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その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
103/948

#101

アミノが(かた)(ぱし)からテストチルドレンに(くわ)しそうな人間に()(まわ)っていると、ある共通(きょうつう)の話が出てきたそうだ。


それは自然(しぜん)からのエネルギー技術(ぎじゅつ)(よう)いた永久(えいきゅう)発電(はつでん)機関(きかい)を使い、人工(じんこう)生命(せいめい)(つく)ろうとしていた科学者(かがくしゃ)がいるという(うわさ)だった。


そこで、以前に人体(じんたい)実験(じっけん)についての論文(ろんぶん)発表(はっぴょう)した知り合いに(たず)ねてみたところ――。


どうやらその科学者とは、アイスランディック·グレイのことらしい。


「アイスランディック·グレイ? 誰ですかそれ?」


《ミックスくんったら……先生の授業(じゅぎょう)をちゃんと聞いていたんですか?》


アイスランディック·グレイとは、バイオニクス共和国(きょうわこく)の自然エネルギー、再生(さいせい)可能(かのう)エネルギーの権威(けんい)であり、共和国内すべての電力を(まかな)っている太陽光(たいようこう)発電(はつでん)水力(すい)発電、風力(ふうりょく)発電、地熱(ちねつ)発電装置の開発者(かいはつしゃ)である。


ミックスは知らなかったのか(わす)れたのかわからないが、アイスランディックを知らない人間は、この共和国ではほとんどいないほどの人物だ。


「まだこの国に来て日が(あさ)いあたしでも知ってるわよ……」


怪訝(けげん)な顔をしていうジャズに続き、自分も知っているといいたそうに(あき)れて()くニコもいた。


ミックスはそんな周囲(しゅうい)の冷たい視線を感じ、(かわ)いた笑みを()かべて誤魔化(ごまか)そうとしている。


それから話題(わだい)をアミノの話に(もど)し。


アイスランディック·グレイはすでに高齢(こうれい)のために研究現場を退(しりぞ)き、(おもて)舞台(ぶたい)からは姿(すがた)を消していることを聞く。


「それだとアイスランディック·グレイは個人的(こじんてき)に研究を続けていたってこと?」


「ちょっと飛躍(ひやく)しすぎだけど。あのお(じい)さんなら十分(じゅうぶん)あり()そうね」


ジャズに訊かれてエヌエーが(こた)えた。


それからエヌエーがいうにドクターアイスランディックを(ふく)むグレイファミリーは、バイオニクス共和国が建立(けんりつ)されたときに、その発展(はってん)にかなりの貢献(こうけん)をしたそうだが、ファミリーの素性(すじょう)(なぞ)(つつ)まれているらしい。


だが、監視員(バックミンスター)のエヌエー、ブラッドもそうだが。


バイオニクス共和国の前身(ぜんしん)である(はん)帝国(ていこく)組織(そしき)バイオナンバーのメンバーの多くが、(せい)がない天涯(てんがい)孤独(こどく)だった者で構成されていたため(ほぼ全員が創立者(そうりつしゃ)であるバイオの義理(ぎり)の子どもになっている)、あまり問題(もんだい)にはなっていない。


しかし、その中でもグレイファミリーは秘密(ひみつ)主義(しゅぎ)(つらぬ)いているようで、彼らのことを(くわ)しく知る者はほとんどいないようだ。


「あたしも会ったことあるけど、自分の研究以外は興味(きょうみ)ないって感じの人だったなぁ」


「じゃあ、やっぱりアイスランディック·グレイがッ!」


「ちょっと落ち着いてよ。現段階(げんだんかい)ではお爺さんがテストチルドレンの研究を続けているかもしれないってだけなんだから」


ジャズはエヌエーにはそう言われたが、もうアイスランディック·グレイがサービスと(かか)わっていると思い()んでいた。


それは彼女なりに(あたま)の中にあるパズルを組み上げていった結果(けっか)でもあった。


――リーディンがサービスを化け物――人間じゃないといっていたこと。


――アイスランディック·グレイが人工生命の権威だということ。


――そして、購入者(こうにゅうしゃ)しか操作(そうさ)できないはずのドローンを(あやつ)れる権力(けんりょく)を持っていそうなこと。


他にも該当者(がいとうしゃ)はいるかもしれないが、今ある情報(じょうほう)の中では一番(あや)しい人物であることは間違いない。


(なんなによこの国は……。そんな(あぶ)ない奴が権力を持っているなんて、おかしいにもほどがある……)


ジャズは、腕の中で眠っているサービスを見つめながら、誰が何をしようがこの幼女(ようじょ)は自分が守ると決意を固めるのだった。

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