」


 太陽と辰馬は心配な部分はなさそうである。ココだけの話、彼ら二人は座学だけなら入試のトップ2である。入試トップの実力は未だに健在であった。


「僕は魔法理論と化学の応用で少し躓いてるかな、期末前にはもっと詰め込んでおきたい」

「俺は魔法理論の基礎から転びかけてるよ」


 純二と陽斗は不安に思う所があるようだった。自分の弱点が分かっているだけ良いとは思う、大半の学生は弱点が分からないか弱点の範囲が広いかのどちらかだろう。


「理論も良いけど俺達の鬼門は実技じゃない?」

「まぁ、そうかもな」

「実技はしょうがないだろ、赤点取んなきゃそれでいい」

「志が低いなぁ」


 四人の試験へのやる気は低かった。やる気になる予定と言えばこの後に控える夏休みとその最中に行われる割と大きな競技会くらいだが、成績不良の彼らに協議会はあんまり関係ない。


「まぁ、座学位なら俺は面倒見れるからそこら辺は手伝ってやるよ」

「おおー、助かるぅー」

「僕も良い? 応用系で加熱の術式についてなんだけど」

「ああ、やめてー! 今日だけは勉強から離させて!」

「あーあ、純二が追い込むから面倒くさいことになってんじゃん」

「僕のせいじゃないでしょ」


 太陽たちは陽斗の面倒な態度の対応を純二になすり付ける。


「今日はこのままどうする?」

「明日にはテストが返ってくるわけだしな」

「今日だけはー、遊びたい…………」

「それしか言ってないな。……まぁ、心美辺り連れて駅前のゲーセンにでも行ってみるか?」

「お、おー! それ、それで行こう!」


 よっぽど遊びたかったのだろう辰馬の提案に陽斗が乗ってきた。届かないにしても女子も一緒の所がテンションが上がった要因だろう。


「心美に聞かなくて大丈夫なのか?」

「さっき聞いたら、初めて入るから楽しみ、だそうだ」

「そんなものか」

「よし、ここは俺が案内しよう!」


 陽斗は荷物を纏めて張り切って学校前の大きめのゲーセンに向かう。行く前に、心美と合流することになったのだが、近くに理子や七海、彩、琴乃がいたのでその数人を引っ張ってゲーセンに向かう。


✿  ✿  ✿


「朝日はどうしたんだ?」

「生徒会だな」

「風紀委員は大丈夫なのか?」

「俺、今日はシフトじゃねぇし」

「日暮さんや火凛さんは良いんですか?」

「あいつ等こういうのには興味を示さないしなー」


 そんな事を話しながら駅前のゲームセンターに入る。一階はクレーンゲーム、二階はアーケードゲーム、三階はプリクラのゲームが入っている。先ずは、万人に受けるアーケードゲームのある二階に進む。


「色々ありますね」

「陽斗、お薦めは?」

「ん? 勘で選ぶのも面白いが……、ここはレースゲームをお勧めするぜ」


 そう言って陽斗はレースゲームが集まる区画へ進み、他もそれに付いて行く。どうやら隣接する筐体で対戦が出来るようだった。内容は何処にでもいる配管工のおやじ達を操り、アイテムやコース上のギミックを利用して1位を目指すというモノ。シンプルで操作もし易そうなゲームであった。

 先ず挑戦するのは陽斗、純二、辰馬、太陽だ。この中でこういうタイプのレースゲーム経験者は陽斗だけだが、車の運転に慣れているのは辰馬と太陽だ。辰馬も一応、免許を持っていてそれなりに運転する機会がある。けれども、これはレースゲーム。運転の経験は特に関係ない、純粋にこのゲームの経験者の方が有利である。


『!、!、!、ー!』

『1、2、3、GO!』


 高い機械音と共に画面にはカウントが表示され、長いブザー音と共にGOの文字が出ると各人スタートをきる。事前に少し説明を貰っていたので失敗する人は居ない。

 最初の直線上、トップに出たのは陽斗の操るキャラ。アイテムを取り、手に入れたのは黄色く滑る果物の皮だ。それに続くは辰馬、太陽、純二の三人その後ろに大量のCPUが続いていく。


 すると、赤いキノコを使ってスピードが上がった純二が前に出て陽斗に近づく。その瞬間、皮を投げて純二をスタンさせる。それに続いて辰馬が赤色の甲羅を投げつけて陽斗をスタン。全てを傍観し続けた太陽は無敵アイテムで光り輝き、全員を牽く。辰馬が最後にくらってしまい、かなりおいて行かれる。トップに来た太陽を陽斗が追い掛ける。


「んぐぅ! ぐっ!」

「〜〜♪」


 声を上げて追いかける陽斗をインコースを確実に狙って堅実に前に出てる太陽。二人で最終コーナーに入った所で青い爆発が二人を巻き込み、二人をスタンさせる。そこを突いて3位だった辰馬が一位でゴール。続いて純二、CPU、陽斗、太陽になった。


「自信あったのに悔しいぜ」

「俺も」

「粘ったかいはあったな」

「スピードに付いていくのが精一杯だったな」


 悔しそうな陽斗と太陽、ホッとした様子の辰馬、終始スピードに付いていくのが精一杯だった純二はそれぞれに感想を話す。

 それに感化された理子がやりたいと言い出す。そのまま第二レースに入る事になった。出場選手は理子、心美、彩、琴乃。ブザー音と共にレース開始される。


「ぐぅぅ」「わっ」「おー」「ひゃっ!」


 結果は心美が一位、彩が二位、三位が琴乃、四位が理子という結果になった。


「心美の性格の悪さが光るレースでしたね」

「アイテムの所に偽物を置くのは俺も引っ掛かりそうだ」


 誰かが溢した通り、性格の悪いアイテム使いで心美は一位に昇った。心美は若干、不満気だが自分でも自覚があったのか我慢している。


 その後は数試合をして、後ろに来ていた人達に譲ってやり、全員は下のクレーンゲームに向かう。


「取れないけど取りたくなるよねこれって」

「分かる」


 取り敢えず、予算を千円に決めてその中でどれくらい取れるか競い合ってみることに。大体、30分立つと全員が集まった。

 結果は太陽が大きめのヌイグルミ、クッション、フィギュアを6個程獲得。辰馬も大きいヌイグルミを一個。陽斗は徳用の菓子を4つ程、理子は徳用菓子1個、心美、彩、琴乃は0個、最後に七海は大きめのクッション、ヌイグルミを7個、徳用菓子を3個で計10個。文句無しで七海が優勝。以外な人物が才能を見せる結果になった。


「もう、そろそろ丁度良い時間じゃない?」

「そうですね」

「最後にプリクラしよう! プリクラ!」


 そう言って全員は3階に向かった。しかし、問題が出た。


「全員入れるやつがないな」

「分けるか」

「どう分けようか?」

「男女でいいだろそのほうが面白いものが撮れそう」

「そうしよっか」


 分かれて纏まった女子は美白なりデコなりが出来る箱の中に入る。写真を撮ると少し問題が出てきた。


「心美の眼が、目がっ、あっははは………ふくっ!…」


 元々の顔の良さが災いして心美の眼が大きくなり過ぎていた。まぁ、そこら辺は調整できるので笑っている理子は放って置き、残りは写真を飾り立てる。完成して出来上がったものを受け取とり、まっていると男子陣が帰ってきた。


「見せてー」

「ほいよ」

「……いやー…、何というか、暑苦しいね…」

「文句ならこいつに言ってくれ」


 辰馬はそう言って、太陽を指差す。太陽が興味を示したのは【THE漢 ~極限の漢らしさ~】という奴だった。それでいやいやながらも全員が撮り。出来上がったのが全員濃い顔にされた写真である。また、理子のツボに入り大笑いされる。

 散々笑い飛ばしたあとは駅前で解散して、この日を終えた。

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