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その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
25/948

#25

着替(きが)え終わったミックスは、病院(びょういん)()け出して外へと向かう。


(ジャズは、(おれ)とアリアの会話(かいわ)を聞いて知っているはずだ……)


誰にも見つからないように、外付けの非常(ひじょう)階段(かいだん)()りていくミックスは考えていた。


ジャズが正直(しょうじき)にアミノへ話すはずがない。


彼女を()()まないように、友人に会いに行くと(うそ)を言ったのは、ミックスにはバレバレだった。


きっと今頃(いまごろ)叔父(おじ)であるブロードや親友のヘルキャットとアリアを止めに、管制塔(かんせいとう)――アーティフィシャルタワーにいるはずだ。


「ともかく(いそ)がないとッ! 取り返しのつかないことになるッ!」


ミックスが一気(いっき)に階段を()け降りると、そこには彼がよく知っている人物(じんぶつ)がいた。


「あれ? ミックスせんぱい? ベットで()てるって聞いてたのに、どうしてこんなところにいるんですか?」


バイオニクス共和国(きょうわこく)から(もっと)優秀(ゆうしゅう)な人間と認定(にんてい)されているハザードクラスの少女――。


舞う宝石ダンシングダイヤモンドこと、ウェディングがそこにいた。


「ウェディングこそどうして病院の、しかも非常階段の前にいるんだッ!?」


(おどろ)いたミックスがウェディングへ(たず)ねると、彼女はニッコリと微笑(ほほえ)み返す。


「せんぱいが病院に(かつ)()まれたと聞いたので、お見舞(みま)いにと思ったんですけど。もう面会時間が終わっちゃってて」


それからウェディングがいうに――。


非常階段から病院へ入れば、誰にも見つからずにミックスに会いに行けると思ったようだ。


「それでも(とびら)内側(うちがわ)から閉まっているんだよ。それなのに、一体どうやって中へ入るつもりだったんだ?」


「あれ? せんぱい。(わす)れちゃったんですか? 私のこと」


ウェディングはそういうと、ミックスへ見せるように右手を前に出した。


そして、彼女はその(こぶし)(にぎ)ると手の(こう)から剣の(かたち)をした宝石(ほうせき)――ダイヤモンドが(あらわ)れる。


手から()えた宝石の剣。


まるで手甲剣(てこうけん)のようなダイヤモンドが、非常階段の側にある小さな照明(しょうめい)に当てられて(かがや)いていた。


「そうだった。ウェディングは普通(ふつう)の女の子じゃなかったんだった」


「せんぱい(ひど)い! 酷いですよッ! 私はちょっとくらい死にかけても(きず)(なお)っちゃうのと、全身の(ほね)がダイヤモンドだってだけのどこにでもいる女の子なのに~!」


「うん。それ、十分(じゅうぶん)普通じゃないよね。そこは自覚(じかく)しとこう……」


ウェディングの持つ能力の名は、超復元グレートリストレーション


実質的(じっしつてき)にどんな重傷(じゅうしょう)()おうが、どんなウイルスに感染(かんせん)しようがすべて正常(せいじょう)状態(じょうたい)に治してしまう治癒(ちゆ)能力である。


彼女はその能力があるがゆえに、バイオニクス共和国(きょうわこく)のとある研究所(けんきゅうじょ)(おこな)われた実験(じっけん)――。


増幅アンプリフィケイション計画(けいかく)と呼ばれた人体(じんたい)実験の被験者(ひけんしゃ)であった。


その全身の骨格(こっかく)には分子(ぶんし)レベルでダイヤモンドを結合(けつごう)され、自分の意思(いし)で全身のどこからでも武器として露出(ろしゅつ)可能(かのう)(皮膚(ひふ)を突き(やぶ)ってダイヤモンドにするなど)。


だが、彼女の能力の本当に(おそ)ろしいところは、たとえ心臓(しんぞう)(つぶ)されようが(あたま)を吹き飛ばされようが、瞬時(しゅんじ)蘇生(そせい)できることに(ほか)ならない。


実験により身体能力も向上(こうじょう)され、人間離れしたスピードと宝石を使って戦うその姿から、科学者たちは彼女に舞う宝石ダンシングダイヤモンドというコードネームを付けのだった。


「わざわざ来てもらって悪いんだけど、今ちょっと(いそ)いでるんだ!」


「あッ、せんぱい。どこへ行くんですか?」


「ごめんねウェディング! この()め合わせは(かなら)ずするからッ!」


ミックスは、ウェディングにそう言うと(ふたた)び駆け出していく。


「せんぱい酷いですよッ! せっかく来てあげたのにーッ!」


残された彼女は、(ほお)を膨らませてミックスの背中(せなか)文句(もんく)をぶつけるのだった。

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