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プロローグ*婚約破棄されました

初めての小説執筆です。文章、設定など拙いところもあるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします!

『ソフィー、お前との婚約はこの場限りで破棄させてもらう!』



その日は私の15歳の誕生パーティーだった。会場は綺羅綺羅しく装飾され、パーティーのテーブルには、見た目にも美しく美味しそうな数々の料理が並ぶ。特に自慢なのが、ひとつひとつフレーバーの違うマカロンをこれでもかと積み上げたマカロンタワー。

甘いものが大好きで食べることが大好きな私のために、我がオルコット子爵家の料理人たちが腕をふるってくれた自慢の一品だ。



美味しそうな肉料理やスイーツを早く味わいたいと思いながら、

お祝いに駆けつけてくれた友人たちに、挨拶をしていた時のことだった。

私の婚約者が、そんなことを言ってきたのは。




ニクラス・アイレンベルク。

アイレンベルク伯爵家の長男であり、私が10歳の時に政略で婚約を結んだ婚約者。

さらさらの銀髪に深い藍色の瞳。スッと通った鼻筋は色彩も相まって少し冷たい印象を与えるが、見目麗しくご令嬢達にとても人気があった。

政略ではあったが、私はそんなニクラスのことが好きだった。

だから、ショックのあまり、

婚約破棄の宣言を聞いて私は思わず理由を尋ねてしまったのだ。




理由など、今までの彼の態度から、分かり切っていたというのに。




『ニクラス様。そんな、どうして…このような日にそのようなことを言われるのですか?』




『なぜ?だと?はっ、わかりきったことを聞くな!!よくも、そこまで肥えて醜いなりで、私の側に立とうと思えたものだ。お前のその見苦しい体型、もう見るのもウンザリなんだよ!!このデブ!!だから婚約は今日この場限りで破棄させてもらうからな!!』

そう吐き捨てると足早にその場を去って行ってしまった。



会場内は気まずい雰囲気につつまれ、お祝いに駆けつけてくれた友人たちが心配そうに声をかけてくれたものの、ショックで茫然自失となった私は、その場で気を失ってしまい、お祝いのパーティーはお開きとなったのだった。







ひどく頭が重い。

なんだか、自分ではない誰かの声が頭の中で響いている気がする。



(…もう、だらしないわね!!あんなことを言われて、悔しくないワケ?!)




…気のせいではなかった。

知らない、若い女性の声が頭の中に直接響いてくる。とても砕けた、平民のような口調だ。




『もちろん、悔しいわ。でも、私には痩せるなんてムリよ。

だって、甘いものとお肉がないと生きてなんていけないもの!!!

美味しい甘いスイーツと、お肉は私の生き甲斐であり楽しみなの。これを取り上げられたら、どうやって生きていけばいいのかわからないわ。』



頭の中の声に応えるように、心の中でそう念じる。



(甘いものとお肉が無くても生きていけるわよ!!!…なんて言いたいとこだけれど、生き甲斐とまで言われちゃそれをいきなり無くすのも難しいわよね。うーん。)



ウンウンと、頭の中で彼女が考えている様子が伝わってくる。



(ねえ、私に任せてみる気はない?…きっと、悪いようにはしないから。だって、あなたは私でもあるんだもの。今まで、あなたの中で眠っていたんだけれど。ニクラス?だっけ。あいつがあんまりに酷い言いようだから頭にきちゃって。大丈夫。私と共にありたいと願うだけで良いわ。)



『貴女が、私でもある?どういうことかよくわからないから、怖いわ。』



(ふふ。私は、あなたの前世を生きた魂なの。今世に貴女として生まれ変わって、私はあなたの中で眠っていたというところね。名前は瑛里華。大丈夫よ。あなたを幸せにしたいの。だから、私を、瑛里華を受け入れて。)




普通なら、こんなに怪しい、得体の知れない声の言うことを信じるなんて酔狂なことだと思う。でも、私はどこか瑛里華という魂の声が懐かしく思えて、彼女を受け入れたら何か良いことが起きるような、そんな気がして。

…きっと、今日ほど酷いことは、そうそう起きない筈だわ、と不思議と思えた。




『瑛里華、貴女のことを受け入れます。どうぞ、よしなに。』





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