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その手に見えるは機械装甲  作者: コラム
102/948

#100

――リーディンが()った後。


監視員(バックミンスター)副隊長(ふくたいちょう)であるエヌエーによって、ミックスたちは保護(ほご)されることになった。


安全(あんぜん)な場所までの移動中、監視員(バックミンスター)護送車(ごそうしゃ)内では、泣き(つか)れたサービスがジャズの(うで)の中で(ねむ)っている。


「え~と、(よう)するに施設(しせつ)破壊(はかい)した犯人(はんにん)は、その子を(ねら)ってきたってわけね」


ジャズは、車内にいるエヌエーとミックス、ニコに事の顛末(てんまつ)を話した。


(いま)だにナノクローンを使ったほうの相手はわからないが。


トレンチコートの少女――リーディンはサービスを始末(しまつ)するために、このバイオニクス共和国(きょうわこく)に来たということを。


話を聞いたエヌエーは、何故その幼女(ようじょ)が狙われなければいけないのかがわからず(たず)ねたが、その理由(りゆう)はジャズも知らない。


「ただ……リーディンはサービスのことを化け物っていっていました。あなたはそいつの正体(しょうたい)を知らないからとかそんなことも……」


「ともかく調(しら)べてみる必要(ひつよう)がありそうね。大丈夫、安心して。少なくともあたしの家にいれば、まず(おそ)われることはないから」


エヌエーは、ドンと自分の(むね)(たた)くと、ジャズたちを(なご)ませようとおどけて見せた。


自分の家は監視員(バックミンスター)の住む場所。


しかも旦那(だんな)である隊長と自分――副隊長が二人で住んでいる家であり、わざわざそんなところを襲うなんて(つか)まえてくれといっているようなものだと、コミカルにいう。


「エヌエーさんの旦那さんって、監視員(バックミンスター)の隊長なんですか?」


「うん、彼は小さい(ころ)からずっと一緒(いっしょ)でね。共和国ができる前からの付き合いなの」


ジャズに()かれたエヌエーは、表情(ひょうじょう)(とろ)けさせると、旦那であるブラッドのことを話し出した。


(むかし)から(あら)っぽく、いつも言葉が()りない人だが、()(やさ)しいところ。


どんなに凶悪(きょうあく)犯罪者(はんざいしゃ)でも、相手が未成年(みせいねん)なら銃器(じゅうき)刃物(はもの)を使用しないところ。


そして、何よりも自分や友人、家族を愛しているところ。


など、訊いてもいないことをベラベラと(かた)(はじ)めた。


「今日だってね。あたしが出かける前に、(あぶ)ないマネは(おれ)がいるときだけにしろよ、っていってくれたの! キャ~あたしったらいっちゃった! ()ずかしいッ!」


「あぁ……これが世にいう惚気(のろけ)というやつか……」


(あき)れるジャズの横でミックスは、旦那との惚気話を続けるエヌエーを見て、大人なのに可愛(かわい)らしい人だと思っていた。


エヌエーの振る舞いに、国外(こくがい)にいる姉を(かさ)ねたのか。


ミックスは(うれ)しそうな顔で彼女のことを見ていた。


そんな彼の横顔を見たニコは、やはりこいつは年上のお姉さんタイプが好きなのだなと、大きくため(いき)をつく。


しかし、惚気たエヌエーのおかげか。


車内ではゆるい空気が(なが)れていた。


ジャズも散々(さんざん)呆れたせいか、すっかり落ち着きを取り(もど)している。


そのとき、ミックスのエレクトロフォンに連絡(れんらく)が入った。


相手は彼の担任(たんにん)教師(きょうし)であるアミノだ。


「はい、アミノ先生ですか?」


「えぇッアミノ先生って……まさか君ッ!? アミノの生徒(せいと)さんなのッ!? 」


アミノの名を聞いたエヌエーは、大袈裟(おおげさ)()け反りながら(はげ)しく(おどろ)く。


どうやらアミノが前に言っていた監視員(バックミンスター)の友人とは、エヌエーのことだったようだ。


エレクトロフォンの向こう側――アミノのほうもエヌエーがミックスたちといることに仰天(ぎょうてん)している。


《いやー世間(せけん)(せま)いですね。先生もビックリです》


「それで先生……。一体なんのために連絡してきたんですか?」


《そうそう、そうなんですよミックスくん。(じつ)はサービスちゃんのこと、ちょっとわかってきましたよ》

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