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学生魔導士の騒動録~その力は誰のために~  作者: Dr.醤油煎餅
第一章 入学は誰でも一歩目
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事件発生

 太陽が授業を受け終わり、趣味活に時間を割こうと思っていると、胸元に忍ばせていた風紀委員の端末が警報を発する。少し遅れて、学校の警報が鳴る。太陽は事態の情報収集と早期収束を第一目標にする。


「委員長は体育館下へ全員を避難誘導! 他は委員長の指示に従って動け!」


 太陽は簡単に指示して終わると、窓から飛び降りる。

 突然、出された指示に戸惑うクラス内だったが。【クラス委員長・東海 辰馬】が手を叩いて正気に戻し、避難の誘導を始める。

 地面に着地した太陽は端末に書かれている情報を読み取り避難先の体育館までの道に配置される。すると、数人の風紀委員が同じように集まった。


「先輩、さっきのは?」

「校内に侵入者だ。生徒の避難が済むまでは避難経路に俺達を配置する。新入りは魔法科と体育科の護衛をしておけ。生徒会も援軍に入るから意識しろ」

『了解』


 三年の先輩が指示し終わると端末に表示された避難経路に事前に訓練されてた通りに風紀委員が向かう。残ったのは太陽の他に二人。人数的には不安かもしれないが制圧力を見ればこれで充分。

 太陽は端末に付属していたインカムを付けて、指示や状況を聞く。


(遅いな)


 思っちゃ悪いが進みが悪い。緊急事態だというが、付き合いの短い集団に統率の取れた動きなんて期待するだけ無駄だと考えなおす。

 無駄な事を考えていると侵入者と思わしき不審者が出てくる。その数、五人。拍子抜けだと思っていたが、後ろから来る集団に目を奪われる。エネミーの群れだ、数十匹はいる。硬質化した毛、肥大化した体、理性を失くして吠えかかってくるその様は普通の生物ではない。インカムからは不審者と共にエネミーが入って来たと情報が流れる。


「先輩は人の方お願いします。俺は後ろを」


 それだけ言うと太陽の手から黒い靄が発生して、迫ってくる集団の人とエネミーの間に壁を作る。


「なっ」

「先輩!」


 唖然としそうになる先輩を正気に戻し、人の制圧に意識を戻す。太陽は足元に黒を集中させて壁の上を飛び越えてエネミーの群れの中に入る。

 エネミーは自身の元となった種以外には基本的に攻撃的になる、だから、共食いを始めているかもしれないと太陽は考えていた。だというのに、共食いをする事もなく、降ってきた太陽を集中的に狙い始める。

 妙な動きをしていてもエネミーを退治するのは変わらない。黒い球体を数十用意して高速移動させ、エネミーたちを襲撃させる。


「グゥゥゥッゥウ!」

「ガァァァァァアアアア!」

「ウアアアアア!」


 悲鳴を上げている猫や犬なんかのエネミーの体を貫いて始末していく。

 しかし、数が多く、捌ききれないで太陽に向かって突っ込んでくる。


「よっ」


 噛みつかれそうになるが平手打ちでエネミーの横っ面を引っ叩く。変な音がエネミーから鳴るが気にせず振り切る。その次は壁を加工して鋭い棘を形作る。これで突進するやつらは刺さって始末される。これで当初の半分は減った。なので、作戦を切り替え大技で雑魚を仕留めて先輩の援護に向かう。

 太陽は目いっぱい息を吸い込んで【黒帯】と共にそれを放出。イメージと共に上乗せされたそれは常人では一発で干乾びる量の霊子が出される。しかし、そんなものを気にする太陽ではなく出てきた【黒帯】に追加で指示を出す。すると、その指示に従って蛸のような足が形成され、数秒後に八本の巨大な蛸足がエネミーたちを踏みつぶす。それを見届けることなく太陽は壁に突っ込み、通り抜けるようにして不審者を後ろから殴り飛ばす。各人、後頭部、横腹、臀部のそれぞれに拳と蹴りをみまってやる。


「ふがっ!」

「ぐあっ!」

「がっ!」


 すでに二人は無力化済みだったようで戦闘が終了する。


「お疲れ様です」

「いや、お前の方がな」

「正直助かった、拳銃持ち出されちゃ防御で手一杯でな」

「いい訳にはなるが、助かった」

「……いえ、どういたしまして」

「お、照れてるな」

「そんなんじゃないです」


 戦闘が終了したとは思えない程、和やかな雰囲気である。しかし、やらなくてはいけない事もある。先ずは不審者たちの捕縛だ。下着姿にすると、縄にした【黒帯】で全員を縛り上げる。

 次にエネミーの処理だ。本来なら墓でも作ってやりたいが、エネミーはまだ謎が多く、研究所にて資料提供を求められる。ここは種ごとに分けて研究所に寄付する方針で行く。まだ避難している生徒もいるので血みどろな現場を見られない様に注意して作業する。


「ん?」


 視界の端で何か動いた、気付くとソレはエネミーたちを捕食し始める。捕食を始めたエネミーは風穴を空いていたりしていたが、それらが修復されていく。

 太陽はどうしようか考える、あれを今始末するのはマズい。見たのは初めてだが変異の最中であると同時にバカみたいな再生能力を保持していると考えられる。今のあの固体は首を刎ねられても死なないだろう。


「お、おい、月隠。アレは、なんだ?」

「マズいですね【進化】してます。避難を急がせてください、動き出せば俺が対応します。今は栄養を蓄えている状況で、何しても再生します。あれが終わるまでは無駄に刺激せずにいて下さい」

「わ、わかった」


 食事の邪魔をすれば怒りの矛先は向かう。今は進化している間に避難を急がせるのが先だ。


「さて、迎撃準備を整えるか」

「……ウウゥ…グウゥガ………ガガ、ガアア、ア……」


 エネミーは呻き声と共に肉の繭の様に籠り始めた。壊しても面倒。進化の途中で動けないなら、サッサととらえるのが先だ。【黒帯】で籠を作り編み込んで頑丈な檻を形成する。


「進化しても動けないだろ」


 進化状態にもよるが、動き出し被害が出るのを防いだ。インカムから被害の情報が流れて来る。どうやら、他の場所でも共食いを始めている様だった。進化の準備に入っているエネミーには攻撃しないよう命令が出ていたが、こちらは既に実行し終えている。

 エネミーの不審な動きについても報告がされるがどうしてそうなっているのかは情報がない。チラリと後ろを見ると、避難が完了したようだ。生徒が全員いなくなっている。

 すると、エネミーの方も進化が完了したようで檻からガンガンと轟音が鳴り響く。


「無駄無駄」


 エネミーは外には出れないようだった。エネミーは代謝の効率が悪い直ぐに燃え尽きて消えるだろう。事態の収束をインカムで伝達し先輩たちは不審者が来ても対処するように言って太陽は他への援軍に向かう。


✿  ✿  ✿


 魔法科と体育科が避難したのは第三体育館、その隣に立っている第二体育館はエネミーの多さと不審者の援護に手いっぱいだった。避難している芸術科の避難も進んでいない。

 太陽は両手から莫大な量の【黒帯】を放出してそこからエネミーに向かって着ぐるみ型の人形を射出する合計十数体。手には斧や鉈、チェーンソウを持っている。射出された人形はそのままエネミーの始末に向かう。ファンシーなマスコットたちが厳つい武器を持っている。相当に不気味な光景だ。生徒の中には「ひっ」と小さく叫び声をあげている。


「援軍に来ました」


 太陽は着地と同時に接近して不審者の顎に一撃で倒す。こっちにも不審者が五人。恐らく制圧に不審者、包囲でエネミーたちを使う計画だったんだろう。その後、不審者がどう逃げるのかは知らないが、どうにかするんだろう。

 太陽は【黒帯】を各風紀委員の腰に巻き付けて下がらせると、大規模に壁を展開して一気に閉じ込める。中にいる不審者の銃や武器を破壊してこっちも外に出してやる。そのまま一気に壁の大きさを縮小させて肉のキューブを作成する。その後は、【黒帯】に雷の性質を持たせてそれをまだ立っている不審者にぶつけると、電流を流されたように痙攣させて倒す。そのまま装備を剝いで、下着姿にした後に縄の【黒帯】で縛り上げる。


「これで大丈夫でしょう」


 インカムから第一体育館の制圧が終わった事が報じられる。一先ずの危機が去った事を伝えられる。


(進化固体は一と三にしか誕生してないのか)


 それを察すると、太陽は二と三の制圧が終わった事をインカムから伝える。暫く後始末を手伝うと、追加の指示が飛んできた。


『室船、栩木、大里、月隠の四名は学校の敷地内の巡回を頼む』


 冬華委員長の声だ。言われた通りに太陽は指定された範囲の巡回に向かう。

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