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まだ未完、だから夢中に迷妄中  作者: メイズ
第3章 外界溶解は異界への開口 ~永劫回帰
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溶解そして埋没 ~怪異進行〈ヤシロ〉

 教室の大きな前黒板の真ん中には・・・・・


 これ、あたし?


 露に濡れた大輪の朝顔の花を背景に、ちょっとはにかんだ表情の制服姿の女の子の顔。胸元に添えられた柔らかい仕草の右手


 右下にはあのロードくんのサイン。


 すごい!!


 ロードくんって魔法の手だ!



「・・・あの、これあたし?あたしをこんなに綺麗に描いてくれて、ありがとう!でも、どうしたの?急に・・・・・」



 今からリアのサプライズするのにあたしのイラストって・・・


 もしかして・・・金曜日にあたしの相談を断った事へのお詫びとか?


 あたしは困惑して教室の後ろから前黒板の隅っこに立っているロードくんを見た。



 なんだろ?


 今日のロードくんはなんとなくいつもと違うように感じるの。


 髪を切ったせいかしら?


 

 目が合ったロードくんがいつもよりさわやか声で言った。


「ヤシロさん。僕にあの質問をしてくれないかな?」


「あの質問って?」


「ヤシロさんが聞き損なっている僕の答えを言うから。」


「・・・ああ、あれね?いいよ、いくよ?あたしはロードくんの名前を1年前から知っていました。それはどうしてでしょう?」



 あたしはこれをロードくんに聞くのは三度目の正直!



 ロードくんははてさて何て言う?



「それはヤシロさんが去年、創作文化部部室前の展示を見たから。僕の描いた3枚のイラストも張り出されてた。下に名前もつけて」


「えっ!・・・・・あたしが見たの、知ってたの?」


「・・・だって、あの時、ヤシロさんは部室に入ろうとしていた僕に聞いたんだ。『賽ノ宮(さいのみや)ロウドさんって知ってますか?』って」


「あっあたしっ!ロードくんにロードくんのこと聞いてたのっ?」


「思い出した?」


「覚えてるよ・・・でも・・・だって、あの人は・・・髪の毛短い感じだったと思うわ。メガネもかけてたような・・・?あれがロードくん・・・?」


「・・・ああ、そういえば・・・刈り上げ部分があるとしょっちゅうカットしなきゃなんないし、面倒だから伸ばすことにしたんだ。それにぼく、今年からコンタクトに変えた。楽だし。」


「そうだったのね・・・。あまりにも変わっていたから気づかなかったわ。でも、どうして知らない振りしたの?それは僕だって言ってくれればよかったじゃない!」


「嘘になって・・・ごめん・・・でも、ヤシロさんは僕の絵を見て賽ノ宮(さいのみや)ロウドが素敵な人だって妄想になっていたから、僕はとても言い出せなかったんだ。」



「何言ってるの? ロードくんは素敵な人に決まってるじゃない!」


「・・・いいんだ、ヤシロさん。そんな気を使わなくたって。」



 自嘲気味に嗤うロードくん。


 そんなんじゃないのよ!あたしは本当に・・・・・



「気を使うって・・・? 違うよっ!ロードくんは本当に素敵な人なのよ?あたし知ってるから!」



 もう、あたし今、言っちゃえ!



「あたし、ロードくんのこと好きだから!」


「・・・ありがとう。ヤシロさんが友だちになってくれて本当にうれしいよ。」



 違うよ!あたしの言ってること全然通じてないよっ!


 ロードくんの鈍感っ!こんなにはっきり言ってるのに!


 あたし、ロードくんのこと、友だちとして好きだけじゃ無いのよ!



「あのっ、ヤシロさん!聞いて。僕もヤシロさんが・・・」



 あれれ?


 空気が歪んだような気がした。


 地震?


 ・・・・・違う!


 これはそうじゃない。



 すぐそこにあるロードくんの机の上。置いてあるのあれ、松ぼっくり?


 あの松ぼっくりが変!


 見た目はただの松ぼっくりなのだけれど?


 見えない何かを感じる・・・・・


 

 なぜかしら? 肌がさわさわする・・・・・ 



 はぇっ? 教室の壁が・・・ゆがんでふにゃんって・・・?



 なにこれっ!


「ロードくんっ!」


 あたしは並んだ机をすり抜けてロードくんに駆け寄る。


「ヤシロさんっ!」


 青ざめたロードくんがガンガン机にぶつかりながらあたしに駆け寄ってくる。



 壁がますますメルトダウンしてくっ!



 あたしとロードくんは教室の真ん中で手を取り合った。


 ああっ!足元が、床が、砂になってこぼれてゆく。


 まるで砂時計の中に入ってしまったようだわ!


 何がどうなっているの!



 怖いよ!



 あたしはロードくんの顔を見た。


「ヤシロさんは僕が護るから。大丈夫・・・僕の命に代えても・・・」


 蒼白になりながらあたしを抱き締めた。


 どんどん崩れて砂に吸い込まれてゆく足元。


 信じられない! あたしの足、ふくらはぎまで埋もれてる・・・


 もう、一歩も動けない!


 いやっ!どうなっちゃってんのよ?


 これは夢?幻覚?


 ううん、あたしちゃんと起きてるよ!


 これは現実だよ!


 誰か助けて!誰か来てっ!


 怖いよっ!


 あたしはロードくんの胸にすがりつく。








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