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まだ未完、だから夢中に迷妄中  作者: メイズ
第2章 忙中、某女子は密謀し謀略を防止する
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『ミニライブの惨劇 犯人を推理せよ!』〈リア〉

 あの時の第一回文化祭準備学級会


 私はくじ引きで委員長に祭り上げられた。


 提案候補は3つに絞られたものの、それぞれを推す3つの勢力ができあがっててお互い退かない現状になっていた。


 私も、自分が上手くクラスをまとめられない、それにどいつもこいつも妥協点すら探ろうとしないことに相当苛立っていた。



 余りにも対立してる3つの提案を前に、私は10分間のクールダウン時間を皆と自分に与えた。



 その間にふうらが私に提案してきた。



『落ち着け、華厳さん。ボクに考えがある』


 めっちゃ抑えてるつもりなのに。

 そんなに苛立ちが表面化してるんだ、私?


『考え?』


『うん、聞いてくれる?』



 ふうらの提案はオリジナル脚本の劇の上演。


 ふうらはその場で即興でお話を作り上げ、私に進言したの。




 ・・・・・それは、



 ある週末の夜、路地裏の古びたビルの地下1Fの小さなライブハウス。


 そこではシークレットライブが始まっていた。


 小さなステージではコピーバンドがギュインギュインと人気曲を掻き鳴らしている。


 会場にはダイレクトメッセージで招待された10人のコスプレイヤーたち。


 それぞれお気にのキャラに扮した彼らは、つんざく音とリズムに体を委ねて恍惚的に踊っている・・・・・


 既に魔の手に抱かれているとも知らずに。




 その間に彼らの外界への扉は閉ざされていた。


 劇場スタッフは警察官を装った何者かに狭いスタッフルームに集められ口を塞がれ手足を拘束されていた。



 自分用に密かに酸素スプレーを隠し持っている犯人は会場に紛れた1人。消火装置を誤作動させ会場の二酸化炭素濃度を上げてゆく。


 直ちに避難するよう繰り返し警告する自動音声に戸惑う面々。


 開かない扉。


 緊迫に包まれる会場の人々。




 二酸化炭素濃度4%


 胸を押さえめまいと吐き気に見舞われる華やかな姿のコスプレイヤーたち。


 不意に意識を失いそうなめまいに何度も襲われながらも開かない扉に必死に体当たりする銀髪の戦士。


 抱き合って泣き出す超ロングビビッドカラーウィッグの女の子たち。



 二酸化炭素濃度7%


 数人は座り込みやがて意識を失ってやがて床に崩れ落ちた。


 ほくそ笑む犯人。


 ついに数人の息は絶えた。



 そして・・・・





 ーーー『ほら、この設定でいいだろう。これで "音楽活動してるカッコいい俺" をこの文化祭というチャンスに好きな子に見せたいだけの板東くんたちのグループの望みは叶う。そして、普段からコスプレに興味があったものの羞恥心から踏み切れないでいたが、この文化祭を口実にデビューしようと目論んでいた外衣(はずい)さんたちの目的もカバーできる』



 ふうらは言った。



『そしてお化け屋敷推しグループだが』


『彼らは何とか自力で拘束を解いて惨劇の現場を目の当たりにするシアタースタッフということにしておこう。直後に現場に踏み込んだため彼らも中毒症状をおこし、めまいと嘔吐で立ち往生する。その間生き残りの倒れたコスプレイヤー数人に足をつかまれたりすがりつかれたりしてもらう。ここでお化け屋敷同様おもいっきり叫んでもらえばいい』



『ただ "普段とは違うスリルを味わいたい" だけのお化け屋敷推しグループはここで予定調和の恐怖を与えられれば満足するだろう。これなら流血は必要ない。ここは学校だしひどいスプラッターは許可されないだろうから』



『このグループは日々平穏に過ごしているがために日常を特別幸せと感じてはいない。平穏無事過ぎて無意識にストレスを求めているのだろう。脳は多少のストレスをかけられるのを求めている。さもないと思考が停止しがちになる。ここはプロパガンダに最も影響されやすいグループだな。まずはこのグループをこの案に賛成させれば残りもこの案で了承させることは簡単だ』



『・・・・・どうかな?華厳さん。脚本はボクが適当に書くから』



『題名は『ミニライブの惨劇~Someone's hidden depths~犯人を推理せよ!』なんてどうかな。うん、適当だけど。惨劇の後は観客に犯人を推測してもらって正解発表の結末は朗読で済ませたらいい』



『・・・泉さん、ありがとう。私、それで行かせるわ』




 私はこの時まで泉ふうらという子をよく知らなかった。


 ふうらは誰かとべたべたつるんだりする子じゃなかったし、置物のようにいつも席に座っていたし、私とも必要な事以外話したこともなかった。


 ううん、誰ともそうだったと思う。


 なのにクラスの状況こんなに把握してるなんて。



 私は皆の前でキリリと、もうこれは決定事項のごとく話した。


「私たち、クラス実行委員の協議の結果です。皆の意見を取り入れました。なので皆多少の妥協は必要です。協力お願いします。このクラスは演劇にします」


 私はふうらから聞いた脚本予定のストーリーのサマリーを皆に話した。



「役は全てダブルキャスト。劇中ライブ演奏シーンあり。ただし、教室だし、爆音は無理よ。ボーカル生だけで他はエアギターよ。ドラムスも場所取るから無理。インスト音源用意して。ただのカラオケ状態になるけどカッコはつくしいいよね。踊るコスプレイヤー役は多くて10人まで。拘束されるスタッフ役5名まで。細かいことは後で調整します。これで文句はないよねっ!」


「えー!そんなぁー!そんなんじゃ俺らショボくね?」


「そんなにパフォーマンスしたい人たちは体育館と中庭で行われる有志パフォーマンス募集に申し込んでよ!予選選考突破すれば出られるんだから!」



 私はちょうど手にしていたシャーペンを斜に構え、的を定めるように板東くんと外衣さんを順に見てから全体を見渡した。



「ちっ!しゃーねーな」


「ふゎ~い。いいよ~」


「こっえ、華厳。飛び道具つかうなよ!」


「わかったからー。怒んないでぇ、リア」


「よくわかんないけど面白そうだねー!」



 よっし!決まりっ!



 ふうらに微笑みかけた私。


「ありがとう。泉さんのおかげだね!」


 無表情ですました顔に耳だけ赤らんだふうら。


 


 

 


 私は去年の文化祭準備のことを思い出してぼけーっとしていた。



「・・・・・さん・・・ごんさん・・・おい、聞いてるか?華厳さん、次最後の問題だね。宿題の大問3の(3)の式と解、黒板に書いて」 



「・・・は?私・・・あっ!はい。了解でっす」



 やっば、数学の授業中だった。



 ふふん、大丈夫。朝、ふうらのノート借りて写してあるからね。


 3の(3)だね。えーっと。


 ・・・・・んっ?


 最後の問題だけ書いて・・・無いっ?!


 私、写し忘れたみたい!


 汗あせっ!やばい。


 キョドる私。



 ふうらがこっち見てる。


 その顔。無表情・・・・・じゃないのよね。実は。


 そう、私にはわかる。



 ふうらのニヤニヤ。




 ぴこん。



 教科書立てて隠してるスマホにふうらから大問3(3)の解答が届いた。



『そこはボクのノートめくった次のページにやってあったのに』


 ・・・・・って?



 くう~、嵌めたでしょ?


 あんな空白残して次のページに書くな!



 ・・・・・はいはい。わかってる。悪いのは私よ。これからは宿題自分でやってきますよ。



 ・・・・・5回に一回くらいは。








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