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まだ未完、だから夢中に迷妄中  作者: メイズ
第1章 トラップのゴシップでスリップ
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死んじゃダメっ!

「・・・うん、帰ろう。片付けは完璧だよ。」


「全部任せてしまってごめんね。ロードくん。」



 ロードくんがリュックを背負った。


 あたしも業村くんが床に捨て置いたあたしのリュックを右手に持った。




 あたしたちは揃って教室を出た。




 ・・・・・さっき、言いそびれたこと今言ってもいいかな。



「あのね、ロードくん。ドーナツ屋さんであたしがした質問覚えてる?」


 あたしは隣をちょっと遅れてずれて歩くロードくんの方にくるりと向きを変えて質問した。


「うん、覚えてる・・・・・あ、ヤシロさん、後ろ歩きは危ないよ。」


「あたしがロードくんの名前を去年から知っていたわけ。」


 あたしはリュックを両手で前に持ち、後ろ歩きしながらそのまま構わず話し続けた。



 ん?


 

 ぶーーん、ぶーーーんっ・・・・・って音、向こうから?


 ・・・・・ま、いっか。



「それはね、あたしが・・・・・きゃーっ!」



 いやーっ!何なのよっ、この物体X!


 音が近づいてきたな?と思ったら正体不明の虫があたしに向かって飛んで来たっ!



 あたしに来ないで〰️〰️〰️!



「危ないっ!ヤシロさんっ!」



 パニクったあたしは後ろ向きに倒れて・・・・・・





「・・・・・・痛ってって。」


 ロードくんの呻き声。



 あたしはロードくんに抱えられて、しかもロードくんを下敷きにして廊下に倒れていた。


「あっ、あたし・・・・ごめんなさい。大丈夫?ロードくん。」


「あ・・・・うん・・・いてっ・・・大丈夫。」



 あたしはロードくんにぎゅっと抱えられたまま。



 ・・・・動けない。



 ロードくん、仰向けに倒れてあたしを抱えたまま固まって、腕をほどくの、忘れてる。


 ちょうどあたしの目の前にあるロードくんの首筋。


 ロードくんの匂いがする。男の子の臭い。イブキの臭いと似てる。


「あの・・・・」


 あたしがもぞもぞすると突然パッとロードくんの腕が解かれた。



「ご、ごめん。」


「あたしこそごめんねっ。ロードくん。あたしの不注意で。」


 あたしはロードくんの右脇に両膝をついて降り、仰向けに倒れたままのロードくんの顔を真上から覗いた。


「どこぶったの?どこが痛いの?ロードくん」


 あたしはロードくんの頭を起こそうとして腕に抱えた。


「いやっ、ぼっ僕はだっだっだっ・・・・・」


 あたしの腕の中でロードくんが苦悶の表情。


 目をぎゅっと瞑って顔が赤らんでいる。



 まさか、あたしの重みで内臓ヤられたっ?!



「だっ、大丈夫っ?救急車をっ!」


 慌てるあたし。


 ロードくんは顔を両手で覆った。


「あっ、だっ、いやっ、・・・僕は・・・大丈夫だから・・・・」


 声がっ!上ずってかすれてるじゃない!


 そんなに苦しいのっ!やばくない?あたしのせいでっ!どうしよう!


「いやっ!死んじゃダメっ!ロードくん何型なのっ?あたしO型だから!オールマイティーだからっ!もしもの時はあたしの血半分あげるからっ。」


 どうしよう!あたしのせいでロードくんがっ!


 そうだ!ふうらちゃんの予言ってこの事?!


 あたしがロードくんにかまうとロードくんに災厄がっていうやつ!


 やっぱあたしのせいだ!


 嫌っ!あたしのせいでロードくんに災い起きるなんてっ・・・・


 あたしは本当に涙が出てきてほほを伝い始めて・・・・




「ヤシロさん・・・・・落ち着いて。僕は何ともないから。」



 ・・・・・ロードくんの長い指があたしのほほの涙を拭った。



 ロードくんは自分で半身を起こした。



「ロードくん・・・・ほんとう?」


「うん、ほんと。だから泣かないで。」



 惑いを浮かべるロードくんの瞳。



 あたし、ロードくんに何かあったらと思ったら・・・・本当に苦しくなってしまったの。



 良かった・・・・・本当に。




 廊下の真ん中に座り込んでるあたしたち。




「どうかしたのか?君たち。」


 階段から降りてきた通りがかりの男子二人組があたしたちに声をかけた。


「いえ、大丈夫です。転んでしまっただけです。」


 あたしは声の主を見上げた。



 うわお!


 あたしたちの学年のツートップ、雪村(こう)くんと神谷神露(かんろ)くんだわ!


 これこそパーフェクトコンビだわね。次期生徒会会長と副会長。


 容姿端麗、成績優秀、人望厚き優等生。


 本当の性格は知らないけど。



「あれ?(こう)くん。」


「何だよ、ロードだったのか。」



 雪村くんが手を差し出し、ロードくんがつかまって、よいしょって立ち上がった。


「君は、大丈夫?」


「あたし?・・・・はっはい、おっけーでーす。」


 神谷くんが座り込んでるあたしに優しげに声をかけて来たので慌てて立ち上がった。


 こんな間近で初めて見たわ。神谷くんて、クールなイケメンで親切で、がちイケてる。


 ロードくんの次ぐらいだけど。




 ロードくんと雪村くんが仲良さげに話してる。


「うん、煌くん。僕たちの黒板アート、新作見てってよ。今月のはガチカッコいいから。」


「了解。そうだ、ロード。牧野さん知らないか?」


「ああ、さっき泉さんと帰ったけど。行ったばっかりだから急げば追い付くかも。」


「サンキュー、ロード。また転ぶなよ。」


「あは。」



 

「行こう、雪村。」


 神谷くんが雪村くんを急かした。



「じゃーな。ロード。」



神谷くんと雪村くんが軽く手を上げて挨拶してから走って行った。


「ねぇ、廊下走っちゃだめだろ?」


 ロードくんがクスっと笑いながら二人に言った。




「僕らは赤色灯装備なのさ。」


 神谷くんがアデューして階段へと曲がって消えて行った。


 雪村くんもあははと笑いながら後に続いて見えなくなった。



 二人とももっとツンケンした人たちかと思ってたけど、意外とあたしみたいな一般人と変わらないとこもあるのね。


 行っちゃったけどあたしも一応気持ち、アデューしておいた。

 


 生徒会選挙は来月だけど、当選するのは雪村くんと神谷くんってみんなわかってる。


 次期生徒会長雪村煌と副会長神谷神露(かんろ)



「ロードくんて雪村くんとお友だちだったの?すごく親しそう。」


「1年の時同じクラスだったんだ。牧野さんもね。」


「ふうん。」




 意外なつながり発見。




 ぶーーんぶーーん・・・



 廊下の窓ガラスに一匹の花アブがコツンコツンとぶつかってる。


 あたしが窓を少し開けてあげるとスルリと隙間から出て行った。






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