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その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
56/948

#55

ジャズとウェディングは、しょうがなく学校へ行く途中(とちゅう)にあるパン屋で朝ごはんを買うことに。


二人とも購入(こうにゅう)したパンを食べながら登校(とうこう)する。


「こうやってパンをくわえながら歩いていて、誰かとぶつかったりしませんかね?」


「しないでしょ……。なにいってるのよウェディング」


「知らないんですか? 遅刻(ちこく)するトースト少女は、通学中(つうがくちゅう)衝突(しょうとつ)した少年と(こい)に落ちるっていう都市(とし)伝説(でんせつ)


「あたしがいたストリング帝国(ていこく)にそんな伝説はないわよ」


ジャズは、ウェディングがいうバイオニクス共和国(きょうわこく)の都市伝説の話を聞いて辟易(へきえき)する。


そんな都合(つごう)()い話があってたまるか。


大体(だいたい)どうしてパンをくわえてぶつかっただけで恋に落ちるのだ。


今となっては自国(じこく)であるストリング帝国よりも科学(かがく)技術(ぎじゅつ)発達(はったつ)した国だというの、まだそんな子どもが好きそうな迷信(めいしん)(しん)じられているのかと。


「なにをそんなに(おこ)ってるんですか?」


「あんたが朝からおかしなカッコするからじゃないの。おかげであたしまで同類(どうるい)と思われたじゃない」


「ダイジョブダイジョブ。ジャズ姉さんは私がどうこう関係(かんけい)なく、すでに目立(めだ)ってますから」


それからウェディングは、なぜジャズが目立っているのかを話し始めた。


まず彼女が現在(げんざい)和平(わへい)協定(きょうてい)中であるストリング帝国から来た留学生(りゅうがくせい)ということ。


さらには電磁波(でんじは)放出(ほうしゅつ)装置(そうち)――インストガンやナイフなどの武器(ぶき)を持って教室(きょうしつ)に来たこと。


そして、服装(ふくそう)規定(きてい)違反(いはん)し、校則(こうそく)禁止(きんし)されているスカートの下にスパッツを穿()いていて、それを注意(ちゅうい)されると委員会(いいんかい)にスカートの無防備(むぼうび)さを(うった)えたことなど、あげればきりがない。


「だからジャズ姉さんはハザードクラスの私よりもずっと目立ってますよ。イェイッ!」


「うぅ……文化(ぶんか)のちがいのせいだ……。あぁッ! あたしは(しず)かに学園生活をおくりたいのにッ!」


(うれ)しそうに説明(せつめい)したウェディングの(よこ)で、ジャズは(あたま)(かか)えて(さけ)んだ。


なるべくことを荒立(あらだ)てずに留学生活を過ごしたい彼女なのだが。


バイオニクス共和国とストリング帝国の文化の(ちが)い(というよりはジャズのこれまでの生き方)と、おかしいと思ったことには口を出さずにはいられない性格(せいかく)のため、周囲(しゅうい)からは奇異(きい)の目で見られてしまっている。


さらに学業(がくぎょう)や運動も上位の成績(せいせき)というのもあって、留学生というだけではなく、むしろ彼女に注目(ちゅうもく)しないほうがおかしいという状態(じょうたい)だ。


ただジャズの中ではウェディングの自分に(たい)する(せっ)し方や、自分の意見をハッキリと言わない共和国の国民性(こくみんせい)問題(もんだい)があると思っていた。


一番の問題は、そんな自分の価値観(かちかん)(かく)さないこのサイドテールの少女の人間性(にんげんせい)なのだが。


彼女がそれに気がつくことはなかった。


「なにをおっしゃるッ! そんなドタバタなジャズ姉さんがステキなんですよッ!」


頭を抱えているジャズの両肩(りょうかた)に自分の両手をポンッとのせるウェディング。


そして、(うめ)いている彼女を押して学校へと向かうのだった。


「朝からこんなモヤモヤしているのもあいつのせいよッ! 全部ミックスのせいなんだからッ!」


「はいッ! 悪いことは全部ミックスせんぱいのせいにしちゃいましょう!」

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