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その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
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51/948

#50

しどろもどろになりながらも、なんとか自己(じこ)紹介(しょうかい)しようとするミックス。


だがブレイクは彼のいうことなど聞かずに、刃物(はもの)のような(するど)視線(しせん)を向けている。


(にい)(さま)ッ!」


そこへクリーンが()って入り、ブレイクはソファーから立ち上がって彼女のほうを向いた。


さすがにクリーンのことを(にら)んではいないが、その不機嫌(ふきげん)そうな表情(ひょうじょう)は変わらない。


「なんだクリーン? 彼氏でも紹介しようってのかよ? お前ってこういうナヨナヨした(やつ)が好きなのか?」


「からかわないでください」


ブレイクは(きゅう)に口を開いたかと思うと、クリーンを茶化(ちゃか)すようなことを言い出した。


すると先ほどまで不機嫌そうだった顔が、ヘラヘラとまるで相手を小馬鹿(こばか)にするような笑顔へと変わっている。


クリーンはそんな彼のことを反対(はんたい)に睨みつけていた。


一方で(そば)にいた小雪(リトル スノー)は、ソファーで寝ている()(くろ)な犬に近寄(ちかよ)ってその身体をこすりつけている。


(毛の色以外(いがい)はそっくりだ。犬の双子(ふたご)ってやつなのかな? いや~それしてもかわいい)


ミックスはたわむれる二匹(にひき)の犬を見て一人(いや)されていた。


なんだったらこの場に電気(でんき)仕掛(じか)仔羊(こひつじ)ニコを連れてきて、エレクトロフォンで撮影(さつえい)でもしたいと思っている。


そんなミックスは完全(かんぜん)蚊帳(かや)の外にされ、ブレイクとクリーンのベルサウンド兄妹(きょうだい)会話(かいわ)を続ける。


「じゃあなんだ? こんなバカで(よわ)そうなのをオレに紹介して、一体(いったい)どうするつもりなんだよ?」


「この人は、ミックスさんは弱くなんてありませんッ! (あたま)は悪いかもしれませんが……」


「おい、質問(しつもん)(こた)えになってねぇぞ。俺はこんなのを連れてきてどうするつもりだと()いたんだよ」


ブレイクの質問にクリーンは返事(へんじ)をしなかった。


ミックスの知っている彼女とは(ちが)い、とても強張(こわば)った表情のまま兄を睨み返しているだけだ。


すでに時間は午後(ごご)五時五十分くらい。


図書館(としょかん)(ない)に、()もなく閉館(へいかん)時間になりますと機械(きかい)による音声が知らせている。


それでも何も言わずにただ見つめ合っているブレイクとクリーン。


ミックスはその緊張感(きんちょうかん)()えられなくなってきていた。


(なんかイメージと違って(こわ)いお兄さんだなぁ……。うぅ、もう帰りたい……)


ミックスが聞いていた――。


(しず)かなところが好き。


人が少ない場所(ばしょ)が好き。


――という話から、おそらく読書家(どくしょか)でクリーンのような落ち着いた人物だと思っていたのだが。


目の前にいる和服(わふく)姿(すがた)の男は、その顔も態度(たいど)もチンピラにしか見えない。


「では、答えましょう……」


「なんだよ? 早く言え」


「ミックスさんはあなたを(たお)すためにここへ来ました」


クリーンが口を開くと、ブレイクは気が(くる)ったかのように笑いだした。


まるで顔の皮膚(ひふ)()(ただ)れたかのような(ゆが)んだ笑みを()かべ、(はら)(かか)えている。


しばらく笑っていたブレイクだったが、突然(とつぜん)笑うのを止め、ミックスのほうを見た。


いきなり見つめられたミックスは、ビクッとその身を(ふる)わせる。


ブレイクはそんな彼を見て口角(こうかく)をあげていた。


「おい能無(のうな)し。さっさと()せろ」


「いや~でも、一応(いちおう)俺……約束(やくそく)しちゃってるんだよねぇ」


「あん? そんなビビッてるくせになにが約束だ。いいから失せろ」


「でも……ねぇ……」


「今なら見逃(みのが)してやるって言ってんだよッ!」


ブレイクは威嚇(いかく)し続けたが、ミックスはけして彼の言う(とお)りにはしなかった。


ビクビクしながらも、(たよ)りないながらも、その場でブレイクに反抗(はんこう)している。


ブレイクはそんなミックスの態度に苛立(いらだ)ち、チッと(した)打ちをすると彼との距離(きょり)()めていった。


そしてミックスのことを、その鋭い眼光(がんこう)で睨みつける。


「言ってもわかんねぇんなら(ほね)の一本や二本()ってやろうか? 苦痛(くつう)っては人を覚醒(かくせい)させる感覚(かんかく)の一つだからな」


「イタイのはヤダなぁ~。できればこうやって話し合いでうまく(おさ)めたいとこなんだけど」


にじり()るブレイクに、ミックスはなんとかコミュニケーションを取ろうと必死(ひっし)になっていた。


だが、今すぐにでも(なぐ)られそうだと内心(ないしん)でヒヤヒヤしている。


しかし、ブレイクも手を出すつもりはないのだろう。


もし彼が本当に殴るつもりでいるのなら、すでに手を出しているはずだ。


「ミックスさんは……マシーナリーウイルスの適合者(てきごうしゃ)です」


クリーンがブレイクにそういうと、彼の目の色が変わった。


先ほどの相手を見下(みくだ)すようだった目が大きく開き、睨むというよりは(おどろ)いているようだ。


「マジか? なら(ため)してみるのもおもしれぇか」

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