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まだ未完、だから夢中に迷妄中  作者: メイズ
第2章 忙中、某女子は密謀し謀略を防止する
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アンラッキーデイ〈業村〉

 ・・・・・?


 なんだ?なんでこんなところに華厳さんがいるんだ?


 しかも・・・くくくっ。


 何のつもりだろう?その昭和時代みたいな格好。


 そういうレトロスペクティブな趣味でもあんのか?


 あの変人、泉さんの友だちだからな。こいつも変人なんだろう。



「ひっ、人違いですよっ?」


 華厳さんは1オクターブ高い声で俺に言った。


 もしかして、隠してるつもりなんだ?

 その体型だけで目立っているのに。


 俺と同じ位の長身のスレンダー女子なんてそうそういない。

 しかもその腰まである長い髪。


 ポニーテールから三つ編みおさげにしたって長さは変わらない。


 そしてその個性的な渋い深緑色の唐草模様のリュック。


 どこで見つけたんだ?


 華厳さんの好みは同年代の俺たちとはひと味違うと思ってた。


 そんなの使っているのはこの学校で華厳さんしかいない。


 自分、普段からどんだけ目立ってると思ってんのよ?



 華厳さんはこちらを向いたまま、さささっとカニのように横に素早く移動したかと思うとチャリにサッとまたがりあっという間に去って行った。



 ・・・なんだったんだろ?今の。



 まあどうでもいい。


 今はこの先輩方のお相手をしてあげなきゃな。


 まじ、うっぜーやつらだぜ。


 俺よりほんのちょっと先に生まれただけだってのに威張りやがって。


 でもな、こんなの今だけだからな。社会に出たら実力と運。


 10年後15年後、見ていろよ。


 その頃には俺の方がずっと上だ。


 俺がおまえらを、この世界を支配してる。


 お楽しみにな。



 とりあえず今は生徒会長とご当地アイドルもどきには気に入られとかなきゃな。



「なんだ?今の人。昔からタイムスリップして来たみたいじゃん。クスクスっ」


「変わった知り合いいるんだな?おまえ。くっくっく」


 

 ・・・くっそ!華厳さんのせいで、何で俺が恥をかくんだよ?




「いえ、僕はあの人とはクラスが同じだけで何の関わりも・・・。そんなことより、僕、実はずっと前から桃山先輩と甲斐先輩に憧れていたんです。今日は話しかけて頂いて光栄ですっ!先輩方」


 俺は心にも無いことでもさらっと言えちゃうデキる男。


「・・・そうなん?」


 ほら、さっそく桃山先輩の態度が軟化したぜ?


 ちょいにやけてる。


「はいっ!先輩みたいになりたくて、真似してたんですけど、なかなかうまく行きませんね。僕なんかでは。」


「・・・ふーん」


「これを機会にご指導御願いします!先輩!」


 俺は桃山先輩に深々頭を下げる。


 こんなのへでもねぇよ。どこも痛くねーしな。


「・・・仕方ねーな。でもな、まだ1年生女子に手ぇ出すなよ。俺まだじっくり見てねーし」


「おまえ、それにな、特に1組のミアの周りうろつくんじゃねぇよ。ま、おまえが俺と争うだけ無駄ってもんだけどな」


 イケメンだけが取り柄の人には言われたくないなぁー。甲斐先輩?


「・・・了解です。先輩!今日は思いがけず先輩方とお話出来てよかったです」


「ほーぉ?今言ったこと忘れんなよ?学校の風紀乱すなよな、業村。・・・・・わかったならもういいや、行けっ」


「はいっ!失礼します」



 俺は礼儀正しく会釈してから落ち着いた足取りを心がけてその場を離れた。




 はぁ~、やれやれ。


 めんどくせぇやつら。


 テスト準備週間だってのに下らないことに時間も労力も使ってしまった。



 甲斐先輩がここまでミアちゃんにご執心とはな・・・・・



 俺は先月終わりごろ中庭で鯉の餌やりしてる超かわいい子を発見した。


『たくさん食べてね、鯉さんたち!大丈夫よ、慌てなくてもいいのよ』


 黒髪をなびかせ池の鯉に微笑む君はまるで伝説の蓮津(れんづ)姫を思わせた。


 俺はヤシロ攻略中にもかかわらず、ミアちゃんのこともひと目で気に入ってしまった。



 仕方がないさ。片方だけ選ぶなんて無理だ。


 二人タイプが全然ちがうし。



 そこで俺はさりげなく鯉は何を食べるのか、と彼女に声をかけてみた。


 先程の笑顔は消え去り、『鯉の餌です』と当たり前のことを愛想無く答えた。


 これは誰の仕事なのか聞いてみたら、『錦鯉研究会の当番の仕事です。では』、そう無愛想に言ってさっさと立ち去って行った。


 きっと、俺がイケメンだから照れているんだ。ツンデレなのかもしれない。そう思った。



 俺は錦鯉研究会周囲からミアちゃん攻略しようと動き始めた所だったのに、とんだ邪魔が入った。


 甲斐先輩もミアちゃんを狙ってることは知ってた。


 だからってまさかほんとに生徒会長と甲斐雅秋が直で俺に絡んで来るとはな。牧野さんが言ってたのはマジだった。

 

 牧野さんは俺がヤシロの他にも甲斐先輩と同じ女の子も狙ってること知ってて揺さぶりかけてきたけど、あの牧野さんが自分の彼氏が他の女の子にちょっかい出してんのにあんなに澄ました顔でいるわけがない。



 ・・・てことは、やっぱり甲斐先輩と牧野さんがデキてるっていう噂はガセだったようだな。



 ふふっ・・・



 噂ほど当てになんない情報はねーよな。


 通りすがり二人に聞かせた俺とヤシロのキスの話。


 昨日の放課後には拡散するわ内容も進化してすげぇことになってたな。あははは!


 どいつもこいつもこんなものにいとも容易く踊らされて・・・・・



 ああ、愉快愉快!



 おまえら思考力ねーのかよ?その情報確かなのかよ?


 結局は自分自身で直接知ることでしか真実かどうかだなんて確かめられはしないんだ。


 

 流される情報には既に誰かの垢がついてる。 

 意図的に前提条件を変えたデータが平気で同等に比べられるこの世の中。


 頭ん中、お花畑、思考停止はお気の毒様。




 あははっ!


 見てろ!俺は騙されるより騙す方になるぜ。




 あはは・・・は・・・は、は・・・・・



 はーあ・・・・・はぁ。



 ・・・ヤシロには既読スルーされてるし、ミアちゃん攻略はやむ無く一時停止。


 そして俺は今日、クラスで"煩悩王子"という称号をいただいた。


 昨日発生したの俺とヤシロとの噂は今日になりまたもや変異した。


 くっそ!


 なんと、俺の妄想癖がヤバいらしいというニューバージョンが流れ出した。


 俺とヤシロがついに最後までやっちゃったというとこまで行き着いてた昨日までの噂は、実は俺がヤシロへ(いだ)いた願望の妄想だったということで終結していた。


 ヤシロは俺がヤシロに(いだ)いた妄想を知ってショックを受け、今日は欠席したらしいということになっている。

 

 ったく。何がどうなってこんな噂になんだよ!


 下世話なやつらがからかってくるから俺はその消火活動に追われた。



 今日はあっちもこっちも上手くいかねーな。



 チクショウ!






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