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まだ未完、だから夢中に迷妄中  作者: メイズ
第3章 外界溶解は異界への開口 ~永劫回帰
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感情違和にて ~男子玉砕〈ヤシロ〉

 また暗闇。


 あたしは真っ暗な空間に不安定に立ってるような不思議な感覚。



 ここにはもう青いホタルさんの光はないけど、自分自身の手足だけは何とか見える。



 怖いよ・・・・


 ロードくん・・・どこにいるの?


『ロードくーん!あたしはここだよー!』



 ・・・・・



 返事はない。


 虚しくあたしの声だけが響くのみ。



 心細い。



 他の事考えていよう。



 ついさっき、黒鮒(こくふ)様が言って気になってた言葉を思い出して反芻してみる。



《今の所、どの道へ進んだとてその男の命は救えぬ。》


《だが、希望は無いわけではない・・・・・》



 これって・・・蔵人くんは・・・・・


 ううん、希望はこの時点であったのならば。



 過去は変えられないのなら、蔵人くんはどうなったか結果は既に出ているの。


 あたしにはもう青い光はない。


 あの二人の続きはもう知ることはできないの。


 残念だけどここまでね。


 本当はもっと先まで見届けたかった。




 他には、何て言ってたっけ?



《人間ごときがどういう算段で過去の自分の魂を見に来れたのか?》



 確かそんなようなこと、あたし覚えてるよ。



 ってことは、やっぱあたしは・・・・・


 あたしはむかーしは楓ちゃんだったんだ。


 信じられないけど。


 だってそんな記憶まったくないもん。



 で、ロードくんは蔵人(クロウド)くんだったってことね。


 あたしたちは不幸な恋人同士だった。


 楓ちゃんは蔵人くんとお腹の赤ちゃんを守るため側室に入ったのね?黒鮒(こくふ)様の言われた輪廻転生を信じて。


 そして、楓ちゃんは次の人生では蔵人くんと結ばれることを信じ、今をしたたかに生き抜いて行くことを選んだの。


 

 ・・・・・って事はよ?



 それじゃ、あたしとロードくんは生まれる前から結ばれていたって事じゃない!!


 うっわー!なんてロマンティックなの!


 あたしとロードくんは必然的に結ばれる運命だったんだわ・・・・・


 あたしの王子様はロードくんだったんだ!




 あたし、中学時代にも高校に入ってからも、今まで十何人かに告白された事がある。


 クラスで1番人気の男子からだって。


 でも、あたしは全部お断りしてきた。


 そりゃ、あたしだって周りの子たちみたいに男の子とお付き合いするのに憧れてはいた。


 友だちが、彼氏のことで嬉しそうだったり、悩んだりしていることでさえ眩しくて羨ましかったりもしてた。


 だからっていくら好意を一方的に寄せられても、それは光栄で嬉しくはあるけれど、あたしはそれに応えようとは思わなかった。


 どんなにクラスの人気者であろうと、カッコいい優等生だろうと、バスケ部のエースだろうと。


 あたしだって告白されればドキドキしちゃうけど、だからって告白される前に、その人にときめいてたかっていうとそうじゃないから。


 あたし、コクられたから付き合うって、何かが違う気がしてた。

 

 あたしの方から好きになった人じゃなきゃ違うってなぜかそう思っていた。


 あたしが誰とも付き合おうとしないから悪口を言う人もいた。


 お高くとまってるとか、モテていたいから特定の子を決めないんだとか。


 あたしそんなこと全然思ってないのに。


 学校で自分がモテてるなんて感じたことはないよ。


 誰かがあたしのこと好きになっていたとしても、あたしは告白されるまで知らなかったし。


 そんなあたしだったけど、ついにあたしだけの王子様を見つけたよ。



 ロードくん。



 あたしは、あの日教室で、ロードくんが自己紹介した時からロードくんを好きになっていたんだわ。


 だからロードくんをバカにした業村くんと大高くんを嫌いになったんだ。



 ーーーあたしが探していた王子様はロードくんだった。



 あたしの前世が楓ちゃんだったのなら納得だわ。

 あたしがロードくんに惹かれたのは間違いじゃなかったの!



 ロードくんの前世の蔵人くん。


 楓ちゃんは蔵人くんと赤ちゃんが助かると信じて側室に上がる決心をしたのに、助からなかったらあんまりよ!


 どうか、無事でいますように。


 立派な絵師になっていますように。


 青い光さえあればね、わかるのに・・・・・




 そうよ、あれがないとあたしはもうどこにも行けないよ?


 ここにずーっと干からびるまでここに1人でいなきゃなの?


 ん? 幽霊って干からびるの?


 あたし死んじゃったんだよね? あんまり死んだような気がしないけど・・・・・


 とにかく、どっちにしろこんなところにひとりでいるのは嫌!


 


 あたしは急激に寂しくなって、不安がどどどどーって押し寄せて来ちゃって、ロードくんに無性に会いたくなっちゃって、いてもたってもいらんなくなって、涙が出てきた。



『ロードくーん!どこにいるの?くすん・・・』



 あたしは指でにじむ涙を拭いた。


 そしたら・・・ずーっと向こうに何か光るものが見えた。


 金色の小さな光。


 何かしら?



 暗闇に現れた小さなお星さま。 


 とにかく行かなきゃ!


 だってここにはあれしかないんだもん。

 

 ロードくんも見ていたら、きっとあの光目指してるはず!


 

 ここにいると、暗い空間に浮いてるかのような心もとない足元だったけれど、普通に踏みしめて進む事ができた。



 動いてるほうがじっとして考え込んでるより全然いいよ。


 よーし!行っくよーっ!


 どれくらいの距離かわかんないけど、あたしの弾丸ダッシュと超加速であっという間よ!



 さあ、レディー・・・ゴー!!



 いきなりアクセル全開で突進、猛進、一直線で突き進む!



 嘘みたい。


 あたし、全然へたらないよ。


 慣性の法則バンザーイ!


 光にずんずん近づいてく。




 ロードくん・・・・・



 ロードくんがあそこにいますように!








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