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その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
84/948

#82

とりあえず幼女(ようじょ)のことをサービスと呼ぶことにしたミックスとジャズは、アミノに連絡(れんらく)し、監視員(バックミンスター)のほうで迷子(まいご)捜索(そうさく)願いが出ていないかを確認(かくにん)してもらう。


監視員(バックミンスター)とは、彼らが住むバイオニクス共和国(きょうわこく)治安(ちあん)維持(いじ)する組織(そしき)だ。


ミックスの担任(たんにん)教師(きょうし)であるアミノは、監視員(バックミンスター)に友人がいるらしく、早速(さっそく)調べてもらうことになった。


《じゃあ、なにかわかり次第(しだい)連絡をしますね》


「お願いします。すみませんね。いつも先生にばかり(たよ)っちゃって」


《そういう相手のことを考える気持ちは大事ですが。子どもはそんなこと気にせずに大人を頼りなさい》


冗談(じょうだん)()じりでたしなめるアミノ。


ミックスは彼女に(れい)をいって通話(つうわ)を切ると、何やらジャズがサービスの前で(あわ)ただしくしていることに気が付く。


どうやらジャズがサービスに話しかけると、何故か彼女が(おび)えてしまうようだ。


今もニコの(ゆた)かな()(おお)われた体の(かげ)にその身を(かく)しながら、ジャズをじっと見ながら(ふる)えている。


「う~ん、なんで(こわ)がっちゃうんだろ? この子って人見知りなのかな?」


「ジャズは顔が怖いからね」


「うん!? ちょっとッ! それってどういう意味(いみ)よ!」


ジャズが声を張り上げると、サービスは(つか)んでいたニコの体をさらに強く抱きしめ、その身の(ふる)えを(はげ)しくする。


(ちから)一杯(いっぱい)抱きしめられたせいか、ニコが(くる)しそうに()く。


そして、サービスはそのまま走り出してしまった。


「あぁッ! どうしたのよ(きゅう)にッ!?」


「それよりも今は止めなきゃッ!」


(あわ)てて彼女を追いかけるジャズとミックスだったが、サービスは少し走っただけで(つまづ)き、(ころ)んでしまう。


ジャズが()け寄って彼女の体を見てみると、(さいわ)いなことにニコがクッション代わりになったため、大きな怪我(けが)はなさそうだ。


「もう、いきなり走ったりしたら(あぶ)ないじゃないの」


注意(ちゅうい)を受けたサービスはミックスの(うし)ろへと(まわ)って彼の足を掴み、また震え出す。


彼女は、まるで街で(あば)れる怪獣(かいじゅう)でも見るような目でジャズのことを見ている。


どうやらこの黒髪の幼女はジャズのことが苦手(にがて)のようだ。


「こらこら、そんな大声出したらまた逃げちゃうだろ」


「うぅ、たしかにあんたのいう(とお)りかも……」


「はい、そんな怖い顔はやめて笑いましょう、ジャズお姉さん」


「あんたねぇ……」


ミックスは面白(おもし)がっているのか、ジャズをからかうように声をかけた。


ジャズは彼の態度(たいど)表情(ひょうじょう)強張(こわば)らせると――。


「ひぃッ! うぅ……うわぁぁぁんッ!」


サービスが泣き出してしまった。


「ほら見ろ、ジャズのせいで泣いちゃったじゃないか!」


「あんた、あたしのせいにするつもりッ!? いやそれよりも今はこの子をなんとかしなきゃッ!」


ミックスとジャズはあたふたしながら泣き止むように声をかけ続け、なんとかサービスは泣き止んだ。


そんな三人の(そば)では――。


先ほどサービスに力一杯抱きしめられ、さらに彼女の下敷(したじ)きとなったニコが、(たお)れたまま(うめ)いていた。


泣き止んだサービスはそんなニコに飛びかかり、また同じように抱きしめる。


よほどニコのことが気に入ったのだろう。


苦しそうにしているというのに、お(かま)いなしだ。


「ニコ……悪いが今は我慢(がまん)してくれ。家に帰ったら姉さんから(おし)えてもらった特製(とくせい)ハンバーグをごちそうするから」


ミックスはサービスに抱かれて鳴いているニコを見て合掌(がっしょう)


この泣き虫の幼女を落ち着かせるためだと、呻く電気(でんき)仕掛(じか)仔羊(こひつじ)(おが)んでいた。


「でもこれじゃ宿題(しゅくだい)無理(むり)ね」


「うん……そのことには途中(とちゅう)から気が付いてたよ……。でもまあ、こんなもんだよね……ハハハ……」


(かわ)いた笑みを浮かべるミックス。


そんな彼に今度はジャズが合掌した。

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