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もしも勇者が100人のパーティだったら

作者: ハロー

タイトルは『もしも世界が100人の村だったら』のパロディです。


挿絵(By みてみん)




 数は力だ。それは誰にだって分かること。

 だから西の国の愚かな国王は旅立つ勇者に言った、「そなたに99人の仲間を付けてやろう」と──







「あ、女戦士さん、そこはカジノですよ! 入るなら先にカジノ入場申請書を提出して下さい!」


 汗をかきながら手元の一覧表から顔を上げて叫んだ勇者に、くるりと振り返った巻き毛のバニーガール姿の女性がふにゃっと笑いかける。


「やーん、勇者クンったら。あたしは女遊び人よー?」


「女戦士はあたしだよ!」


 露店で骨付き肉を買ったばかりの女戦士が、噛みつかんばかりの勢いで勇者に叫ぶ。


「あ、すみません。露出度の高い巻き毛の女性ってくくりで把握してるもので……」


「大雑把すぎんだろ! もうすぐ旅の終わりだっつうのに、仲間を見間違えてんじゃねえよッ!」


 女戦士の言うとおり、この村からは黒雲渦巻く魔王の城が見えている。勇者一行の長かった旅の、最後の村だ。


「まあそう言わず。何せ100人の大所帯ですから、リーダーの苦労も理解してあげましょうよ」


 糸目の男賢者が、慰めるようにぽんと勇者の肩を叩いた。


 そう、魔王を倒すべく旅立ったあの日から、勇者は99人の仲間のために団体旅行のツアーコンダクター以上の統率力を常に求められてきたのだ。仲間がはぐれないよう、背中には〇の中に勇の字を描いた滑稽な旗竿さえ刺している。村人からの視線が痛かった。


 その苦労は並みではなく、旅立ちの日から今日に至るまで勇者はずいぶん痩せた。

 父の形見の神秘の腕輪が緩くなってしまい、装備不可になったので仕方なく道具袋に入れているくらいだ。だが重要アイテムである伝説の兜もサイズが合わずブカブカなので、大したことではない。


「てか、ずーっと思ってたんだけどさあ。女遊び人とか男遊び人とかって呼ぶと、なんかべつの意味に聞こえちゃうよねえ」


 ピエロ姿の男遊び人が、硬貨の入った革袋をお手玉代わりに投げて遊びながら、のん気に話に割り込んできた。


「おんなあそび、にん? やーん、ほんとだあ! あたしったら、女遊びするワルい男みたい!」


 けらけらと女遊び人が笑い出した。


「だからさ、ボクたちだけは、職業の名前の前に性別をつけないでほしいなあ」


「今かよ! こんだけ長く旅してて今それ言うのかよ!」


 最後の村での遅すぎる訂正要求に、女戦士が吐き捨てるように突っ込む。


「ではこれからは遊び人男さん、遊び人女さんとお呼びしましょう」


「あんま変わってねーな」


 勇者の訂正案に、男盗賊が上機嫌な様子で軽く口を挟む。


「あれー、ニコニコだあ。男盗賊クンの機嫌がいいなんて、めずらしいねー?」


 女遊び人が垂れ目を見開く。

 その台詞でピンと来た勇者はバッと男盗賊の手を掴もうとしたが、すばやさは盗賊には敵わずひらりと身をかわされる。


「おっと! 捕まらねーぜ」


「くっ」


「オレが今までに何個、すばやさのたねを食ったと思う?」


 勝ち誇る男盗賊に、勇者はギリギリと奥歯を噛み締める。


「男盗賊さん、さてはまた通行人から財布を盗みましたね!?」


「へへっ、どうだろうなァ」


 それを聞いて面長な顔の男僧侶も青ざめる。


「冗談は止めて下さいよ、ここは最後の村ですよ!? 村人だってそれなりに強いんですから、敵に回したら大変です!」


「身体検査をしましょう。無実だと言うなら、みんなの前で窃盗の疑念を晴らして下さい」


 両手の指を軽く曲げ、胸元で構えながらじりじりと男盗賊に近づきつつ勇者は言った。


「やなこった!」


 べえっと男盗賊は舌を出して、さっと飛びすさって勇者との距離を開ける。


「あなたの奢りで食事をしたせいで窃盗の連帯責任を取らされて、100人全員が牢屋に入れられたことをもう忘れたのですか!?」


 男僧侶が眉間に皺を寄せる。そう、大所帯の困るところは村人から見ると100人全員が『勇者パーティ』として一括りにされてしまうところだ。


「攻撃を反射する重要アイテムの竜の鏡だって、ぼくと竜の里の戦士の一騎打ちが終わる前に盗んじゃったし……あやうく怒り狂った竜の炎で、全員焼き殺されるところだったじゃないですか!」


 命は助かったが回復しても焦げた髪は戻らず、しばらくほぼ全員がスチールウールのようなチリチリの頭で過ごしたのだ。


 その時期に訪れた村々では『チリ毛の勇者様』と呼ばれている。あんな惨めな思いは二度とごめんだと、勇者は叫ぶ。


「うるせェぞ。オレのおかげで助かった時だってあったろ?」


「そ、それは……」


 序盤の金欠時代には、確かに盗賊2人の法的にリスキーなスキルによって助かった部分は大きい。

 何せ国王からの支度金は勇者1人分の額だったので、100人の分の食糧やら宿代やら装備代金やらを捻出するのは大変だったのだ。


「宝箱から村長の20000Gを盗んだ村に今から戻って、オレのしたこと全部ブチ撒けてもいいんだぜェ?」


 男盗賊は悪党の顔で脅しを掛ける。


「うう……それは勘弁して下さい、すみませんでした……!」


「ヘッ」


 勇者は男盗賊に屈した。この通り仲間の中には役には立つが性格に難のある者も少なくなく、遊び人のように役に立たないし性格にも難のある者さえいる。


 正直なところ、勇者としては断固たるリストラを実行してせめて一桁まで仲間の人数を厳選したかった。

 だが国王の命令で旅に同行している仲間なので、自分の一存で首を切ることはできなかったのだ。


「とっ、とにかく! 新しい村に着いたので、点呼を取りますよ。いいですか皆さーん、点呼ですよー!」


 勇者はパンッと両手を打ち鳴らした。幸い、村人は誰もまだ男盗賊の窃盗に気づいていない。思考を切り替えた勇者は、口の横に片手を当てて大声で四方に叫ぶ。


 周囲の村人が奇怪なものを見る目でじろじろと勇者を見た。

 旅立ち序盤なら真っ赤になって俯いていたところだが、最後の村に到達した今ではそんな初々しさはない。この旅を続ける中で、勇者の勇は勇気の勇、何度そう自分に言い聞かせて心を慰めただろうか。それも後少しの辛抱だと思うと、腹の底から力が湧いてきた。


「じゃあ行きますよ、いーち!」


 1番は当然、勇者だ。旅立ちからこのかた、大声の経験値が積み上がりすぎて逆に声が枯れそうだ。


「にー」


 無愛想な巨漢の男戦士が野太い声で手を上げる。勇者は慣れた手つきで名簿にチェックを入れた。


「さん」


 半眼でむしゃりと肉に齧りつきながら、女戦士が剣を高く上げて返事をする。


「よん」


 片眼鏡のクールな男魔法使いが、手の代わりに杖を軽く掲げた。


「ごーです!」


 男魔法使いの背後から、まだ幼い女魔法使いがぴょこんと飛び出した。2人は兄妹なのだ。


「6番、ちゃんと居ますよ」


 にこりと笑って男僧侶が小さく手を挙げる。その後も、次々に仲間達が自分の番号を叫んでいく。


「きゅう・じゅ・きゅううぅ~♪」


 歌うような音程で、ふわふわと宙に浮かぶ丸っこいスライムが言った。触手のような手足が何本も生えている。間抜け顔で可愛らしいが、れっきとした魔物だ。


「ガーウッ!」


 ひゃーく!と言ったつもりらしい、ヒョウにもライオンにも似たネコ科の魔物が元気に鳴いた。勇者は頷いて最後のチェック欄にペンを走らせた。


 国王は人間だけで100人の仲間を揃えられなかったため、最後の方は魔物使いの魔物という体で魔物も混じっている。

 しかもこの魔物たちの中には、魔物使いの言うことしか聞かない偏屈な忠義者もいるから厄介だ。


「さて、この後どうするか多数決で決めまーす。疲れたから宿に直行したい人ー?」


 男僧侶や男魔法使いたちが手を挙げる。勇者は野鳥の会会員さながらの慣れた手つきで、人数を指差し数える。


「次、先に装備を揃えてから宿に行きたい人ー?」


 2人の戦士や女魔法使いたちが手を挙げる。勇者がまた数を確認する。


「50対49ですね。ぼくは宿直行に1票なので、51対49で先に宿に行きまーす」


 本当は武器を先に見たかった勇者だが、50対50になると面倒臭いことになるので意志を曲げたのだ。先に武器防具を見たかった派の仲間からブーイングが上がる。


「文句言ってもダメですよー、多数決の結果は遵守、これは鉄の掟ですからねー」


 旅の初めの頃は自由行動の時間を多く設けていたのでこんな時は別行動していたが、トラブルが起きまくるわ勝手に実家に帰って連絡は取れなくなるわ点呼を取ったらなぜか102人いるわで数々の大混乱があったため、今では別行動は滅多にしない。


「ハイそこ、村人と入れ替わろうとしない!」


 女商人が上着を脱いで自分と背格好の似た村人に着せようとしているのを、勇者は目ざとく見つけて咎めた。入れ替わって村人を宿に行かせ、自分は村の店を見て回りたかったのだろう。


「テヘッ、ばれたか」


 女商人は後頭部に手を当ててペロリと舌を出して笑い、村人から衣類を受け取った。村人も残念そうに入れ替りの代金の銀貨を女商人に返した。


 こういうとんでもない発想をする仲間がたくさんいるのだ。勇者はため息をついた。宝箱が視界に入っている状況下や、新しい村に着いてすぐの商人からは目が離せない。


「男賢者さん、宿の住所は?」


 村に着いてすぐに買った地図を広げて、男賢者が宿を指差す。


「あそこの突き当たりを右に曲がって、次の十字路を左に曲がったところですね」


「皆さーん、宿に行きますよー。武器屋の前を通りますが、欲しいものがあっても今は買わないで下さいねー」


 ぞろぞろと勇者パーティが移動を始める。小さな村では村の人口より自分達の方が多いことはよくあった。


 宿が見えてくると、背後の仲間達は自分達の今日の運勢の話題で盛り上がり始める。いつものことだ。

 宿に着くと、勇者は背中の荷物を直して宿屋の女将へ精一杯愛想よく話し掛けた。


「こんにちは。一晩泊めて頂けますか?」


「あら、いらっしゃい。1人かい?」


 女将の口調は温かく親しげで、アットホームな宿のようだ。


「大人が91人、子どもが3人、魔物が5匹、何とも分類しづらいのが1体です」


 すらすらと勇者が答える。


「ええっ? 何の冗談だい」


 女将は戸惑い、それから窓を見て宿に面した道路を見た。そこにはずらりと勇者の仲間達が並んでいる。


「あれを全員……!? う、うちはそんなに空き部屋はないよ。ひと部屋に定員より多く押し込んだって、20人がせいぜいさ」


 女将は目を白黒させて答えた。最後の村は辺境にあるので、旅人もあまり寄りつかないのだろう。無理もない話だ。


「では20人、お願いします」


 そう言い残して勇者は宿の外へ出ようとする。


「どこへ行くんだい」


「恒例の運試しです」


 勇者はにこりと笑って扉を開けた。


「せーの、宿決めじゃんけんジャンケンぽんッッッッ!!!!」


 切羽詰まった緊張感のある大声が路地に響いた。







 やがて夜が明けた。運命の女神に愛されし20人は『チャラララチャッチャッチャー♪』という祝福のラッパを聞くことができて、HPMP全回復の爽やかな朝を迎えた。


 かたや、宿からあぶれた80人は。

 幸い、交渉の上手い者や人好きのする者、村人の歓心を買う一芸に秀でた者は村人の好意で民家に泊まることができた。また、酒好きの者は酒場で酔い潰れ、遊び好きの者はカジノで朝を迎えた。


 そして、そのどれでもない者は。

 民家の温かな明かりを尻目に、家から漏れる村人達の談笑の声を聞きながら村の広場で野営をするという悲しい一夜を過ごした。

 もちろんHPもMPもあまり回復していない。何なら少し減っている者さえいる。


「うん、100人全員揃いましたね。村でやり残したことはありませんかー?」


 「私、薬草もうちょっと買い足したいかも」「もう一晩泊まろうよ、今度は宿でぐっすり寝かせて~」「魔王に殺される前に結婚したかったな……」「ウガウガ」など、冗談か本気か分からない発言が飛び交う。


「ハイ、何もないですねー」


 全ての発言を無視して、勇者はツヤツヤの頬を綻ばせて言った。じゃんけんは負けたのだが最後の戦いの前夜ということで、他の仲間から勇者は宿で回復させるべきという意見が出て特別に宿に泊まったのだ。


 一度は宿決めじゃんけんに勝ったものの、誰が勇者と交代するかのじゃんけんには負けて野営することになった男武闘家は、腕組みをして鬼の形相で勇者を睨んでいる。

 仲間が100人もいると、誰もが勇者と友情を築けている訳ではないのだ。


「魔王の城は毒の沼で囲まれていまーす。近くなってきたら、ちょっと浮く呪文を掛けてもらうのを忘れないで下さいねー」


 子ども達がハーイと素直に返事をし、ふざけた男遊び人達も太い声で同じようにハーイと返事をする。


「それでは、いよいよ魔王の城に出発でーす!」


 最後の村の村人達は、勇者一行の出陣を見送ってくれた。


「勇者様、絶対に魔王を倒して下さいね!」


「もう魔物におびえて暮らすのはごめんです、どうか平和な世の中にしてくだせえ」


「がんばれー、ゆうしゃさまー!」


 村人達は目を輝かせ、先頭の勇者達を温かい声援と拍手で見送った。


「男賢者様、ステキ~!」


「おお、あれが魔物使いか。すげーな」


「女戦士さーん、魔王を倒せたらツケの代金はチャラでいいですからね~」


 さながら数々の職業の品評会のようで、勇者の背中が見えなくなった後もしばらくは村人ははしゃいでいた。だが何せ100人の大行列なので、やがて飽きが来る。


「何だアイツ、恥ずかしいくらいド派手な服だなあ」


「ありゃスーパースターだよ」


「何それ、職業なん?」


「おい、めちゃくちゃ普通の格好の奴いるぞ」


「え、商人? 俺と職業同じじゃん。魔王倒せんのか?」


「あーもう、何の職業の人かわかんないけどガンバレ~」


 行列の最後の方になると拍手もまばらで、子ども達などは遊び出したり家に帰ろうとして親に叱られる始末だ。ほとんどの村人が、とっとと行けよという表情になってしまっていた。







「ここが玉座の間か……。皆さん、いよいよ魔王とのバトルですよー! 各自準備は済みましたねー?」


 勇者、男賢者、女僧侶、それに唯一の機械の仲間である殺戮マシーンが全員の状態をチェックをして歩く。


「結構HP減ってるじゃないですか。薬草を使って下さい」


「最近薬草市場が値上がりしてるもんですから、勿体ないと思っちまいまして」


 中年の男商人がペロリと舌を出して後頭部に手を当てる。その仕草を可愛いと思わせるには性別にも年齢にも難がありすぎた。


「最終戦なんですから、薬草くらいケチらなくていいですよ」


「ちょっ、男スーパースターさん、毒状態で瀕死じゃないですか!」


 男スーパースターの状態を見た女僧侶が悲鳴を上げる。


「ああ、とうとう僕のミスがバレてしまったか……。いや、とうとう哀れなこの僕の失態が白日の下に晒されてしまったか……」


 男スーパースターは大袈裟に天を仰いで、額を手で覆った。HP11なので足元がふらついている。


「かっこいい言い方に言い直さなくていいですよ。ほんとにもう、手間がかかるんだから……『慈悲深き女神の御手に代わり、我が右手に神性は宿る。穢れを取り除け』」


 女僧侶は呪文を唱え、男スーパースターの手を取り右手をかざした。この世界の魔法は言霊の力が大きいので、呪文を唱えなければ魔法は使えない。女僧侶の右手が光り、解毒の効果が現れ出す。


「どうりで私まで視界がオレンジ色に霞んでると思いましたよ。どうしてもっと早く声を掛けてくれなかったんです?」


 男スーパースターは赤い薔薇を差し出して、白い歯を見せてニカッと笑った。


「それはもちろん、ちょっと浮く呪文を掛けてもらうのを忘れて毒の沼に入ったことを叱られたくないからさ!」


「何ですかそれは。まったくもう、子どもじゃないんですからね。……『慈悲深き女神の御手に代わり、我が右手に神性は宿る。傷を癒せ』」


 女僧侶がさらに回復の呪文を掛けると、オレンジ色に霞んでいた全員の視界がクリアになった。


『ギギギ……ピー……ガガガガ……』


 その一方では、殺戮マシーンが手に持った剣を男武闘家の頭から爪先までゆっくりとかざしている。状態をスキャンしているのだ。


「うう、切られちまいそうだな……」


 剣にスキャン機能が付いているので仕方ないのだが、味方とは言え殺戮マシーンによって剣を体に向けられるのは恐怖でしかない。ましてや武闘家は男女どちらも防御力が低い。


『ピピーッ! ビーッ、ビーッ、エラー発生、エラー発生!』


 いきなり殺戮マシーンの単眼が緑から赤に変わり、けたたましい警告音が鳴り響いた。驚いた男武闘家は後ろへ飛びのく。


「うおっ! 何だあ!?」


「シーッ、魔王に聞こえちゃうよ!」


 男僧侶が慌てて背中の背中のアナログなダイヤルを回して、殺戮マシーンの音量を下げる。


『状! 態! ニ! 異! 常! ガ!』


「使えない奴だな、回す向きが逆だ」


 男魔法使いが舌打ちをして男僧侶を押しのけ、殺戮マシーンのダイヤルを逆に回す。


『ア! リ、マス……、……、…………』


「ボリューム下げすぎだ。聞こえねーだろ」


 男盗賊が男賢者を小突き、音量を少し上げる。


『……、……ァリマス、No.008Mブトーカ、状態ニ不備ガアリマス!』


 興奮した殺戮マシーンが剣を大きく上下させて危ないので、男賢者は女魔物使いを呼んで鎮めさせた。


「どうして殺戮マシーンの好きにさせたんです?」


 男賢者が勇者に尋ねる。殺戮マシーンは3歳児ばりに何でも自分でやろうとするのだが、殺戮マシーンという性能上、日常生活では失敗が多いのだ。


「この間殺戮マシーンが民家でタンスを調べたがった時に、次何かしたい時は好きにさせてあげるから今は我慢だよって言っちゃったんですよ」


「ああ……。殺戮マシーンはタンスごと真っ二つにしちゃうからねえ」


 家主に叱られるのはもちろんのこと、中身の大切なアイテムも真っ二つになってしまうのだ。中身でこれまで無事だったのは身かわしの服だけだ。


「俺のどこに不備があるってんだよ」


 武闘家が不服そうに言う。確かにステータス異常はないし、視界も白くクリアでHPはみちみち音がしそうなほど満タンだ。


『回復ノ道具ガ足リマセン』


「何だよ、薬草は5個も持ってるぞ?」


『MPヲ回復スル、魔法ノ聖水ヲ1ツモ持ッテイマセン』


「要らねえよそんなもん」


 男武闘家はイライラしながら頬を掻いた。


『ボス戦前ノ必須あいてむデス。不携帯ハ不備ニナリマス』


「あーもう、しつこいな。俺は元々MPがゼロなんだよッ!」


 やけくそになった男武闘家が叫ぶ。不思議な木の実でMP999になっている女賢者が、生暖かい目で男武闘家を見守っている。


『ましーんデハナク人間ナノニ、MPガ0? 理解不能、理解不能』


 この言葉には、男武闘家と同じく元々MP0の仲間が一斉に下を向いてしまった。男戦士の腰をポンと女魔法使いが叩いて慰める。


「ええーっと、魔物使いさん達。あとで殺戮マシーンのボス戦前の準備のプログラムを、書き換えておいて下さい」


 勇者が殺戮マシーンをそっと男武闘家から引き離しながら言った。


「魔王はラスボスだぜ。これが最後の一戦なんだから、書き換えなんて要らねーだろ」


 男盗賊が容赦なく突っ込んだ。


「うっ……ま、まあそれは置いておいて! 準備が整ったら、いよいよですよー」


 パンと手を打って、勇者が仕切り直す。


「罠もあるかもしれませんし、魔王を休ませない波状攻撃を仕掛けるためにも、まず先頭のぼく達4人がバトルしまーす。危なくなったら扉の外にアウト、次の人がインします。回復呪文が使える人は扉の外で待機して、怪我をした人の治療に当たって下さい。ここまでOKですかー?」


 身振り手振りでてきぱき伝えると、了解の意を伝える数々の声がまるでハモらずバラバラに聞こえた。


「ぼくのMPは全て自分の回復に使います。自分で治せない状態異常やMPが尽きたら、扉の外から戻ってきた人から回復の道具を受け渡してもらおうと思います。よろしくお願いしますねー」


 だれてきたのか最終戦の前の緊張からか、仲間の返事には覇気がない。


「……よろしくお願いしますねー?」


 勇者は語調を強めてもう一度繰り返し、耳の後ろに手を当てて仲間の元気な返事を待った。今の勇者からはツアコンではなく、教師のオーラが出ている。はーいという声が先ほどより大きな声で返ってきて、勇者は満足げに頷いて手を降ろした。


「では、いよいよ扉を開けますよー。ぼくが戦陣を切るので、誰か扉を開けてくれますかー?」


『ヤリマス』


『やるるるぅ~♪』


 真っ先に手と触手を上げたのは殺戮マシーンと浮遊スライムだった。勇者は一瞬微妙な顔をしたが、すぐに笑顔を作った。


「よし、じゃあお願いします!」


 伝説の剣を抜刀し、凛々しい表情で構える姿はまさに歴戦の勇者といった出で立ちだ。伝説の兜がブカブカでさえなければ、実際仲間も感動しただろう。


『ギギギ、ガガー!』


「あきゅるるるぅ~♪」


 対照的な2人の掛け声によって扉が開き、勇者が中へ駆け込んだ。


「魔王の城で魔物に扉を開けてもらって中に入る勇者一行って、何だかシュールだねえ」


「ちょっと、こんな時に冗談やめてよ!」


 ぽつりと男遊び人が呟いたのを聞いて思わず噴き出してしまった女武闘家が、バシンと男遊び人の背中を叩いた。


「むむっ、何者!?」


 玉座の間では、位の高そうな人語を解する魔物が勇者達を見て叫んだ。2本の角のある魔王は玉座に座って勇者を睨んでいる。

 勇者は歴代の勇者に受け継がれて底光りする切っ先を、ビシッと魔王に向けた。


「ぼくは勇者だ! 世界を人間の手に取り戻しに来た!」


 後に続いた男戦士が勇者の横に並び、男魔法使いと女盗賊がその少し後ろで身構える。


「何と、勇者がもうここまで来ていたのか……! ええい、兵を呼べ!」


 魔王が手を振ると、左右の魔物が指笛を吹いた。玉座のある壇上の左右の扉が開き、わらわらと魔物達が現れた。


「身をわきまえず魔王の城に踏み込んだことを、血反吐を吐くほど後悔させてやろう。掛かれ!」


 魔王の言葉で、魔物の群れが一斉に勇者達に襲いかかる。数では勇者達の圧倒的不利だった。

 金属が打ち合う音や魔法の炸裂音が鳴り響き、数分の時間が流れた。


「チッ、撤退させてもらうよッ!」


 深手を負った女盗賊がまず逃げ出し、続いて男戦士、男魔法使いが扉の外へ駆け出した。殺戮マシーンと浮遊スライムが扉を開けて、負傷した仲間を通路へ招き入れてくれる。


「フフフ、仲間は逃げ出したぞ。孤独に死ぬがいい!」


 魔王が勝ち誇った瞬間、扉がバンッと開いた。


「勇者を1人になんてさせないよッ!」


 女戦士がニヤリと笑う。


「ですです!」


 その後ろから女魔法使いがひょこりと顔を覗かせた。


「くっちゃべってねェで行くぞ、オラッ!」


 男盗賊が先手を打って、ガーゴイルにナイフを投げつける。


「まだ仲間がいたのか……だがこれで終わりだ! やれッ!」


 魔王の合図で、わあっと声を上げて魔物が勇者達に襲いかかる。

 先ほどよりは粘ったものの、まず火傷で足を負傷した男盗賊が離脱した。続いて女戦士と女魔法使いも退室する。だが魔王の側も数を減らし、今や魔王とその側近の3人になっていた。

 また1人になった勇者を、魔王は前髪を掻き上げながら嘲笑う。


「……フフフ、手こずらせよって。これで終わりだ!」


 だがその時、バンッという音ともにまた扉が開いた。


「待っちなさーい! 勇者クンをイジメちゃだめじゃないの。アナタにはお仕置きが必要なようねー?」


 つかつかと入ってきた女遊び人が、腰に手を当てて魔王にプンプン怒りながら指を差す。

 その後ろから緊張気味の男商人と、険しい顔の女武闘家が入ってきた。男商人は勇者に業務用の大容量の魔法の聖水を手渡した。ありがとうございますと勇者は礼を言ったが、正直戦闘に影響が出そうなほどずしりと重い。


「いざ、尋常に!」


 女武闘家が凜とした声で言って両手を後ろ手に引いて構える。


「しょーぶッ!」


 バニーガール姿の女遊び人もそれを真似てか、片足立ちの奇妙なポーズを取る。


「あいたっ」


 ハイヒールで片足立ちをしたので転んでしまった女遊び人を、男商人が優しく引き起こす。魔王は少々毒気を抜かれながらも、姿勢を正した。


「……フン、仲間が何人いたとて同じこと! 奴らの息の根を止めろ!」


 魔王がバサリとマントを翻すと、側近の魔物達が飛びかかってきた。側近の棍棒で床のタイルは砕け、女遊び人の悲鳴が響く。







 そんな遣り取りを、一体何度繰り返しただろうか。また1人になった勇者を、魔王は肩で息をしながらじっと見つめた。


「こ、これで最後だな……?」


 また扉から勇者の仲間が飛び出してくるのではないかと警戒し、魔王は扉を凝視したまま間を置いた。


「………………、フフフ。これで本当の本当に、貴様が最後の1人のようだな!」


 しばらく経っても扉が微動だにしないのを確認して、魔王は喜びのあまり高笑いをした。だが魔王自身も、側近2人を倒されて最後の1人になっている。

 魔王が爪の尖った両手に力を込めると、額に第3の眼が開いて角が増えて魔王の第2形態が完成する。変態の2段階目、蝶で例えるとサナギの状態だ。


「なんだ!?」


 闇のオーラに気圧されて、勇者が片腕を顔の前にかざす。


「哀れな人間よ!! 魔族の王の真の姿の前に砕け散れィ!!」


 しかし魔王が台詞を言い終える前に、バアンッと派手な音を立てて扉が開いた。なぜか急に逆光になって、入ってきたのが誰なのかよく見えない。今までで最高の演出だ。


「フッ、勇者くんを1人ぼっちになんてしやしないよ!」


 足音高く歩いてきたのは男スーパースターだった。その後ろにはドラゴンタイプの魔物と、男魔物使いの姿もある。


「な、何だ貴様ら!! 通路に居たのならば、何故すぐに勇者の元に馳せ参じなかった!?」


 魔王は何十人目かの勇者の仲間に動揺し、疲れた声で叫んだ。


「ハッハッハ、スーパースターは遅れて現れるものさ! レッツ・ダンス・トゥゲザー!」


 男スーパースターは胸元の瑞々しい赤い薔薇を引き抜くと、くるくる回転しながら魔王に向かって投げつけた。

 この薔薇がしおれかけていたので、女僧侶に回復呪文を掛けてもらったせいで勇者のところへ駆けつけるのが遅れたという曰わく付きの薔薇だ。


「くっ……、ならばこちらも手加減は無しだ。私の真の姿を見せてやろうッ!!」


 魔王は闇のオーラを纏うと、それを増幅させて高い天井を見上げた。


 第3の眼が赤く妖しく輝き、メリメリと音を立てて魔王の身体がグロテスクに変わっていく。最後に一気にオーラを噴出させ、魔王のとても分かりやすい第3形態が完成する。蝶に例えれば成虫、蝶そのものの段階だ。蝶ほど美しくはないが。


「くくく、ハァーッハッハッハ! 私のこの姿を見て生きて帰った者はこの世におらぬ!」


「クッ、なんて禍々しいオーラだ……!」


 最終形態の完成と同時に噴き出した闇のオーラに飛ばされそうになり、最前列の勇者は伝説の盾をかざした。


「覚悟はいいな、愚かな虫けらどもよ。我が力の前に藻屑と消えよ!!」


 異常なほど巨大化した腕の爪を魔王が勇者に振り下ろそうとしたまさにその時、再び扉がバーンと開いた。玉座の扉の蝶番は今日で1年分の開閉をしただろう。


「だったら我々勇者パーティも、真の姿を見せてあげようじゃないか」


 杖をかざした男賢者が不敵に笑う。


「男賢者さん!」


 頼もしい仲間の登場に、勇者が喜びの声を上げる。


「総力戦です。ねっ、兄様!」


「ああ。妹は僕が守ってみせる」


 鼻の頭に絆創膏を貼った女魔法使いが兄を見上げ、三角帽子のつばを切られてしまった男魔法使いが切れ目を気にしていじりながら頷く。


「男魔法使いさん、女魔法使いちゃんも……」


 大量の闇のオーラが扉の隙間から漏れ出したので、異変を知った通路の仲間達も中へ駆けつけたのだった。


「こんだけ数はいるが、べつに雑魚ってワケじゃねェぞ。1人1人を甘く見んなよ?」


 マントを焦がした男盗賊がとんとんと短剣の柄尻を手のひらで叩きながら、口端を吊り上げた。


「男盗賊さん……!」


「大丈夫よ勇者クン、あたしたちがいれば100人力よ!」


「ほんとにな」


 女遊び人の言葉は比喩でなく事実だったため、女剣士は苦い笑みを浮かべた。


「遊び人女さん、女剣士さんも……!」


 勇者は感動に声を震わせる。


「おっと、ボクのことも忘れないでよ?」


「ガオー!」


 男遊び人がネコ科の魔物の背中に乗って勇者に近づく。


「男遊び人さん、殺戮パンサー……! 見たか魔王、これが勇者パーティの真の姿だ!」


 勇者は胸を張って誇った。だが続々と集結して玉座の間を埋めた勇者パーティの姿は、魔王の眼には古より1匹見たら100匹いると思えという教えのある黒い害虫と重なった。思わずゾッとして頭を掻きむしる。


「ええい、貴様ら、一体何人乗りの馬車で来たのだ!! 烏合の衆めが、我が最終奥義で蹴散らしてくれるッ!!」


 魔王は大きく息を吸うと3つの眼を光らせ、胸を膨らませた。

 変化する前は腕だった物体の、手のひらに当たる部分の紋章が光りあたりの闇のオーラを吸い込む。そしてそのオーラは紫の光に変換され、腕だったものから筋となって第3の眼へと吸収されていく。


「まずい、ものすごい魔力だ!」


 男賢者が眉間に皺を寄せる。


「勇者よ、今こそアレを使う時じゃぞい!」


 女賢者が長い髪を抑えながら叫んだ。


「アレって何ですか?」


「馬鹿もの、アレと言ったらアレじゃ! あの、ホレ、何じゃったかのう、ぴかぴか光る……平べったい……ええい、とにかく男盗賊が盗みよって散々な目に遭ったアレじゃよ、アレ!」


 女賢者は身体は若いが数百年もの時を生きているため、時々おばあちゃんモードになってしまうのだ。


「なぞなぞかな?」


 男遊び人が小首を傾げる。


「あ! わかったー、竜の鏡ー!」


 女遊び人が殺戮マシーンの電源ボタンを押して早押しの真似をしてから、元気に手を挙げる。殺戮マシーンがシュウンと音を立てて腕をだらりと下ろして止まってしまったので、慌てて女魔物使いが電源を入れ直す。再起動には少し時間が掛かりそうだ。


「おお、正解じゃあ! 褒美をやるぞい!」


「やったあ☆」


 女賢者はおばあちゃんが所持しがちな謎のずた袋から黒飴ならぬラックの種を取り出し、女遊び人に放り投げた。女遊び人はそれを直接口でパクッと受け止めて、笑顔でもぐもぐと食べた。運の良さが2上がった。


「そうか、アレを使えば魔王の最終奥義を跳ね返せる……!」


 勇者は急いで道具袋から竜の鏡を取り出した。


「食らえッ!! トリプル・アイズ・インフェルノッ!!!!」


 魔王の額の目から、充填された紫の闇のオーラが視界を埋めるほど大量に発射された。


「3つ目地獄?」


 きょとんと男遊び人が呟く。


「訳すなッ!」


 女戦士が叫ぶ。


「皆さん、それが人生最後の台詞になっても後悔はないんですか!?」


 男僧侶が帽子を押さえながら眉を下げた。


「勇者くん、竜の鏡はマジックアイテムだから、何か呪文を!」


 最前線で竜の鏡を構える勇者に、男賢者が声を掛ける。


「あ、そうか。うーんと……そうだな、向こうが3つの目ならこっちは200個の目だ! 『竜の鏡よ闇をはね返せ、ツーハンドレッド・ミラー、えー、はね返しバンバン!』」


 最後は貧しい英語力の限界が来てしまったが、何とか呪文の形にはできた。だが竜の鏡には何の反応もなかった。だが演出上の理由で魔王の最終奥義はゆっくりこちらに進んできてくれているので、急げばまだ何とか間に合う。


「ちがーうッ!! おぬしは計算もできんのかこの大馬鹿ものッ!!」


 女賢者が悲痛な声を上げた。勇者が背後を振り返ると、ギリギリで何とか再起動を終えた殺戮マシーンと目が合った。


 顔に光る緑の目は、1つ。


「ッ、そうか! 『竜の鏡よ闇をはね返せ、えーと……99×2に、1を足すから、まず9×2=18で……』」


「199よ!」


 暗算は得意だが失敗は許されない状況なので、念には念を入れて算盤で確かめ算をしていた女商人がパチンと玉を弾いた。


「そうか! 『竜の鏡よ闇をはね返せ、ワンハンドレッド・ナインティナイン・ミラー・リバースバンバンッ!!!!』」


 奇跡的にリバースという単語を思い出し、呪文はほんの少しだけグレードアップした。


 かざした竜の鏡ごと、勇者は紫の光に飲まれたかに見えた。仲間達は息を飲み、閃光の中でも懸命に目を見開いて叫ぶ。


「勇者さんっ!!」


「勇者様!!」


「勇者ァーーーーッ!!!!」


 紫の光は音を立てて竜の鏡に弾かれ、真っ直ぐに魔王に向かって飛んでいった。


「なっ、何ィッ!! ぐおおおおお~~~~ッッ!!!!!!」


 気の毒だが魔王が対象の場合は、演出上の攻撃の遅延は発生しない。光は無情にも音速で移動した。魔王は自らの最終奥義をまともに食らい、ブチブチと身を引きちぎらせながら悶絶する。


「ぐうう……貴様らなんぞに、貴様らなんぞにィ……勇者パーティを名乗る資格はないッ……! 貴様らはもはや、勇者軍だ……!! ハッハッハ、ハァーッハッハッハ……!!」


 よく分からない負け惜しみを吐いて、魔王は黒い灰となって消えた。


「や、やった……!!」


 呆然と勇者が呟く。


「勇者様!」


「勝ったぞ、やったな勇者!!」


「ィヤッホー!! 今夜は大宴会じゃ!!」


 仲間達は喜びを爆発させ、勇者に駆け寄る。


「皆さん……! ありがとうございました、99人の皆さんのおかげで魔王を倒せました!」


 爽やかに笑った勇者の顔は煤まみれだったので、仲間達は思わず笑った。小馬鹿にして鼻で笑った女戦士が、腰に下げていた自分のタオルで勇者の顔を拭ってやった。


「ほらよ、これでちったあ男前になったろ」


「すみません、親切にありがとうございます」


「フン。世界を救った勇者が煤だらけじゃ、仲間のあたしらも恥ずかしいからね」


 女戦士は照れ隠しに人差し指でゴシゴシと自分の鼻の下を擦った。女戦士の最後まで素直ではない態度に、ほのぼのとした空気が流れる。


「タオルは洗って返しますね、遊び人女さん」


 タオルを手にしたままニコッと笑って礼を言った勇者に、仲間達は凍り付いた。周囲の体感気温が一気に下がり、女戦士は俯いてプルプルと手を震わせる。


「あれ、どうかしましたか?」


 勇者がぽかんとして仲間を見回す。


「………………、あたしは女戦士だ、いい加減おぼえろッッッッ!!!!!!」


 女戦士の武闘家めいた拳が、勇者の頬に炸裂した。




 ──こうして、勇者パーティならぬ勇者軍の数の暴力によって世界は救われた。



         ~ The End ~



最後までお読みいただきありがとうございました!


なろう小説っぽい話を書こうと急に思い立って、勢いで1日で書いた小説です。

ちゃんとなろう感は出ていますでしょうか……。


読んだ後に、少しでも楽しい気持ちになっていただけたら嬉しいです。


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[良い点] おもろかったwww(ノ´∀`*) 勇者大変だwでも世界を救うためなんだからこれくらい人数必要な気もするw 軍資金と宿問題は難しいところですが(/´△`\)
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