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その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
55/948

#54

それからミックスが目を()ましたのは、(つぎ)の日の(あさ)だった。


気が付くと病院(びょういん)のベットにいた彼が(まわ)りを見ると、そこにはパイプ椅子(いす)(すわ)ったまま(ねむ)っているアミノの姿(すがた)が見える。


彼女に声をかけようと体を動かすと、腹部(ふくぶ)強烈(きょうれつ)(いた)みが走る。


その痛みでミックスは思い出した。


「そうか……(おれ)、負けちゃったんだ……」


ミックスはクリーンに対し、安請(やすう)け合いしてしまったことを悪く思っていた。


彼はなんだかんだいっても自信(じしん)があったのだ。


たとえ相手がバイオニクス共和国(きょうわこく)(えら)ばれたハザードクラスの一人だろうと、どうにか止められると。


自分の不甲斐(ふがい)なさに(かわ)いた笑みを()かべるミックス。


よく見ると全身に包帯(ほうたい)()かれていて、これではミイラ男のようだと自嘲(じちょう)する。


そして、椅子に座ったまま眠っているアミノのほうを見た。


きっと自分が負けた後、クリーンがウェディングかジャズに連絡(れんらく)し、彼女を呼んでくれたのだろう。


ミックスは、いつも迷惑(めいわく)ばかりかけて(もう)(わけ)ないと、眠っているアミノに(あたま)を下げた。


そして自分がブレイクに負けたことを、ウェディングとジャズ二人にも知られていると考えると、いたたまれない気持ちになる。


「俺って……自分で思っていたよりも見栄(みえ)()りだったんだなぁ……ハハハ……」


顔は笑っていても(かな)しい声を出す。


彼は(くや)しかったのだ。


ブレイク相手に何もできなかったことが。


痛みよりもその感情(かんじょう)がミックスの(こころ)()()くし、彼はそのままベットの上でうずくまった。


――その(ころ)


いつものように目を()ましたジャズが、学校の制服(せいふく)着替(きが)えて学生寮(がくせいりょう)食堂(しょくどう)へと向かっていた。


彼女と暮らしている電気(でんき)仕掛(じか)仔羊(こひつじ)ニコは、いつものようにまだ部屋で眠っている。


ジャズは階段(かいだん)を下りながら同室(どうしつ)のウェディングが部屋にいないことと、昨夜(さくや)ミックスが病院(びょういん)救急(きゅうきゅう)搬送(はんそう)されたことを考えながら、一歩(いっぽ)一歩ゆっくりと進む。


(ウェディングがあたしよりも先に起きるなんてめずらしい。……それにしてもあのバカ、また無茶(むちゃ)して……。今度はなにがあったのよ)


ジャズはクリーンから連絡(れんらく)を受けたウェディングから事情(じじょう)を聞き、すぐにでも病院へ向かおうとした。


だがミックスにはアミノが付き()うこととなり、朝から学校があるジャズとウェディングは早く(ねむ)るようにと注意(ちゅうい)されたため、彼女は彼の(もと)へは行くことはできなかった。


昨日(きのう)――。


ファミリーレストランの前でミックスとクリーン二人と(わか)れた後に何かがあったことは明白(めいはく)


そういえば、あのときクリーンは何か用事(ようじ)あるといっていた。


もしかしたらミックスは、そのクリーンの用事とやらに付き合ったせいで病院(おく)りにされたのでは、と彼女は考える。


「う~ん、でもそんな大怪我(おおけが)するほどの用事ってなんだろ? まあ、あとでクリーンに直接(ちょくせつ)聞いてみよっと」


ジャズはとりあえず後でクリーンに(たず)ねてみることにし、寮の食堂へと足を()み入れると――。


「ジャズ姉さん、おはようございま~すッ!」


メイド(ふく)姿(すがた)のウェディングが目の前に(あらわ)れた。


彼女は唖然(あぜん)としているジャズを(せき)(すわ)らせ、微笑(ほほえ)みながら(こし)()っている。


「今日も一日元気にいくためにぃ~、私から姉さんのハートに()え萌えズッキューンッ!」


そして、両手(りょうて)でハートを作ってそれを()き出す。


(ほか)のテーブルで食事を取っている寮生(りょうせい)の女子たちが、そんな二人を見てヒソヒソと何か話し始めていた。


「誰、あの二人?」


「ほら、最近(さいきん)ストリング帝国(ていこく)から来た留学生(りゅうがくせい)とハザードクラスの子よ」


「うわぁ~朝からすごいね……」


寮に住むすべての女子たちの引いている声が聞こえる。


ジャズはそんな周囲(しゅうい)状況(じょうきょう)を見て、あわわと()(あせ)()くと、ウェディングを連れて(あわ)てて自室(じしつ)へと引き返した。


そして、部屋に入るなり彼女に怒鳴(どな)()らす。


「ちょっとウェディング! 朝からなんなのよその格好(かっこう)はッ!?」


「あれ? ジャズ姉さん(てき)には朝は(はだか)エプロンのほうがよかったですかね? 私としては夕飯(ゆうめし)どきのほうが()いかなと思ったんですけど」


「さらによくねぇよッ!」


それからジャズによる説教(せっきょう)が続き、二人が食事を取るときにはもう食堂は閉まっていたのだった。

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