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まだ未完、だから夢中に迷妄中  作者: メイズ
第3章 外界溶解は異界への開口 ~永劫回帰
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迷盲迷走ジェネレーション〈ヤシロ〉

「やあ、おはよう。ヤシロ。」


 あたしが自分の靴箱に行くとふうらちゃんが立っていた。



「ふうらちゃん!」


「うっ、うわっ!ヤシロ?」



 あたしはふうらちゃんを見た途端、思わずいきなり抱きついてしまった。


 だってふうらちゃんのおかげで業村くんの呪いが解けたんだもん!



「ふうらちゃん!愛してる!大好きだよ!」


「そっ、それを言うのは早すぎる!」



 ふうらちゃんが狼狽して手をばたばたさせている。


 あはは!


 おすましふうらちゃんをあわてさせちゃったぞ?


 ふうらちゃんってほんと、かわいい。

 あたしの部屋に置いときたいくらいよ。うふふっ。


 あたしは耳を染めてじたばたしてるふうらちゃんを解放した。



「ねぇ、リアに何をサプライズするの?」


「ああ、それは・・・タイミングが大切なんだ。今、何分かな?」


 ふうらちゃんはすぐにいつもの冷静なふうらちゃんに戻ってしまった。つまんないのっ。


「えっと、もうすぐ7時半よ。あたし張り切って早くきちゃったんだ!二人に・・・ふうらちゃんとリアに、直接お礼も言いたかったし。」



 そうなのよ!


 あたし、ものすごく大きな間違いを犯す所だったわ!


 業村くんと付き合う振りをしてフェイクの噂に対処しようだなんて。


 それに気づいてこの週末にじっくり考えたの。

 自分にまっすぐ向き合って。


 あたしはあたしが本当にすべき事、全然分かっていなかった。

 迷妄に囚われていたあたし。



「お礼だなんていい。ボクは特に何かしたわけじゃない。噂がある日生まれ、そしてあっという間に消えたってだけだ。」


 もーう!

 ふうらちゃんたらクールなこと言っちゃって!


 外見はクールに見えるけど内面は温かい・・・・・まるでネコちゃんのロシアンブルーみたい。うふふ。


 とにかくあたしはこれを伝えたい。そのために更に早起きして来たんだから。


 あたしはふうらちゃんの目をちゃんと見てから一呼吸、息をすうっと吸ってはぁっと吐いた。



「・・・ふうらちゃん。あたし、ふうらちゃんのお友だちになれてよかった。これからもよろしくね!」


「・・・・・こちらこそ」


「なんていうか、その・・・あたしはまだまだ未熟者でさ、周り数メートル範囲しか見えていなかったの・・・・・今回だってもうちょっとで間違った方に行っちゃうとこだったんだもん。ほんと、感謝してる」



 同じ教室にふうらちゃんがいてくれるだけであたしは心強く思う。


 リアとふうらちゃんには大感謝!


 友だちになってくれてありがとう!



「ボクたちはまだ高校生だ。だからそれが通常だ。」


「ふうらちゃんはこんなにしっかり者なのにね。えへへっ」


「まあ、ボクは変人らしいからな。えっと、ちょっと失礼、リアはちゃんと教室にいるか聞いてみるから。大事なことだから2度も言ってしまうがタイミングが大切なんだ。」


 ふうらちゃんがスマホを手にした。


「ふうん。で、あたしは何をすればいいの?」


「普通に教室に行ってリアと話をしててくれ。リアはサプライズがあること自体は知っているんだ。でも内容はボクだけの秘密。だからボクは後から登場してサプライズするから、それまでつないでてくれるかな?」


「おっけー!任せといて!リア、ついに17才かぁ。うふふ」


 あたしは誕生日は8月。


 通常友だちからは夏休み前か後に小さなプレゼントされる。


 ちょっとリアがうらやましいな。こういうの。



 あたしはその場に残ったふうらちゃんに手を振って教室に向かった。



 誰もいない階段をひとり上る。



 あたしはほんとは今日、ちょっと緊張してるの。


 だって、ふうらちゃんはああ言ってくれてたけど、実際はクラスの中はどうなっているかわからないし。


 自分で確かめるまで本当に安心なんて出来ないの。


 それに・・・・・ロードくん。


 あたし、既読スルーしたまんま今日まで。


 今日ロードくんに会ったらまず、いつも通りにおはようって言って、それから・・・・・



 あたしは今日、ある一大決心をしている。


 牧野さんに先を越される訳にはいかないの。


 でも、これは誰にも秘密。




 さーて、リアはいるかな。


 階段から3F廊下に出た。


 あれ?教室の前に立っているのは・・・・ロードくん?


 あたしはそのまま急ぎもせず意識して普通に歩く。


 その間にドキドキがいやに高まってくる。



「・・・おはよう、ヤシロさん」


「あ・・・おはよう、ロードくん。ロードくんもサプライズに参加だったんだ?あれ?リア教室にいる?」


「うん、今はいないけどすぐ戻るよ。」


「そう、なら大丈夫かな。タイミングが大切らしいから。ねぇ、ロードくん、髪切ったんだ?似合ってるけど別の人みたい・・・」


「変・・・かな?」


「ううんっ、そういう意味じゃ・・・」


「ヤシロさん。目をつぶって!」


「えっ!なっ、何で?」


「あのっ、僕、前黒板にちょっとアート描いてみたんだ。ヤシロさんに見て欲しくて。」



 なーんだ。あー、びっくりした!


 もしかして、もしかしたらって思っちゃったじゃない!


 超勘違い!もう、やだっ!


 でも・・・何だろ?


 ああそっか!きっとふうらちゃんにリアのバースデーのお祝いのためのデコ、頼まれて何か描いたのね。



「わかったわ」



 教室の後ろ扉の前まで行ってあたしは目を閉じた。


 戸を開けた音がした。



 ロードくんがあたしの左肘をつかんで誘導する。


 たぶん教室の真ん中辺まで来て止まると向きを直された。



「このままいいって言うまで目をつぶっていて」


「うん」



 ロードくんがあたしから離れて行く気配がした。



「まだ?ロードくん。」


「・・・・・いいよ。ヤシロさん。僕の心を込めて描いたヤシロさんを見て。」



 あたしを?



 あたしは気になってパッと目を開いた。





 ・・・・・!







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