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その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
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16/948

#16

アリアは、自分たちがストリング帝国(ていこく)から来たことや、バイオニクス共和国(きょうわこく)と戦争(せんそう)をするための火種(ひだね)を作るのが目的(もくてき)だということをミックスへと伝(つた)えた。


そのために明日の夜――。


バイオニクス共和国の象徴(しょうちょう)とされる管制塔(かんせいとう)――。


アーティフィシャルタワーを爆発(ばくはつ)することまで話した。


「なんで……」


ミックスは、何故アリアがそんなことを話したのかがわからなかった。


もし自分が共和国(きょうわこく)の治安(ちあん)を維持(いじ)する組織(そしき)――監視員(バックミンスター)へその話を伝えれば、彼女たちの作戦(さくせん)が失敗(しっぱい)することが目に見えているというのに。


ミックスが不可解(ふかかい)な顔をして訊(たず)ねると――。


「あなたに信用(しんよう)してもらうためです」


アリアは冷(つめ)たい眼差(まなざ)しを向けたまま言葉を続けた。


アーティフィシャルタワーを確実(かくじつ)に破壊(はかい)するために、時限(じげん)装置(そうち)などではなく、自分たちの身体(からだ)に爆弾(ばくだん)を巻き付けて行(おこな)う。


小型(こがた)の爆弾(ばくだん)ではあるが、その被害(ひがい)はタワー周辺(しゅうへん)にも及(およ)ぶだろう。


だから、ジャズが自分たちを止めに来たとなれば、彼女まで爆発に巻き込まれてしまう。


――と、アリアはそう言った後に俯(うつむ)いた。


ミックスはそんな彼女に向かって歩き出した。


「そんなジャズが大事(だいじ)なら一緒(いっしょ)に国へ帰りなよ。それで仲直(なかなお)りしてハッピーエンドだ」


「近(ちか)づかないでください。……いや、もしかして私をこの場で取り押さえるつもりなんですか?」


「その通(とお)り!」


そう答(こた)えたミックスは、アリアへと飛びかかった。


今日の彼女があの電磁波(でんじは)を放(はな)つ銃(じゅう)――インストガンを持っていなかったのもあったのだろう。


ならば男である自分のほうが力(ちから)では上のはず。


ミックスは、ここで彼女を捕(つか)まえ、ジャズのところへと連れていこうとしているのだ。


だがアリアは、飛びかかってきたミックスの腕(うで)を掴(つか)んで、そのまま一本(いっぽん)背負(ぜお)い。


彼の勢(いきお)いを利用(りよう)し、固(かた)い地面(じめん)へと叩(たた)きつける。


「素手(すで)ならば勝てるとお思いですか? 残念(ざんねん)ですが。たとえ女とはいえ訓練(くんれん)された軍人(ぐんじん)が、ただの学生に負けるはずがないでしょう?」


アリアに見下(みお)ろされていたミックスは、転(ころ)がって距離(きょり)を取り、立ち上がる。


そして、再(ふたた)びアリアと向かい合った。


「もう一度(いちど)いいます。私のお願(ねが)いを聞いてください」


口を開いたアリアは、またミックスにジャズを止めるように頼(たの)んでいた。


だが、ミックスには彼女の頼みを聞くつもりはない。


今はどうやってアリアを止めるかを考えている。


そして、考えても結局(けっきょく)は向かって行くしかないと思い、彼女の前へと走り出す。


「なにがあなたをそこまでさせるのでしょう?」


それでもミックスの手は、アリアに触(ふ)れることさえできなかった。


先ほどと同じように宙(ちゅう)を舞(ま)い、地面に倒(たお)されてしまう。


彼女の言う通(とお)り基礎(きそ)戦闘(せんとう)能力(のうりょく)に差(さ)があり過(す)ぎるのだ。


ただ重量物(じゅうりょうぶつ)を持ち上げるだけならば、ミックスのほうが腕力(わんりょく)はあるかもしれない。


しかし、アリアにはそれ抜(ぬ)きしても有(あ)り余(あま)る格闘(かくとう)技術(ぎじゅつ)がある。


おそらくそれはアリアの相棒(あいぼう)であるヘルキャット、さらにはジャズにもある能力だろう。


ただの取っ組み合いでは、素人(しろうと)であるミックスに勝ち目はない。


「……もういいでしょう。あなたがわざわざ痛(いた)い思いをする必要(ひつよう)はないのです。ここは私の言うことを聞いてください」


「がッ!?」


アリアは静(しず)かにそう言い、ミックスの胸(むね)を踏(ふ)みつける。


「なんで……」


再び彼女が見下ろす形(かたち)となったが、それでもミックスは立ち上がろうと身体を起こそうとしていた。


「なんで俺(おれ)を殺さないんだ? キミの相方は顔を見られたからって殺そうとしていたのに……」


苦(くる)しそうに訊(たず)ねるミックス。


アリアはそんな彼を見ても、その無表情(むひょうじょう)を崩(くず)すことはなかった。

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