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その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
54/948

#53

ブレイクの(わざ)が決まり、ミックスの装甲(アーマード)された身体から血が()き出す。


まるで(こわ)れた蛇口(じゃぐち)のように血を(あた)りへ()()らし、機械化(きかいか)した部分(ぶぶん)からは血液(けつえき)と共に火花(ひばな)が散っていた。


ブレイクがニカッと笑うと小鉄(リトル スティール)が黒い犬の姿(すがた)へと(もど)り、ミックスはそのまま(たお)れてしまう。


「ミックスさんッ!?」


それを見ていたクリーンが彼に()()る。


だがブレイクは、そんなクリーンなど気にせずに倒れているミックスの(あたま)()みつける。


「なんだよ、もう終わりか? こんなもんじゃ予行(よこう)練習(れんしゅう)にもならねぇ」


そして、その足をグリグリと動かし、動かなくなったミックスの顔を地面(じめん)へとめり()ませようとした。


ブレイクはそんな(いた)みで(うめ)くミックスを見て、(じつ)に楽しそうにしている。


「でもまぁ、適合者(てきごうしゃ)っていってもこんなもんなのかもなぁ。こりゃヴィンテージも思っていたより楽勝(らくしょう)()れそうだ」


(にい)(さま)ッ! その足をどけてくださいッ!」


「あん?」


クリーンに呼び掛けられたブレイクが振り向く。


彼はその身を(ふる)わせている(いもうと)を見て、自身(じしん)両手(りょうて)を広げて口角(こうかく)をさらにあげる。


その笑みはまるで硫酸(りゅうさん)でもかけられたかのような、皮膚(ひふ)(ただ)れて見えるものだった。


ブレイクはその笑顔のままクリーンに向かって口を開く。


「そもそもテメェがけしかけて来たんだろ? なのに、なんてツラしてんだよ」


「もう勝負(しょうぶ)はついています。それ以上(いじょう)はやめてください」


「あん? 勝負ってのはなぁ。どちらかの(いのち)()きるまでやるもんだろ」


ブレイクは、踏みつけていたミックスのことを無理矢理(むりやり)に引き起こした。


すでマシーナリーウイルスによる機械化(きかいか)()かれ、生身(なまみ)腹部(ふくぶ)からは出血(しゅっけつ)が続いている。


クリーンは思う。


マシーナリーウイルスの適合者ですら兄には(かな)わないのか。


いや、今はそんなことよりも、自分の身勝手(みがって)なお(ねが)いを聞いてくれた友人の先輩(せんぱい)を助けなくては――。


「兄様……それ以上(いじょう)続けるなら、私も(だま)ったままではいられないですよ」


クリーンが右手を()ばすと、彼女の(そば)小雪(リトル スノー)(あらわ)れる。


このまま小雪(リトル スノー)日本刀(にほんとう)へと変え、兄であるブレイクに()りかかろうといった感じだ。


すると、ブレイクは無理矢理に起こしたミックスを、クリーンのほうへと(ほう)った。


まるで人形(にんぎょう)のようにされるがままのミックスは、クリーンの目の前でドサッと倒れる。


冗談(じょうだん)だよ、冗談。ったく、マジなんなっての」


ブレイクはため(いき)をつくと、クリーンに向かっておどけて見せた。


こんなのは(あそ)びだ。


本気(ほんき)になるなんてどうかしていると。


「オレがこんなザコにマジになるとでも思ったのか? こんな(よわ)っちい適合者なんか(ころ)価値(かち)もねぇ」


クリーンはミックスの前で(かが)み、彼の(きず)具合(ぐあい)を見ていた。


腹部がかなり(ふか)く斬り()かれてはいるが、臓器(ぞうき)までには(たっ)してはいない。


早く治療(ちりょう)を受ければ命に別状(べつじょう)はなさそうだ。


「おッ、どうやら来たみたいだぜ」


建物(たてもの)の外からはサイレンの音が聞こえてくる。


どうやら先ほどの警報(けいほう)により、この図書館での(さわ)ぎを聞きつけた監視員(バックミンスター)がやってきたようだ。


ブレイクは面倒(めんどう)なのはごめんだと言い、クリーンに()を向けてその場から()ろうとする。


「一ついっとくぞ。これからはもうオレに(かか)わるな。お前は学校でも行ってオトモダチと(あそ)んでろよ」


「兄様……私は……クリーンは……」


クリーンが何か言おうとする前に――。


ブレイクは小鉄(リトル スティール)と共に姿を消した。


(のこ)されたクリーンは、気を(うしな)っているミックスを()きながら、(うつむ)いて彼に(あやま)っていた。


そんなクリーンの姿を見た小雪(リトル スノー)は、(かな)しそうに鳴くと、自分の頭を彼女にこすりつけるのだった。

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