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契約後

王太子がサクッと婚約破棄騒動を片付けます。その後、主人公と王太子の話に移ります。

さて。ここは学院長室。学院長は卒業パーティーに出席されているので、私達3人と10人から居る王太子殿下の護衛のうち2人の5人のみ。そのうち王太子殿下が来るとは思うけれど、挨拶はしないと、ね。頬を膨らませてこっちを睨むマーディラ様。黙っているだけ、ありがたいかなぁ。


そうこうしているうちに、王太子殿下が入室された。で。無駄な時間を費やしたくないらしいので、さっさと本題に入る。


「君達の婚約破棄は了承しよう。各家には王家から通達しておく。その他の事は後々通達する。以上」


ほんっとうにアッサリと終わった。まぁマーディラ様もアレイド様も婚約破棄したかったわけだし、文句無いだろうな。それに王太子殿下が居るのに、さすがにマーディラ様もアレコレ言えないでしょうよ。悔しそうな表情で私を睨むマーディラ様が先ず退室して、それからアレイド様が退室する。……はずだったんだけど。


「ミネルヴァ嬢。今回は、本当にありがとう。助かった。お礼は」


なんだか話しかけて来たよ、この人。


「いいよ、別に。仕事だもん。報酬金はきちんともらえる? 借りたドレス、買い取りした方がいい?」


もう仕事終わりだから、砕けた口調でいいよね。というより……お礼って報酬金貰うだけで充分ですけど。


「報酬金はきちんと支払うが、そのドレスも不要だから捨てても良い」


「じゃあ、貰っとく。ありがとう。じゃあね、アレイド様。楽しかったよ」


私はヒラヒラと手を振って、アレイド様との別れを済ませる。ドレスをもらって良いなら貰おう。洗えばまた着れるかな。いや、着る機会は無いな。それよりアレンジでもしてみようか。


アレイド様は、更に何か言いたそうだったけれど、王太子殿下をチラリと見て、深呼吸をして学院長室を退室した。残されたのは、王太子殿下と私と護衛のみ。


「下がれ」


王太子殿下が護衛に言う。1人だけ、殿下の側近だけ残して、後は退室する。それから王太子殿下は私を見た。


「ミネルヴァ、お疲れ様」


「良いよ、気にしてない。他ならぬゼシールの頼みだもん」


王太子殿下の名前を呼び捨てにしても、私は側近から不敬だ、と言われない。こんな話し方でも全然。


「そうか。いつも済まないな」


「んー?」


「俺と父上と母上の依頼をミネルヴァは断らないからな」


「ああ、楽しいから気にしてない」


「……元の姿に戻らないのか?」


「ここはまだ学院内だからねぇ。誰が見てるか分からないでしょ」


私はニヘラと笑う。ミネルヴァの名前を与えてくれた目の前の人は、そうだな。と少しだけ寂しそうに笑った。……やれやれ。どうしてそんな表情をするのやら。まるで甘えたい年頃の子どもだ。今年、18歳だったよね、ゼシールって。


でも、表情は18歳の青年では無いなぁ。出会った頃のような表情をしている。まるで迷子のような。あれから4年。私達はもう子どもじゃあ許されない年齢になってきている。


実際、ゼシールは今日の学院卒業により、王太子として国に心を傾けていく。婚約者さんと一緒に。


「婚約者さん元気?」


「お互いを尊重しあっている」


「上手くいってるね。何より」


ニヘラと笑う私を、ゼシールは困ったように笑った。立ち上がって帰ろうとする私の手をゼシールが握ってくる。その表情は、泣きそうだ。やれやれ。私が握り返してやれば、ビックリした表情の後、ゼシールは嬉しそうに笑った。


「いいか?」


「婚約者さんにバレないようにね」


「分かった」


ゼシールが私を軽く抱きしめる。護衛で側近のニルが、ソッポを向いて見ないフリだ。ふむ。ニルがこんな態度、という事は、ゼシールは相当ストレスを溜め込んでいるらしい。ゼシールはストレス抱えると反動で子どもっぽい言動を取るからなぁ。少しだけゼシールの背に両手を回せば、ゼシールがやがて大きな息を吐き出した。それから私を見て頷いた。


「仕方ないねぇ。私、この後は?」


「1ヶ月くらいは何も無い、と思う」


「そう。じゃあお墓参りに行ってるから」


「うん」


お墓参りは1ヶ月もかからない。少しだけゼシールの相手をして、お墓参りだな。そう考えながら、人影の無いところまで行った私は、姿を変える。本当は学院を出るまでは変えたくなかったんだけどなぁ。満足そうに頷いたゼシールを見てから、私は護衛に紛れ込んだ。

次話も主人公ミネルヴァ視点です。あくまでもハッピーエンドでは有りません。思い付いただけの話を書き殴ってます。

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