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奪われた者の強欲
奪われた。何もしてないのに、ただそこに暮らしていただけなのに、何の前触れもなく何処かの誰かに奪われた。キラキラだった日常が壊れた。その事がどうしようもなく不安で、怖くて、それを埋めるように何かが欲しくなった。だから求めた、力を、知識を、心を、そして家族を求めた。
力は貰えた、知識は身に付けた、心は回復してきた、家族は作れた。けど、まだ足りない、足りなくて、心に穴が開いていて、体は何処かが足りないかのように体が上手く動かない。けど、力は体を埋めてくれる、知識は心を包み始める。
埋まっているのに空っぽな感覚が酷く奇妙で気持ち悪く、眩暈と吐き気が止まらない。奇妙さを埋めたいから欲しがる、虚無感をなくすために、強欲に欲する。それだけが、自分の生きがいだと思っていたから。
けど、家族が救ってくれた。自分の生きがいだけに生きる俺を引き留めてくれた。心と体を埋めてくれた、キラキラの日常に戻してくれた。それだけがただ有難くて、情けなくて、だから、家族のために生きようと思った。家族を守ろうと思った。
自分の為にやる事は変わらない、だけど家族の為でもあるだから今も昔も力と知識と心を強欲に求めていこう。
誰よりも強く、何であろうと欲しよう。ただ、家族のために。




