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魔王の娘、今は奴隷  作者:
第二章:『八人めの七英雄』クライズ
25/31

設定資料②

 本作の(第二章終了時点で公開できる範囲の)各種設定。

 読まなくても大丈夫ではありますが、こういうのがお好きな方はどうぞ。




◎国家について

 大陸中央に最大領土を誇る『ミドガルズ王国』があり、その周辺に幾つかの小国家が点在している。

 小国家群の中にはひとつの街と言っていいほど小さな規模のものもあるが、すべて独立は保たれておりミドガルズを盟主国として他国との関係もおしなべて良好。

 これは三年前まで魔族により大陸中が荒らされていたせいで、少なくとも現在はあらゆる国が復興に全力を注いでおり他国と戦争などしている場合ではない、という面が大きい。




◎種族について

 現時点で登場人物として出てきている種族のみを解説。



只人(ただひと)

 すべての種族の始祖(アーキタイプ)と言われる。

 特徴がないのが特徴。平均寿命100歳前後。全種族の中で最も数が多く、繁栄している。


 ミドガルズ王国は只人族が王族を務める国家で、貴族のほとんども只人族で構成されている。

 とはいえ他種族が差別されているわけではなく、政策上も只人族とそれ以外とで扱いが変わることはない。只人族以外の貴族が少ないのは、単に他種族の特権階級が独立して小国家を治めているため(彼らはミドガルズ王国の貴族になること、ミドガルズ王国の中枢に食い込むことにさして興味を示さない)。


 自然現象を再現する魔術を得手としており、外界魔力(マナ)を取り込む力にも比較的長けている。



・魔族

 頭部に生えた一対二本の角と、背中にある魔力放出器官(魔力翼根(よくこん)と呼ばれる)が特徴の種族。平均寿命は只人族と同様に100年ほどだが排卵周期が2ヶ月、また妊娠期間が20ヶ月と長く、寿命に比して数が少ない。

 また黒髪、白い肌、整った容姿の者が多く、それらすべてを兼ね備えた美貌を指して『魔族のような』と形容する修辞がかつて大陸にはあった——ただし今となっては廃れてしまっている。


 体内魔力(オド)の含有量と外界魔力(マナ)を取り込める許容量において人間種の中で最も優れており、それらを角で制御し背中から放出することで純粋な破壊エネルギーとして利用できる。反面、複雑な術式を要する魔術は不得手。


 元来、優しさと激しさを併せ持つ気質で「怒らせれば手が付けられないが怒らせなければどの種族よりもいい隣人」と評されてきた。現在は人間種としては扱われておらず、大陸のどの国家にあっても最下級奴隷として以外の生存は許されず、手配対象となっている。



妖精族(エルフ)

 長く尖った耳と不老が特徴の種族。また只人族に比べると痩躯の者が多い。要するにモデル体型。

 平均寿命200年、排卵周期3ヶ月、妊娠期間はおよそ2年。


 生まれてからおよそ30年ほどをかけて成熟していき、その成熟期を終えると(だいたい只人族でいう20代中盤くらいの見た目になると)それ以降は外見上の変化がなくなる。

 繁殖能力は低いものの個々の生命力の高さから繁栄という意味では安定しており、只人族の次に人口の多い種族となっている。


 治癒、毒物、結界などの『生体や環境の状態に干渉する』系統の魔術を得手としており、魔力の緻密な操作という面では人間種の中でも随一。そのため怪我や疾病に強く、これが繁殖力の低さを補っている。



夜妖精族(ダークエルフ)

 エルフと同じ源流を持ち遥か太古に枝分かれした亜種と言われている。

 彼らと同じなのは、長く尖った耳、不老長寿であること、繁殖力の低さなど。

 異なっているのは肌が浅黒いこと、肉体的に頑強なこと(筋肉や脂肪がつきやすい)、それから得意魔術。


 彼らは自分の肉体や五感を強化する魔術を得手としており、反面、治癒魔術が苦手である。エルフをヒーラー適性の高い種族とするなら、ダークエルフは狩人/ハンター適性の高い種族といえる。

 この適性差のせいで、魔族が支配する時代においてダークエルフは大きく数を減らしてしまい、森の奥に隠れ里を作って引きこもることになった。現在、彼らを人間社会で見かけることは滅多にない。


 ちなみにエルフの亜種と言われているが、文化的/種族的にはもはや完全に別種である。エルフとダークエルフの間で交配しても子はできない。



侏儒族(ドワーフ)

 低身長、かつ筋肉質の体躯が特徴の種族。

(成人男性でいうと平均身長がおよそ130〜140cm前後、平均体重は80kg程度。只人族よりも筋肉密度と骨密度が高く、膂力はむしろドワーフの方が優っているほど)


 平均寿命は150年ほどで繁殖能力は魔族に近い。また男性は総じて毛深く、女性は顔立ちがあどけない者が多い。有り体に言うと男はだいたいおっさんで女はだいたい合法ロリ。


 金属、鉱物、宝石などの無機物に干渉する魔術を得手としており、彫金や冶金の技術は人間種の中でも随一。職人気質で一本気な性格をしており、一方で照れ屋。


 他種族のことが嫌いというわけではないが、多種族社会においても強く我を通す頑固な気性のせいでやや浮きやすく、それを厭ってか大半がミドガルズ王国の西方にあるドワーフの国家に暮らしている。

 とはいえ王国内においては珍しいというほどでもなく、鍛冶屋を営む者や冒険者として活動する者も多く、それなりに見かける種族である。

 


霊族(ニンフ)

 人間種の中でも極端に異質、かつ珍しい種族。

 寿命と性別が存在せず、更に不老。「最も神に近しい種族」と呼ばれ、かつて太古の時代には実際に現人神として扱われていたこともあった。


 単為生殖であり、2〜300年に一度の周期で、かつその周期中に「気が向いた」時にのみ子を『発生させる』。

 プロセスは妊娠出産ではなく分裂に近いらしいが、これを他種族に見られるのはニンフ最大の禁忌とされており、詳細を知る者はほとんどいない。

 また寿命がないためその気になれば永遠を生きることが可能だが、そのような長寿のニンフは未だ確認されていない。これはほとんどのニンフが長くても1000年ほどで生に飽きて自殺してしまうから。


 魔術においては本来「器用貧乏」で、どんなジャンルも得意だが各ジャンルの適性自体は他種族に劣る……といったもの。ただし無限の寿命による果てのない探究と積み重なる叡智により、長く生きれば生きるほど「器用貧乏」が「オールラウンダー」になっていく。

 総じて400年以上生きたニンフは己の中で魔術の知識と技術を堆積、体系化して独自のものへと昇華しているため、本人以外にはまったく理解不能なすごいことをほいほいとやってのける。


 特に特定魔術のプロセスを回路化して物質に固定、魔力を流すだけで誰にでも再現できるようにした道具——『魔道具』の作成が得意で、世にある神話級遺物(アーティファクト)と呼ばれるとんでもないアイテムはだいたいニンフの手によるもの。


 元々が極端に数の少ない種族であったのだが、魔族支配の時代においてその圧倒的な叡智を魔王から警戒され、積極的に狩られた結果ほぼ絶滅し、今では『賢者』ヴ・トが最後の生き残りとされている。ちなみにそのヴ・トがいつ生殖期に入るのかは誰も知らず、入ったとしても「気が向く」かどうかはわからない。




◎異種族間恋愛について

 寿命の違いや子供ができないことから一般的ではなく、また法的に婚姻も認められていないが、社会的に忌避されているというほどでもない。「禁じられた恋」みたいな扱いでロマンティックなことと考える者も多い。

 とはいえ、寿命や老い、また肉体的特徴の差異などの壁は高く、恋愛関係になっても若い頃の一時期のみ、という場合がほとんど。

 もちろんその壁を超えて一生を添い遂げた者たちもいる。


 例外として、エルフとダークエルフとの間の恋愛関係はどちらの種族においても強い社会的禁忌とされており、近親相姦に対するそれに近い嫌悪感を抱かれる。

 これは「種族的にも寿命の面でも婚姻関係を結びやすいが一方で子供はできない」という特徴によるもので、エルフとダークエルフとの婚姻を認めてしまうといずれ種の存続が危ぶまれるようになるからであると思われる。


 とはいえ、彼らがそれを恐れて文化的な交流も避けているかと言われるとそうでもなく、狩りが苦手なエルフと治癒の苦手なダークエルフが互いを補い合いながらひとつの集落で暮らしている例もあり、「つれあいとしては不適切だが隣人としては付き合いやすい」といった感覚のようだ。

【第三章予告】

賢者ヴ・トの依頼により『帰らざる聖騎士』ジュリエの『墓参り』へ赴くことになったクライズ。

同行するのはエメ、そしてルルゥ——かつてテレサ村で一緒に暮らした三人の旅路は、懐かしい郷愁と悲しい過去への哀愁を伴う。


辿り着いた『ジュリエの墓』は、エメにとって意外な場所にあった。

そしてそこにはひと組の男女が、墓守として暮らしていた。


魔族の男性と只人族の女性——仲睦まじく連れ合う彼らは、クライズたちになにをもたらすのか。

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お手数ですが本作に関して、こちらの活動報告をお読みいただけたらと思います。
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