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その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
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27/948

#27

ブロードの言葉の後――。


ヘルキャットとアリアが左右(さゆう)から電磁波(でんじは)を発射(はっしゃ)。


さらに正面(しょうめん)からもインストガンが撃(う)たれた。


ジャズは迷(まよ)わず前に向かって突進(とっしん)し、両(りょう)サイドからくる攻撃(こうげき)をかわしながらブロードが放(はな)った電磁波をインストガンで撃(う)ち落とす。


「思いっきりがいいのはお前の良(よ)いところだ」


「それだけが取り柄(え)だからねッ!」


ブロードが嬉(うれ)しそうにいうと、ジャズはインストガンを連射(れんしゃ)しながら彼へと近(ちか)づく。


それは、接近戦(せっきんせん)に持ち込(こ)めば、両サイドからのくるヘルキャットとアリアの攻撃が、ブロードに当たる可能性(かのうせい)があるため止むと思ったからだ。


だが、叔父(おじ)が自分が近づいてくることを考えていないわけがない。


ましてやブロードは効果装置(エフェクト)を使用し、適合者(てきごうしゃ)と同じくらい身体(しんたい)能力(のうりょく)を向上(こうじょう)させているのだ。


正面からまともに戦って勝てるはずもない。


しかし、その圧倒的(あっとうてき)な不利(ふり)の中でこそ生(う)まれるものがある。


相手は勝って当然(とうぜん)と思っているのだ。


その自信(じしん)は過信(かしん)へと変わり、そこに隙(すき)が生(しょう)じる。


そこで生まれた一瞬(いっしゅん)の隙を突(つ)けば――と、ジャズはブロードへと飛びかかった。


ヘルキャットとアリアはジャズの予想(よそう)通(どお)り、ブロードに電磁波が当たることを恐(おそ)れて手を止めていた。


ブロードはインストガンを捨(す)て、機械化(きかいか)した腕(うで)でジャズの撃つ電磁波を弾(はじ)く。


「もらったッ!」


ジャズの銃剣(じゅうけん)がブロードの手首(てくび)を狙(ねら)って突き出された。


腕輪(ハングル)――効果装置(エフェクト)を破壊(はかい)し、機械化を解(と)いた瞬間(しゅんかん)にブロードを締(し)め落とすというのが、彼女の考えていた作戦(さくせん)だ。


取っ組み合いには自信がある。


たとえ腕力(わんりょく)で劣(おと)っていても、掴(つか)んでからの技術(ぎじゅつ)だけなら確実(かくじつ)に自分のほうが上だ。


ブロードを無力化(むりょくか)させた後は、ヘルキャットとアリアを説得(せっとく)し、この場を引いてもらえばいい。


説得が難(むずか)しいくとも、戦っている間(あいだ)に監視(かんし)カメラの電波妨害(ジャミング)に気が付いた人間がここにやってくるだろう。


それでテロ行為(こうい)は阻止(そし)できる。


ジャズがまずは腕輪(ハングル)だと銃剣に力を込(こ)めた。


だが、彼女の背中(せなか)に電磁波が放たれ、そのまま倒(たお)されてしまう。


「まさか、味方(みかた)に当たることを気にしないなんて……」


ヘルキャットとアリアは、ジャズに向かってインストガンを撃った。


それは前もってブロードから言われていたからだった。


倒れたジャズを見下(みお)ろしながら、ブロードが口を開く。


「予想(よそう)が外(はず)れて残念だったな。二人には、いざというときは俺ごと撃つように指示(しじ)を出していたんだ」


「くッ!? そこまでして……」


「あまり無理(むり)をするな。いくらインストガンの電磁波を軽減(けいげん)させる服(ふく)を着ていようが、お前はもう身体(からだ)は限界(げんかい)だ」


ブロードの言う通(とお)り――。


これまで立て続けに戦ってきたジャズはもう限界だった。


だが、それでもまだ彼女は立ち上がろうと地面(じめん)でもがいている。


「諦(あきら)めるわけにはいかないのよ……。ヘルキャットとアリア……は、あたしの友だちなんだ……。叔父(おじ)さんも失(うしな)いたくない……。なによりもまた戦争なんてさせるわけにはいかないのッ!」


「ジャズ……あんたは……」


「ジャズちゃん……」


そんなジャズの姿(すがた)を見たヘルキャットとアリアは、思わず俯(うつむ)いてしまう。


ブロードがそんな二人のほうを見ると、彼女たちは表情(ひょうじょう)を切り替(か)えた。


背筋(せすじ)を伸(の)ばし、軍人(ぐんじん)の顔をへと戻(もど)る。


「少々(しょうしょう)遅(おく)れたが、これから作戦を開始(かいし)するぞ」


「ハッ、ブロード大佐(たいさ)」


「了解(りょうかい)です、大佐」


そして、ヘルキャットとアリアはブロードの言葉を聞き、背筋を伸ばしたまま敬礼(けいれい)をするのだった。

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