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まだ未完、だから夢中に迷妄中  作者: メイズ
第1章 トラップのゴシップでスリップ
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乙女をなめんな!

「やあ、偶然だな。」


 げっ!


 突然あたしに声をかけてきたのは業村くんと大高くん。



「なあに?何か用?あたしたち、今委員会の打ち合わせ中なのよ。」


「ふうん、だったらクラス委員長の僕にも教えてよ。」


「ダメ。これはみんな見てからのお楽しみなの。」



 何でよりにもよってこいつらが来るのよ?

 あたしの楽しい時間が台無しだわ。

 もう、帰った方が良さそうね。


 まだ、ロードくんがあたしの謎かけに答えてくれてないけれど。



「じゃあ、そういうことで、もう帰りましょ、ロードくん。」


「あ、うん。」


 ロードくんとやっとはっきり視線が合った。



「いいじゃん、せっかくだからちょっと僕達と話そうよ。」


 業村くんが勝手にあたしの横にアイスコーヒー2つのせたトレーを置いた。


 そして勝手にあたしの横に座ってきた。



 ちょっと!


 そこに座られたらあたし出らんないよ。

 ここはかどの席の壁際。


 ゲス笑いが薄く浮かんでる大高くんはロードくんの隣の椅子へ座った。


 ロードくん、緊張してるの伝わってくる。すごく嫌そう。


 当たり前だわ。


 こいつらロードくんに失礼すぎるもん。

 こいつらまた、ロードくんに嫌なこと言うに決まってる!



 そんなことさせるもんですか!



「ロードくん、用事があるんだよね、いいよ、帰って。」


 あたしはロードくんに微笑んで見せる。


「でも・・・・・・」


「あたしもどーせすぐ帰るから。」


「・・・・・うん、ごめん。じゃあ、お先。」



 ロードくんは立ち上がるとすまなそうにあたしを見た。



 業村くんが、『気が利くじゃん。』とか言うので腹が余計に立つ。


 大高くんが『おまえらほんとはデキてんの?』なんて言って帰りかけてるロードくんにニヤニヤ嗤いかけてる。


「・・・・・」


 ロードくんは下世話な大高くんの態度を嫌悪してるのね。


「明日の朝7時45分くらいで。よろしくね、ロードくん。」


 あたしが、ロードくんに小さく手を振ると、



「ヤシロさん、じゃ明日、朝。」


 そう言って他の二人は無視して店を出て行った。



 さて、あたしもさっさと帰ろう。



「ねえ、ちょっとどいて。業村くん。そこに座られたらあたし出らんないよ?通してくれない?」


「わかった。でもその前に教えてよ。ヤシロさんは彼氏いないんだろ?昼休み騒いでたよな?」


「あはは、あれ傑作だったよな。聞こえてたぜ?」


 大高くんがニヤニヤしてあたしをからかってきた。


 あたしの夢見る理想的シチュエーション。まだ見ぬ王子様とのすてきなファーストキス。


 あたしは思い出して顔が熱くなってしまったけど、負けずに言い返した。


「勝手に人の話聞いてんじゃないわよ!」


「ふふーん。向岸(こうぎし)って見かけと違って意外。そんな純情だったとはな。ははん。俺が相手してやろうか?それ。」


 大高くんは冗談とも本気ともとれるような顔であたしに軽い調子で言った。


 こいつバカ。


「面白くもない冗談だね。」


 あたしはむすっとして言ったけど、大高くんのニヤニヤはとまらない。


「おい、やめろよ。ヤシロさん可哀想だろ。」


 業村くんが大高くんをいさめたけど、あたし哀れまれる筋合いなんてないの。

 だいたいなんであんたたちがあたしと同じテーブルについてるのよ?


「あたし、帰るからどいて!どかないならここで大声で叫んじゃうからね!」


 あたしはこいつらの態度に超あったま来て言ってやった。


「わかったから落ち着いてよ、ヤシロさん。」


 業村くんは余裕ぶってたけど、内心狼狽してる。



 ふふん、乙女をなめんなよ。


 このあたしに嫌がらせしてくるなんて許さない。



 業村くんが立ち上がったのであたしは荷物を持って席を立った。


「何だよ?ただのジョークじゃん。つまんねーやつ。」


 大高くんがのたまうので言ってやった。


「今のは完全セクハラだからね!」




 あたしはムカムカしたまま店を出た。


 雨。しとしと。


 傘をさす。



 さっきまであんなに楽しかったのに。



 ロードくんはもう電車に乗ったのかな・・・・・?







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