噂になってる風紀委員
太陽は部活動勧誘週間をそつなく不備なくこなした。巡回、仲裁、後始末、片付け、掃除、応急処置。半分以上雑用だが文句を言わずに部活度の活動を手伝いつつ、職務をこなす。
そうして、風紀委員の繁忙期である部活動勧誘週間が終わった。
太陽はいつものように日課をこなして登校する。すでにハルトが来ていた。
「おい、太陽。噂になってんぞ」
「はぁ?」
「俺が広めたわけじゃないぞ。というより、その恰好じゃあ噂になるだろう」
「まぁ、そうだが」
「ちなみに言うとだな、謎の新入生風紀委員現る! だってよ」
「謎の新入生ではあるけど、そんな噂がされてるなんてな」
「見た事もない魔法を使って名を残すような魔法競技部を制圧、喧嘩する武道系の部の乱闘を魔法を使わず素手で制圧、その後の後処理話手伝ったり、文科系の部の基材のかたずけを積極的に手伝ったりする武闘派の聖人って評価になってるぜ」
「どんな評価だ」
呆れた太陽だったが周りが騒がられるのは面倒に思いどうしたもんかと頭を捻る。
そこからは理子や辰馬、純二、七海が次々に教室に入ってくる。
✿ ✿ ✿
昼休み。今日はいつものメンバーで食堂で取っている。太陽はいつものように弁当で、七海、辰馬は弁当。それ以外は学食を取るようだ。因みに五組のメンバーだけでなく一組の朝日に心泉、琴乃、彩が加わっている。
「今日もお弁当なんだね」
「安上がりだし、残り物の処理に役に立ちますからね」
「うん。美味しい」
「ちょっ、勝手に食べないでよ」
おかずを摘まれた朝日は理子のランチからおかずを取り返す。
「うん。学食のおかずもおいしいですね。この煮物の味付けを真似してみたいです」
「主婦みたいなこと言ってんな」
「似たような事やってるからな」
「ん、んんっ。それより、兄さんは噂になってたようですけどどうなんです?」
「どうって言われても」
急な朝日の話題転換に困惑する太陽。なんて言えばいいのやら。
「一組じゃなんて言われてたの?」
「んー、暴れる部員を片手間に制圧しながら、本体は傷ついた部員の手当てをする奇妙な風紀活動をしている触手と風紀委員がいるって聞いてるけど」
「一撃で武道系の部員を昏倒させた人が居るって聞いたけど」
朝日と心泉はクラスの噂話を話す。太陽の活躍はクラスを超えて噂されている様だった。
「他クラスでもそんな事言われてるとか、根深そうだ」
「恨まれてるわけではなさそうですよ。皆さん、凄い凄いって褒めていましたから」
「新入生は良いとしても、先輩たちからは何かしら反感をかってそう」
琴乃のフォローを受けてもネガティブな思考が止まらない太陽。もう、性分だからしょうがないのかもしれない。
「まぁ、のんべんだらりと活動しますか」
「今日は休みじゃないのか?」
「そうだった。まぁ、忙しくなきゃ程々に活動するか」
やる気のない噂の風紀委員は昼食を腹に納めて午後の授業に向かう。それ以外も午後の演習に向かう。
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放課後。太陽は風紀委員の活動には向かわず。図書館棟に来ていたここには一般には見れない魔法の資料なんかがある。
魔法についての資料は各国で厳重に管理されている。そのため政府関係施設か一部の研究組織、研究施設にしかない。その中でも国内の研究施設で開発された魔法の術式、魔法その物の定義等の提出された情報は政府関係の中央情報共有システムで管理されている。それを閲覧できる端末がある数少ない場所の一つが魔導師育成の場である伊月高の図書館棟である。
ここの端末は使用者の履歴や情報の不正コピーなんかの防止は勿論。噂では緊急時には爆破して使用不能にさせる機能が付いているらしい。調べたら爆破はしないが本当に機能停止する機能は付いているみたいだった。
(えーと、エネルギー、開発、難題、で検索)
太陽は自分の研究に必要な資料を調べ始める。彼は研究施設の手伝いでMAEの開発は手伝っているが、彼は魔法の研究に強い興味を抱いている。
(まだまだ、技術的に難が多い。今すぐに実現は無理だな)
今日だけで完全に問題解決するために来たわけでは無いが、問題が幾つかある。目標の為にしっかり予定と計画を立てる。程々に興味ある事を調べて別の施設に向かう。
今日は料理当番は太陽では無いので学校で有意義に自分の趣味に没頭できる。
次に訪れるは開発棟。使用予約していた開発工房に入らせてもらい、自分のバックから記録用メモリを室内の大型情報端末に使用して資料集めから思いついたアイデアを入力・記録していく。
「はぁ~」
白いマスクを付けた少年はアイデアを纏めるのに苦労しているのと同時に問題点をどうするか洗い出しているが中々アイデアが出ない。今、開発しているのは独力で空を飛ぶための魔法だ。世界中で研究しているが成果が出ていないのが現状の分野である。難易度が高いがロマンがあるとかの事で研究する研究者は多くいる。太陽もロマンに惹かれた一人である。しかし、途中で行き詰った。
「やっぱ、干渉力の増加による定義不能が問題か」
飛行魔法の問題は方向転換および重力操作の魔法を複合させて発動させるその時に起こる【干渉力の超増加】が問題になる。魔法はそれ自体が発動を維持継続する為の要素である【干渉力】を持つ。この【干渉力】は魔法の発動をさせ続けると段々と弱まっていき最終的に消滅する。これは術者の力量によって初期の力も左右される、同時に継続的に強い干渉力を持続させることが出来る。同時に同じ対象物に魔法を行使する場合、干渉力が高い方の魔法が優先される。以上の事から飛行魔法での問題は方向転換や高度操作の際に別の魔法を使ってしまう事により必要とされる干渉力が強くなってしまう事に問題がある。
(魔法の発動時間を決めて対処すればいいんだが、難しいな。持続時間の定義する情報に関する論文は今のところない、はず。終了情報の定義を新しく開発するか…………)
これ以上は作業に集中できないとして、帰り支度をする太陽。
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開発棟を出て校門から帰路に着くと後ろから声を掛けられた。
「太陽さん!」
「おお、どうも」
「今帰りですか?」
「ああ、吾妻さんも今帰り?」
「はい」
「じゃあ、駅前までなら送るよ」
「あ、ありがとうございます」
声を掛けてきた琴乃は安心したような顔になる。やっぱり誘拐直後は不安なのだろう。彩の姿が見えないのが気になった。
「ええと、白銀さんは?」
「あ、はい、今日は習い事があったみたいで先に帰っていってしまって。私はまだこの学校の事とか調べたくて」
「それで帰るのが遅れたと」
「まぁ、そんな感じです」
たはは、と困ったように笑う琴乃。彩に言えば彼女も守ってくれそうなものだが、野暮な事にはつっつこまない事にする。こういうのに片足を入れれば手痛い反撃を喰らう。太陽の深い経験はそう考えさせていた。
「まぁ、帰ろう」
「は、はい!」
太陽は琴乃を駅まで送り、彼女を見送る。
色気のある会話など太陽にできる筈もなく、詰まらない会話しかできなかったかもしれない。ふがいないと肩を落として太陽は帰路に着く。
戦闘シーンを描きたいが流れ的に無理そうだ




