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学生魔導士の騒動録~その力は誰のために~  作者: Dr.醤油煎餅
第一章 入学は誰でも一歩目
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いきなりですが、林間学校!

 伊月高はテロリストの襲撃を受けたが、テロを主導した組織の解体により止まっていた行事を行うことが決まった。


「という訳で。週末に一泊二日の林間学校を行います!」


 安奈先生の掛け声で教室内に歓声が響く。やはり、高校生、行事ごとは盛り上がるのだろう。


「委員長に手伝ってもらったこのしおりを受け取って今日のLHRは班決めを行ってもらうよ!」

「先生、そこから先は俺が」


 安奈先生が説明をそこそこに行うと、辰馬が舵を切る事にした。


「林間学校の班を決めていくわけなんだけど、男女に分かれて決めて貰う事になります。一泊二日なのであっちでテントを借りて一泊することになるから、一緒にテントに入る人間を決めてもらいます」

「なにで?」

「そうだな。10分あげるからその間に決まらなければ、強制的にくじ引きで全てを決める」

『は~い!』


 辰馬の号令にクラス中が返し、班決めが始まる。太陽は何時ものメンツで集まって班に決めた。それから10分経ち、特にぐだつく事無く。班決めは決まる。


「やる事は無くなったので~、後は自由時間になります!」


 そこからLHRの時間が過ぎ、1日が始まる。今日も今日とて、巨大な学校で生徒は学びに励む。


*  *  *


 その週の週末。今日から一泊二日の林間学校が始まる。集合場所は学校で、全員がそれなりの大きさの荷物を抱えて移動用のバスに乗り込んでいく。


「今日は楽しみだねー」

「そうだね、飯盒炊飯に、キャンプファイアー。イベントはあるから楽しみだな」

「…………」

「どうした、太陽? そんな物憂げな顔して」

「んー、まぁ、心配はないかな。俺が少し寂しいだけだし」

「んだよ。そんなしけた面してちゃ、楽しめるモノも楽しめないぞ」

「ああ、分かったよ」


 ようやく太陽も楽しそうな顔になる。マスクで顔は分からないが、漂う雰囲気だけでなんだか楽しそうな雰囲気を感じる。周りもその雰囲気に当てられたのか微笑ましい空気になる。


「そういや、太陽たちは料理とかできるのか?」

「まぁ、そこそこに」

「一通りには」

「実はそんなにやったことは無い」


 太陽、辰馬、純二はそれぞれの答えをこたえる。


「そうか。俺は趣味でキャンプとかしてたから、そこそこだな」

「役割は前に決めてたんだから、今言ってもそんなに関係ないんじゃないか?」


 そんなこんなでバスの中での話は盛り上がり、目的地までの道中を太陽たちは楽しく過ごした。


*  *  *


 目的地である都内のキャンプ場についた。先生たちが生徒に号令をかけて、出欠と確認事項の再確認を行う。


「それじゃあ、皆。今から皆さんは自由です。この場に最低限の食材を用意してあります。ここにあるのを使えば最低限のカレーらしきものが作れるでしょう。しかぁし! 育ち盛りの皆さんはこれだけでは足りないでしょう! この山には、川と食べられる山菜などが自生しています! 皆さんは自由にこの先に入ってもらい、自然を壊さない程度に山で食材を調達してくれても構いません!」

『うおぉー!』

「ちなみに先生たちは近くのロッジでバーベキューです! 皆、頑張って!」

『ぶぅーーー!!』


 生徒からブーイングが飛ぶ。流石に待遇の差に不満があるのだろう。しかし、決まった事、ブーイングを飛ばしても意味はないとして、太陽たちは指定されたエリアに向かう。その際、テントと食材も持って川沿いにテントを建てる。位置的にロッジがある方から川を挟んで向こうの川沿いに男子たちのエリアは指定されている。橋は掛かっているが、夜は封鎖される。夜に男女一緒にすると何かありそうで困った事が起こるから。

 それはさておき、着いた瞬間。太陽たちは協力してテントを建て、かまどを作り焚火の準備を行う。素早く行動したおかげで、直ぐに飯盒炊飯の作業に移った。


「じゃ、米は頼むぞ」

「あいよー」

「頑張るよ」


 太陽は米を陽斗と純二に任せて自分達はカレーの調理に向かう。一旦カレーを作ってそれから追加の食材を取りに行く予定である。二人は手際よく、作業を進める。食材を切る、煮込む。役割がきちんとされているうえに、太陽は料理慣れをしているのかかなり素早く、調理を進めていく。


「包丁慣れてるよな」

「まぁ使うからな。辰馬も慣れてるじゃん」

「使う事が多いからな、慣れてて損はない」


 喋っているのに、皮むきの手も切る手つきも止まる様子はない。神業とは言えないまでも十分凄腕の料理の腕だ。

 食材の下準備を終わらせると、今度は煮込む準備だ。備品の大なべを拝借して、水を沸騰させた後に熱の通りが悪い物から鍋に投入していく。

 数分煮込み、火が通ったらと思うと追加で食材を投入してカレーのルーを入れて煮込む。段々といい匂いがしてくる。周りでも作業を進めているが太陽たちより先に行っている班はまだまだのようである。


「完成だな」

「じゃあ、鍋はあっちに放って置いて、夕食用に追加の食材を取ってこようぜ」

「そうだな」


 完成したカレーの量はあまり多くなく、ボリューム的には物足りない感じがしていて、追加で食材を取りに行くのだ。太陽たちは飯盒に悪戦苦闘している純二と焚火に火を付けて安定した火力を維持している陽斗の横に用意したカレーを即席のかまどの上に載せ温められる様にする。


「追加で食い物採ってくるけど、なんか料理で作って欲しい物とかあるか?」

「いや、ここは焼き魚だろ。シンプルでうまい」

「いいな、それ」

「僕もそれでいいよ」

「あいよー、辰馬は山菜を取ってきてくれるか」

「分かった」


 役割を分けて、太陽は川に辰馬は森の中に入っていく。川魚を狙うために上流に向かうと狙っているのか多くの生徒が川魚を狙っている。川魚は夕食用と決めているので太陽は六匹くらいを狙っている。そして、こういったキャンプでは魔法を使うのはマナー違反だと言われている。太陽もそれには同意しているので、黒帯や魔法を使わない様にして魚を取ることにする。(ちなみに科ごとに別々のキャンプ場で林間学校は行われている)


「さーて、川にはいるけど、皆は取るのに苦労してるのか」


 竿は貸されているが餌は付いてないので食いつかない、食いついても安定してとる手段がないので逃がしてしまう者もいた。太陽は来ていたジャージの裾をまくり上げ、川の中に入る。静かに入ってったので魚は気付く様子はない。太陽は手を挙げて一気に六連射。水しぶきが六か所で起こったか思うと太陽が用意していた小さいクーラーボックスの中に投入されるすでに川の水を入れていたので少し狭いが魚はあまり不自由そうにはせず泳いでるのが確認できた。太陽はクーラーボックスのふたを閉めてテントに戻る。


「いやー、取りあえず作業は終わったな」

「うん、ご飯も出来てるよ」

「早速、昼飯にするか」

「了解」


 太陽はカレーをよそって少し遅めの昼食が始まった。その様子を周りの生徒は羨ましそうに見つめるのだった。

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