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まだ未完、だから夢中に迷妄中  作者: メイズ
第1章 トラップのゴシップでスリップ
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いささかいざこざ

 新しいクラスになって十日ばかり。



 朝の教室。



 まだ来てるのは10人くらいしかいない。


 クラス内のグループ化、だんだん見えてきてる。



「ねぇ、ロードくん。そろそろ後ろの黒板デコろうよ。」


 あたしは自分の椅子に横向きに座りながら真後ろの席のロードくんに話しかけた。


 今はただ桜の花と、クラス目標の『聡明に 清廉に 懸命に』


 って書いてあるだけ。取りあえずね。これってつまんないよね。



 早く変えたいよ。せっかく掲示委員になれたんだもん。


 デザインは家で考えて来てあるの。


 ロードくんは何て言うかな?ちょっと見せるのはどきどき。


 いいって言ってもらえたら後は絵が得意なロードくんに描いて貰えばいいだけ。



「あたしデザイン考えて来たんだ!ロードくん見てくれる?」


「うん、もちろんだよ。どれどれ・・・・・」


 あたしはクリアファイルから3枚のデザイン画を出してロードくんの机の上に並べた。



「・・・・・・・・」



 何で黙るのよ?ロードくん。



 ふっと上気させた顔を上げたロードくん。


「ヤシロさん!すごいね。これなんか素敵だな。洋風にアレンジした絵手紙的なデザイン。この英語のポエムもヤシロさんが考えたの?」


 ロードくんがすっごく本心で褒めてくれてるのが伝わって来た。


「うん、そうだよ。気に入ってくれた?」


「すごく!」


「じゃ、今日の昼休みと放課後にやろうよ。大丈夫?部活あるのかな?」


「あ、うん。僕の入っている創作文化部はほぼ個人作業だからね、行っても行かなくても特に問題はないんだ。」


「ふーん。緩いんだ。だったらあたしでも入れるかなー?」


「もちろん大歓迎だよ。ヤシロさんみたいな人が来てくれたらみんな喜ぶよ、きっと。」


「ロードくんは?もしあたしが入ったら・・・・・嬉しい?」


 あたしはロードくんの目をじっと見て聞く。


「えっ・・・・・と。」


 キョトキョト目が泳ぎだした。


 うふふ、かわいいロードくん。



「あれ、これなんだよ?」


 あたしたちが席で話してたら大高ダイカくんがロードくんの机の横に来てあたしが描いたデザイン画を見てる。



「お前らあん時、二人で掲示委員やりたくてぜってー俺にチートな何かしただろ?」



「言いがかりよ。じゃんけんで負けたのはあんたでしょ。」



 あたしは座ったまま顔を上げて大高くんを睨んだ。



「どうだかな?なぁ、ロードくぅん。」


 大高くんがロードくんの頭をつついた。



「止めなさいよっ!」



 あたしは思わず立ち上がって二人の間に立ちふさがった。


「おー、怖っ!かわいい顔してんのにこの性格。アイツ、こんな女のどこがいいんだか。はんっ。」



 大高くんはあたしを憎々しげに睨んでから席に戻って行った。



「大丈夫?ロードくん。」


「・・・・・ごめん。」


「ロードくんはあたしのお願いを聞いてくれただけだもん。悪いことなんてしてないよ。あんなの気にしちゃダメだからね?いい?」


「・・・・・・」



 ロードくんって・・・・・超真面目だったんだ。


 あたしがロードくんにもじゃんけん、ずるさせた。


 お願い。こんなこと気にしないで。みんなやってることだよ?


 大体さ、あたしとロードくんがやるって言ってんのに割り込んできたアイツが悪いのよ。普通はこういう場合は遠慮するものよ?


 なんだか知らないけど後から立候補するなんて。


 だいたい、大高くんって掲示物に関心なんて無さそうだけど。




「おはよー!ヤシロ、ロードくん。」


 リアが細長い1メートルくらいの筒を持って登校してきた。


「おっはー!リア。ねえ、それ何?」


「これ?これは矢筒よ。弓道の矢が入ってるの。矢はね、人によってベストな長さが違うのよ。だから自分専用のオーダーメイドなの。注文してたのがやっとできたの。」


「へぇ。そうなんだ。」


「邪魔よね。後ろのロッカーの上にでも置いとこうかな。」


「そうだね。そこならいいんじゃない?他にも誰かのがいくつも置いてあるし。」




 チャイムと共に担任の永井先生が教室に来た。


 当番の号令で挨拶して着席した。


「おはようー!みんなー。一週間の始まりですねー、がんばろうねっ!はいっ、みんなお返事は?」


 ちらほらと、『はい』という声がしただけだった。


「あらあら、みんな元気がないのねぇ?あら?後ろにおいてある細長い筒はなあに?」



 リアが手を上げて言った。


「私の弓道部の道具です。」


「まぁ、私物をあんなところに置くなんて!今すぐ部室に置いて来なさい!」


「今すぐって・・・・。先生、部室は鍵がかかっていて、今は無理です。それに、(うし)ろには他にも荷物がいくつも乗ってますけど。」


「まあ!言い訳なんかして。えっと、あなたは・・・・け?けご・・・華厳(けごん)さんていうのね。人の事はいいのよ?私はあなたに注意してるんだからっ!」



 この先生まだクラスの生徒の名前覚えてないんだ?担任なのに。

 座席表でチェックしないと担当生徒の名前もろくろくわかんないみたい。


「・・・・・・わかりました。」


 リアは矢筒を持って教室を出て行った。


 みな、ざわざわし始めた。


 永井先生が手をパンパン叩いた。


 何事も無かったように今日の連絡事項を読み上げてSHRはすぐに終わった。


 永井先生は業村(なりむら)くんを呼んで何かしゃべってから教室を出て行った。



 リア、どこに置きに行ったんだろ?部室には入れないみたいなのに。


 大丈夫かな?



 あたしはメッセージを送ってみた。



 超ムカつきスタンプが即座に来た。



 ・・・・・だよね~。







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